悪役令嬢クリスティーナの冒険

神泉灯

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一章

77・ここで摘んでおかねば

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 フェニックスが飛翔し、私に向かって急降下する。
水氷アイス投槍ジャベリン!」
 私は水の槍で迎撃するが、フェニックスはそれを紙一重で回避し、突っ込んできた。
 私は慌てて横に跳躍して回避する。
空間斬撃スペースカッター・連!」
 ラーズさまが魔法を連続して放つが、フェニックスは旋回軌道で全て回避。
「クレアちゃん! メドゥーサの首を使って!」
「はい!」
 神の如き鳥に、石化の魔眼が通用するのか疑問だけど、効果があれば短時間で倒すことができる。
「……って、あれ?!」
 ない!
 腰に下げていたはずのメドゥーサの首の入った革袋がない!
「探し物はこれですか?」
 フェニックスが鉤爪に革袋を引っ掛けていた。
 さっき私に向かって急降下した時に奪ったんだ!
「石化の魔眼が私に効果があるかは分かりませんが、危険の可能性は消しておくに限ります」
 革袋が中身ごと燃え上がって、数秒で消し炭になった。
水氷アイス投槍ジャベリン! 水氷投槍! 水氷投槍!」
 スファルさまが魔法の氷の槍を三度放つ。
「火炎《ファイア》障壁《ウォール》」
 フェニックスは火の上級魔法、火炎障壁を唱え、炎の壁が巻き起こり、氷の槍を蒸発させた。
 そしてフェニックスは体から発する炎を強く吹き出し、スファル様へ向かって体当たりしようと飛翔する。
「ハニー!」
「ダーリン!」
 フェニックスが低空飛行をした所を狙って、セルジオさまとキャシーさんが、声を掛け合って魔法を行使した
「「アースウィンド突槍ランス!!」」
 二人が大地突槍アースランス大気ウィンド切断カッターを合成した。
 いつの間に合成魔法を使えるようになったの!?
 風の刃を纏った大地の槍が、フェニックスの右翼を貫く。
「やりますね。これが彼女の言っていた合成魔法。しかし、聖女でも勇者でもない貴方達が なぜ使えるのでしょう? ですが……」
 フェニックスの右翼の炎が一際輝くと、傷口が瞬時に再生した。
 そしてフェニックスは、
陽焔フレア
 達人級の攻撃魔法を放った。
 太陽の如き焔が私たちを襲う。
水氷アイス障壁ウォール!」
 スファルさまが氷の壁を作る。
 水氷障壁。水の上級魔法。火系統の魔法を防御する効果がある。
 氷の壁と陽焔が激突して、高温の水蒸気が発生する。
「アチー!」
 スファルさまは高温の水蒸気を両腕に受けてしまい悲鳴を上げる。
 魔法を使わせてはダメだ。
「「飛翔フライ!!」」
 私とキャシーさんは自身に魔法をかけて、空を翔ける。
「武器魔法付与《エンチャントウェポン》!」
 さらに私は細剣に水の魔法をかけて攻撃力を上げる。
「タアアアアア!」
「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」
 キャシーさんは疾風の剣サイクロンを振るい、私は細剣レイピアを連続刺突する。
 フェニックスは、翼だけで飛んでいるわけではないのか、航空力学を無視した細かい動きで攻撃を回避し、体から噴出する炎で私たちを攻撃してくる。
 それを私たちはなんとか回避しているものの、炎から発せられる熱波までは避けきれない。
 肌が熱で火傷しそうだ。
「二人とも離れろ!」
 ラーズさまが私たちに離脱するよう指示。
 その声に従って離れると同時に、ラーズさまが魔法を行使した。
時空破壊スペースタイムディストラクション!」
 轟音と共に衝撃波が周囲一帯に発生する。
 その中心にいたフェニックスはさすがに回避することができず直撃。
 時空破壊は達人級の魔法。
 いくらフェニックスでも平気でいられるわけがない。
 そして、それを表すかのように、フェニックスの体から噴出する炎が弱まった。
「なるほど。四天王を三体も倒しただけの事はありますね。聖女や勇者ではないとはいえ、これほどの力は私たちにとって必ず脅威となる。ここで摘んでおかねば」
 フェニックスの炎がさらに弱まった。
 だけど、内在する力は、寧ろ大きくなっている。
 いえ、集中している。
 それが極限まで凝縮した次の瞬間、それは放たれた。
火炎巨人イフリート
 フェニックスの体から、炎の巨人が出現した。
 五メートルを超す巨人の体には炎が纏い、その手に巨大な炎の剣を持っている。
 GUOOOOO!
 これは伝説級の火の魔法!
 火の上位精霊を召喚した!
 HUN!
 炎の巨人は剣を一振りすると、火炎ファイア障壁ウォールが私たちに向かってくる。
「水氷障壁!!」
 スファルさまが氷の壁を作りそれを防ぐけど、壁はその一撃で蒸発した。
「陽焔」
 さらにフェニックスが攻撃してきた。
「「水氷障壁!!」」
 続けてスファルさまが氷の壁を作り、私もそれに合わせて同じ魔法を行使した。
 二重の氷の壁で今度は防げたと思った時、イフリートが突進し、剣を振り下ろして氷の壁を粉砕する。
 私たちはそれを回避して散り散りになる。
 NUN!
 イフリートが回転するように剣を振り回すと、そこから無数の炎の矢ファイアボルトが放たれる。
 私たちはとにかく走って回避し続けた。
炎の矢ファイアボルト・百」
 だけど、フェニックスまで炎の矢を同時に放った。
 これはさながら炎の雨の様。
 大きな魔法ではなく、小さな魔法を続けることで、私たちにダメージを与える作戦に切り替えたみたい。
 こんなのどうすればいいの?!
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