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ルフィーナはトラブルに見舞われやすい・前編
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数日後。
この日ルフィーナはドロルコフ公爵家の夜会に招待されていた。
ルフィーナはドロルコフ公爵家長男と共同で野菜や果物の保存方法を研究していたのだ。
ドロルコフ公爵家長男と話した後、ルフィーナは夜会に参加していたまだ婚約者のいない令息達数名とダンスをする。
そしてダンスを終えた後、トラブルに見舞われた。
「だから、ルフィーナ・ヴァルラモヴナ嬢と次にダンスをするのはこの俺だ」
「いいや、俺の方が先だ」
二人の男性がルフィーナの目の前で喧嘩を始めた。彼らもまだ婚約者がいない令息達である。
(えっと……)
ルフィーナは困り果てていた。
「あらあら? クラーキン公爵令嬢を巡ってバトルが始まったみたいね」
「確かにルフィーナ・ヴァルラモヴナ嬢は可憐な見た目だしクラーキン公爵次期当主。婚約者もまだいないから我こそは彼女の婚約者になろうと躍起になっている奴らも多いらしいぞ」
注目を浴びるルフィーナ達。
「伯爵家の次男ごときがこの俺に逆らうのか!?」
「侯爵家の人間だからといってこんな横暴が許されるわけない!」
令息二人の喧嘩はヒートアップしかけていた。
「あの、私は疲れておりますので、ダンスはお断りいたします」
ルフィーナは二人に聞こえるよう、いつもより大きめの声を出した。
「そんな……」
「残念です……」
するとようやく令息二人の喧嘩も止まった。
「私はこれで失礼致しますわ」
ルフィーナはそのまま二人から離れるのであった。
(時々こういうことがあって困るのよね……。どうしてかしら?)
ルフィーナは内心ため息をつきながら休憩する為に壁際へ向かおうとする。
しかし、その足を取り巻きを引き連れたジーナに止められてしまった。
「ルフィーナ様は相変わらず男性を惑わすのがお得意なことで」
刺々しい口調のジーナ。
彼女の取り巻きは悪意ある笑みでルフィーナを見ている。
今回ルフィーナは濃い青のドレスを着ているので、色の濃い飲み物をかけられたとしても被害は少なそうである。
「惑わせているつもりはないのですが」
ルフィーナはおっとりと困ったように微笑む。
ジーナ達の無礼を特に気にしてはいないようだ。
「それよりもジーナ様、あれから脳神経の方は大丈夫でしたか? あの後も、手を滑らせてしまったりすることはあったのでしょうか?」
ルフィーナはロマノフ家主催の夜会でジーナが手が滑ったと言っていたことを思い出し、心配していた。
ルフィーナのペリドットの目は本気でジーナを案じている。
すると、ジーナは顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
「貴女のその態度はわざとですの!? いつも私を馬鹿にして!」
手を大きく振り上げるジーナ。
「いえ、ジーナ様を馬鹿にしているつもりはありませんわ」
危険を察知したルフィーナは思わず後退りする。
しかし、ジーナの手が振り下ろされることはなかった。
「ちょっと、何をするのよ!?」
ジーナの手はとある人物に止められていた。
「我々が主催する夜会であまりトラブルを起こさないでもらいたい」
その人物は厳しい目でジーナを睨んでいた。
赤茶色の髪にアンバーの目の男性である。
ジーナは悔しそうにその男性を見て、取り巻き達を引き連れてその場を立ち去るのであった。
「マカール様……」
ルフィーナは驚いたようにペリドットの目を見開いている。
「ルフィーナ嬢、危険な目に遭わせてしまって申し訳ないね」
「いえ、マカール様のせいでないわ」
ルフィーナは困ったように微笑んだ。
ルフィーナを助けたのはマカール・クラーヴィエヴィチ・ドロルコフ。今回の夜会を主催しているドロルコフ公爵家の次男だ。年はルフィーナと同じ十七歳。
マカールとはドロルコフ公爵家長男を通して知り合い、今や名前のみで呼び合う仲である。
「ルフィーナ嬢、せっかくだし、僕と一曲ダンスを願えるかな?」
マカールは優しげな笑みをルフィーナに向けている。
「ごめんなさい、マカール様。実は疲れてしまって休憩に行くところだったの」
ルフィーナは眉を八の字にして、申し訳なさそうな表情である。
「それは悪いことをしたね。じゃあ、少し話すことは出来るかな?」
「ええ」
ルフィーナはおっとりと頷いた。
「兄上がルフィーナ嬢のことを褒めていたよ。野菜や果物の長期保存方法技術に関する知識が豊富だとね」
「それは嬉しいわね。ナルフェック王国に留学したお陰だわ。それと、宮殿の図書館にあった本からもかなりヒントを得たのよ」
ルフィーナは嬉しそうにペリドットの目を細め口角を上げた。
「僕もナルフェック王国に留学したら良かったと後悔しているよ」
残念そうな表情のマカール。
「ナルフェック王国のラ・レーヌ学園は十三歳から十八歳まで通えるわ。マカール様は今年十七歳なのだから、まだ間に合うわよ」
クスッと笑うルフィーナ。
「いや、その、僕は君と学園生活を送りたかったなって思ってさ」
ルフィーナから目を逸らし、ポツリと呟くマカール。
「ルフィーナお姉様!」
その時、明るく溌剌とした声が響く。
リュドミラである。
「ようやく関係各所への挨拶が終わってルフィーナお姉様とお話出来ますわ!」
リュドミラはムーンストーンの目をキラキラと輝かせている。
「リュダ、まずはマカール様にご挨拶したらどう? 失礼に当たるわよ」
ルフィーナはおっとりと困ったように苦笑して、リュドミラを注意する。
「ルフィーナお姉様がそう仰るのなら……」
若干不満そうにチラリとマカールを見た後、リュドミラはカーテシーで彼に対して礼を執る。
「リュドミラ・ユーリエヴナ嬢、楽な姿勢に戻って良いよ」
マカールは割り込んで来たリュドミラのことは特に気にした様子ではなかった。
「ありがとうございます。マカール・クラーヴィエヴィチ様」
リュドミラはマカールに対しムスッとした表情である。
「僕はそろそろ失礼するよ。ルフィーナ嬢は休むなり彼女と会話を楽しむなりすると良い」
マカールは困ったように微笑み、その場を立ち去った。
この日ルフィーナはドロルコフ公爵家の夜会に招待されていた。
ルフィーナはドロルコフ公爵家長男と共同で野菜や果物の保存方法を研究していたのだ。
ドロルコフ公爵家長男と話した後、ルフィーナは夜会に参加していたまだ婚約者のいない令息達数名とダンスをする。
そしてダンスを終えた後、トラブルに見舞われた。
「だから、ルフィーナ・ヴァルラモヴナ嬢と次にダンスをするのはこの俺だ」
「いいや、俺の方が先だ」
二人の男性がルフィーナの目の前で喧嘩を始めた。彼らもまだ婚約者がいない令息達である。
(えっと……)
ルフィーナは困り果てていた。
「あらあら? クラーキン公爵令嬢を巡ってバトルが始まったみたいね」
「確かにルフィーナ・ヴァルラモヴナ嬢は可憐な見た目だしクラーキン公爵次期当主。婚約者もまだいないから我こそは彼女の婚約者になろうと躍起になっている奴らも多いらしいぞ」
注目を浴びるルフィーナ達。
「伯爵家の次男ごときがこの俺に逆らうのか!?」
「侯爵家の人間だからといってこんな横暴が許されるわけない!」
令息二人の喧嘩はヒートアップしかけていた。
「あの、私は疲れておりますので、ダンスはお断りいたします」
ルフィーナは二人に聞こえるよう、いつもより大きめの声を出した。
「そんな……」
「残念です……」
するとようやく令息二人の喧嘩も止まった。
「私はこれで失礼致しますわ」
ルフィーナはそのまま二人から離れるのであった。
(時々こういうことがあって困るのよね……。どうしてかしら?)
ルフィーナは内心ため息をつきながら休憩する為に壁際へ向かおうとする。
しかし、その足を取り巻きを引き連れたジーナに止められてしまった。
「ルフィーナ様は相変わらず男性を惑わすのがお得意なことで」
刺々しい口調のジーナ。
彼女の取り巻きは悪意ある笑みでルフィーナを見ている。
今回ルフィーナは濃い青のドレスを着ているので、色の濃い飲み物をかけられたとしても被害は少なそうである。
「惑わせているつもりはないのですが」
ルフィーナはおっとりと困ったように微笑む。
ジーナ達の無礼を特に気にしてはいないようだ。
「それよりもジーナ様、あれから脳神経の方は大丈夫でしたか? あの後も、手を滑らせてしまったりすることはあったのでしょうか?」
ルフィーナはロマノフ家主催の夜会でジーナが手が滑ったと言っていたことを思い出し、心配していた。
ルフィーナのペリドットの目は本気でジーナを案じている。
すると、ジーナは顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
「貴女のその態度はわざとですの!? いつも私を馬鹿にして!」
手を大きく振り上げるジーナ。
「いえ、ジーナ様を馬鹿にしているつもりはありませんわ」
危険を察知したルフィーナは思わず後退りする。
しかし、ジーナの手が振り下ろされることはなかった。
「ちょっと、何をするのよ!?」
ジーナの手はとある人物に止められていた。
「我々が主催する夜会であまりトラブルを起こさないでもらいたい」
その人物は厳しい目でジーナを睨んでいた。
赤茶色の髪にアンバーの目の男性である。
ジーナは悔しそうにその男性を見て、取り巻き達を引き連れてその場を立ち去るのであった。
「マカール様……」
ルフィーナは驚いたようにペリドットの目を見開いている。
「ルフィーナ嬢、危険な目に遭わせてしまって申し訳ないね」
「いえ、マカール様のせいでないわ」
ルフィーナは困ったように微笑んだ。
ルフィーナを助けたのはマカール・クラーヴィエヴィチ・ドロルコフ。今回の夜会を主催しているドロルコフ公爵家の次男だ。年はルフィーナと同じ十七歳。
マカールとはドロルコフ公爵家長男を通して知り合い、今や名前のみで呼び合う仲である。
「ルフィーナ嬢、せっかくだし、僕と一曲ダンスを願えるかな?」
マカールは優しげな笑みをルフィーナに向けている。
「ごめんなさい、マカール様。実は疲れてしまって休憩に行くところだったの」
ルフィーナは眉を八の字にして、申し訳なさそうな表情である。
「それは悪いことをしたね。じゃあ、少し話すことは出来るかな?」
「ええ」
ルフィーナはおっとりと頷いた。
「兄上がルフィーナ嬢のことを褒めていたよ。野菜や果物の長期保存方法技術に関する知識が豊富だとね」
「それは嬉しいわね。ナルフェック王国に留学したお陰だわ。それと、宮殿の図書館にあった本からもかなりヒントを得たのよ」
ルフィーナは嬉しそうにペリドットの目を細め口角を上げた。
「僕もナルフェック王国に留学したら良かったと後悔しているよ」
残念そうな表情のマカール。
「ナルフェック王国のラ・レーヌ学園は十三歳から十八歳まで通えるわ。マカール様は今年十七歳なのだから、まだ間に合うわよ」
クスッと笑うルフィーナ。
「いや、その、僕は君と学園生活を送りたかったなって思ってさ」
ルフィーナから目を逸らし、ポツリと呟くマカール。
「ルフィーナお姉様!」
その時、明るく溌剌とした声が響く。
リュドミラである。
「ようやく関係各所への挨拶が終わってルフィーナお姉様とお話出来ますわ!」
リュドミラはムーンストーンの目をキラキラと輝かせている。
「リュダ、まずはマカール様にご挨拶したらどう? 失礼に当たるわよ」
ルフィーナはおっとりと困ったように苦笑して、リュドミラを注意する。
「ルフィーナお姉様がそう仰るのなら……」
若干不満そうにチラリとマカールを見た後、リュドミラはカーテシーで彼に対して礼を執る。
「リュドミラ・ユーリエヴナ嬢、楽な姿勢に戻って良いよ」
マカールは割り込んで来たリュドミラのことは特に気にした様子ではなかった。
「ありがとうございます。マカール・クラーヴィエヴィチ様」
リュドミラはマカールに対しムスッとした表情である。
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