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42 信じるべきもの
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夢中で歩いて歩いて、砂だったはずに足元はいつしかデコボコとした小石の多い地面になっていた。とっさに顔を上げると、目の前にはぽっかりと口を開けた洞窟の入り口があった。
「うそ……」
さっきまでいた場所は学園の中だったはず。何故か訓練場に出没していた大樹を目がけて歩き出した瞬間、妙に歩きにくくなり夢中で足を動かしたのは覚えている。でもそこから先の意識が不明瞭だった。
「学園にいたはずよ」
後ろには草原と、遠くに林が見え、ずっと広い大地が続いている。学園でも、ましてや王都でもない見た事のない風景だった。何度も頭の中で現実に戻ろうとしてみる。記憶を視ている時のように、もしかしたらまた過去を視ているのかもしれない。現実であって現実でない感覚は何度経験しても慣れないものだ。
メリベルはとっさに転がっていた鋭利な小石を掴むときつく目を瞑り、振り上げた。痛みがあれば現実に戻れるかもしれないと思った。
「アークトゥラス侯爵家のメリベルお嬢様でお間違いないでしょうか?」
声は洞窟の方からした。とっさに振り上げていた手が止まる。暗闇から出てきた青年は、メリベルが持っていた小石に僅かに眉を動かしながらも、興味なさそうにクイッと顎を動かした。
「付いて来て下さい。中でとある御方がお待ちです」
「待って! ここはどこなんです? あなたには私が視えるんですか?」
すると青年は心底迷惑そうに、今度こそはっきりと眉を潜めた。
「まさか宰相殿のご息女は心を病んでおられるのですか? ……こんな者にあの方が負けただなんて」
そう言いながら、青年はどんどん洞窟の中へと入って行ってしまう。ついて行くのは危険に決まっている。それでもこの青年以外に今は頼る人がいなかった。
「置いて行きますよ」
洞窟の中は思っていたよりも光があった。薄暗くはあるが等間隔にランプがあり、しかし道が奥まっていくに連れ、メリベルの足が止まった。
岩肌には不釣り合いな絵画が掛けられている。そしてその姿には見覚えがあった。
ーー母親の肖像画。
「あぁこれですか。タウ殿の力作で、誰にも売らない連作らしいですよ」
「タウ殿?」
「ご存知ない? 叔父だと聞いていましたがもしかしてタウ殿の妄言でしたか?」
「叔父ですって!?」
母親に姉弟がいるとは聞いた事がない。とは言っても母親について詳しい理由でもなく、知っている事といえば故郷の村と王都に来てからの事を少し聞いたくらいで、祖父母の事についても何も聞いた事がなかった。
「本当に知らないようですね」
絵のどれもが真正面から描かれていない。横を向いていたり、ほとんど後ろを向いていたり、それでも母親だと断言出来る理由はただ一つ。
髪の色が見覚えのある赤い髪をしていたからだった。
「おやまぁ。随分と可愛らしいご令嬢だね」
曲がり角から現れたのは、青年よりも少し年上の小柄な男性だった。頭からマントを被っていたが、顔はしっかりと見る事が出来た。どこかで見た事がある気もするが思い出せない。その視線は全身を這うように向けられ、無意識に後ろに下がると、ここまで連れてきた青年がぐっと腕を引いてきた。
「あの方に付いて行って下さい」
連れて行かれたのは行き止まりの広い空洞。そして重苦しい空気の異様さにすぐに気が付いた。
ーー魔素が充満している!
「あなた達、魔廻はあるんでしょうね!?」
とっさに二人を見ると、呆れたような表情をして笑われた。
「まさか我々の心配をするとはね。さすがは姉さんの血を引いているだけの事はあるな」
「まさか、あなたが“叔父さん”ですか?」
「軽々しく叔父なんて呼ぶな! 姉さんだけの子だったら良かったのに。姉さんだけの子だったなら欲しかったのにッ」
興奮しながらポケットからごっそりと見覚えのある魔術具を出してきた。
「それは……」
「心配には及ばないよ、優しいお嬢さん。魔廻ならほれここに沢山あるからね」
そう言って魔術具を地面に放り投げた。魔術具はそこら辺に満ちている魔素をどんどん吸っていっている。そしてカタカタと揺れていた。
「ほら、早く持っていけ!」
タウが怒鳴り声を上げると青年は魔術具を掴み、空洞の奥へと歩いて行く。薄暗くて気が付かなかったが、奥には階段がありその上には誰か人の姿があった。
「クレイシー様持って参りました」
(クレイシー!?)
「ありがとうございます、ダリア様」
ダリアと呼ばれた青年は嬉しそうにはにかむと階段を降りていく。そしてその下に待機した。
「クレイシーってまさかクレイシーさん? 修道院にいるはずじゃ」
「あなた達のせいでクレイシー様がどんな目に遭ったかご存知ですか? ろくに食事も防寒具も寄越されないまま、寒く冷たい修道院の端で暮らしていたのですよ」
ダリアの声は淡々としていて冷たく聞こえた。
「そ、それは魔廻を奪ったりしたからです」
「正論をどうも。侯爵令嬢で王子の婚約者で、ソル神の信仰者にはクレイシー様の痛みは分からないでしょうね」
「……もしかしてあなた達もクレイシーさんと同じ名もなき神を信仰しているんですか?」
「随分と自分には関係のないような口振りだがね、姉さんもそうだったんだよ」
頭の中が真っ白になる。
「お母様も?」
「私達の生まれ育った村はエルライが作った村だというのは?」
「知っています」
「エルライは騎士にして魔術師だった。姉様もそうだった。それはソル神とルナ神が分けられる前から存在していた者達の子孫だからだよ」
「まさか、それなら私も……?」
「本当は僕達こそが世界を束ねるべき存在だというのに、ソル神の末裔の王族達がのさばって僕達の神も、ルナ神も暗い底に追いやってしまったんだ!」
「でもソル神のお陰で世界に光が差したのよ!」
タウはおもむろに歩き始めると、クレイシーの背中に声を掛けた。
「あとどのくらいだ!」
「……間もなくです」
声はしばらくしてから返ってきた。そして次の瞬間、足元の深い奥底で大きな音がし、突き上げるように地面が揺れた。立っているのがやっとの振動の後、洞窟内の魔素が急激に濃くなっていく。地面の下からじわじわと魔素が染み出してきていた。
「皆洞窟の中にいたら危ないわ! 早く外に出ないと!」
しかし腕はダリアにがっちりと掴まれ動く事が出来ない。
「クレイシーさん! そこから降りてきて!」
クレイシーはスクッとその場に立ち上がるとゆっくり階段を降りてくる。そして魔素が一際吹き出している地面に立った。
「クレイシーさんそこは駄目よ! 早くこっちに来て!」
『そ、の者を、連れて、来い』
声は聞いた事のない、クレイシーではない他の誰かのものだった。クレイシーの姿は魔素に染まり、もはや誰かも分からない陰影のみ。しかしその瞬間、タウは恍惚とした表情でクレイシーを見つめていた。
「ようやく、ようやく我らの神がお戻りになられた!」
タウの声と共に地面が再び揺れる。そして上部から小石がパラパラと落ちてきた後、大きな岩が天井から外れるのが見えた。
「うそ……」
さっきまでいた場所は学園の中だったはず。何故か訓練場に出没していた大樹を目がけて歩き出した瞬間、妙に歩きにくくなり夢中で足を動かしたのは覚えている。でもそこから先の意識が不明瞭だった。
「学園にいたはずよ」
後ろには草原と、遠くに林が見え、ずっと広い大地が続いている。学園でも、ましてや王都でもない見た事のない風景だった。何度も頭の中で現実に戻ろうとしてみる。記憶を視ている時のように、もしかしたらまた過去を視ているのかもしれない。現実であって現実でない感覚は何度経験しても慣れないものだ。
メリベルはとっさに転がっていた鋭利な小石を掴むときつく目を瞑り、振り上げた。痛みがあれば現実に戻れるかもしれないと思った。
「アークトゥラス侯爵家のメリベルお嬢様でお間違いないでしょうか?」
声は洞窟の方からした。とっさに振り上げていた手が止まる。暗闇から出てきた青年は、メリベルが持っていた小石に僅かに眉を動かしながらも、興味なさそうにクイッと顎を動かした。
「付いて来て下さい。中でとある御方がお待ちです」
「待って! ここはどこなんです? あなたには私が視えるんですか?」
すると青年は心底迷惑そうに、今度こそはっきりと眉を潜めた。
「まさか宰相殿のご息女は心を病んでおられるのですか? ……こんな者にあの方が負けただなんて」
そう言いながら、青年はどんどん洞窟の中へと入って行ってしまう。ついて行くのは危険に決まっている。それでもこの青年以外に今は頼る人がいなかった。
「置いて行きますよ」
洞窟の中は思っていたよりも光があった。薄暗くはあるが等間隔にランプがあり、しかし道が奥まっていくに連れ、メリベルの足が止まった。
岩肌には不釣り合いな絵画が掛けられている。そしてその姿には見覚えがあった。
ーー母親の肖像画。
「あぁこれですか。タウ殿の力作で、誰にも売らない連作らしいですよ」
「タウ殿?」
「ご存知ない? 叔父だと聞いていましたがもしかしてタウ殿の妄言でしたか?」
「叔父ですって!?」
母親に姉弟がいるとは聞いた事がない。とは言っても母親について詳しい理由でもなく、知っている事といえば故郷の村と王都に来てからの事を少し聞いたくらいで、祖父母の事についても何も聞いた事がなかった。
「本当に知らないようですね」
絵のどれもが真正面から描かれていない。横を向いていたり、ほとんど後ろを向いていたり、それでも母親だと断言出来る理由はただ一つ。
髪の色が見覚えのある赤い髪をしていたからだった。
「おやまぁ。随分と可愛らしいご令嬢だね」
曲がり角から現れたのは、青年よりも少し年上の小柄な男性だった。頭からマントを被っていたが、顔はしっかりと見る事が出来た。どこかで見た事がある気もするが思い出せない。その視線は全身を這うように向けられ、無意識に後ろに下がると、ここまで連れてきた青年がぐっと腕を引いてきた。
「あの方に付いて行って下さい」
連れて行かれたのは行き止まりの広い空洞。そして重苦しい空気の異様さにすぐに気が付いた。
ーー魔素が充満している!
「あなた達、魔廻はあるんでしょうね!?」
とっさに二人を見ると、呆れたような表情をして笑われた。
「まさか我々の心配をするとはね。さすがは姉さんの血を引いているだけの事はあるな」
「まさか、あなたが“叔父さん”ですか?」
「軽々しく叔父なんて呼ぶな! 姉さんだけの子だったら良かったのに。姉さんだけの子だったなら欲しかったのにッ」
興奮しながらポケットからごっそりと見覚えのある魔術具を出してきた。
「それは……」
「心配には及ばないよ、優しいお嬢さん。魔廻ならほれここに沢山あるからね」
そう言って魔術具を地面に放り投げた。魔術具はそこら辺に満ちている魔素をどんどん吸っていっている。そしてカタカタと揺れていた。
「ほら、早く持っていけ!」
タウが怒鳴り声を上げると青年は魔術具を掴み、空洞の奥へと歩いて行く。薄暗くて気が付かなかったが、奥には階段がありその上には誰か人の姿があった。
「クレイシー様持って参りました」
(クレイシー!?)
「ありがとうございます、ダリア様」
ダリアと呼ばれた青年は嬉しそうにはにかむと階段を降りていく。そしてその下に待機した。
「クレイシーってまさかクレイシーさん? 修道院にいるはずじゃ」
「あなた達のせいでクレイシー様がどんな目に遭ったかご存知ですか? ろくに食事も防寒具も寄越されないまま、寒く冷たい修道院の端で暮らしていたのですよ」
ダリアの声は淡々としていて冷たく聞こえた。
「そ、それは魔廻を奪ったりしたからです」
「正論をどうも。侯爵令嬢で王子の婚約者で、ソル神の信仰者にはクレイシー様の痛みは分からないでしょうね」
「……もしかしてあなた達もクレイシーさんと同じ名もなき神を信仰しているんですか?」
「随分と自分には関係のないような口振りだがね、姉さんもそうだったんだよ」
頭の中が真っ白になる。
「お母様も?」
「私達の生まれ育った村はエルライが作った村だというのは?」
「知っています」
「エルライは騎士にして魔術師だった。姉様もそうだった。それはソル神とルナ神が分けられる前から存在していた者達の子孫だからだよ」
「まさか、それなら私も……?」
「本当は僕達こそが世界を束ねるべき存在だというのに、ソル神の末裔の王族達がのさばって僕達の神も、ルナ神も暗い底に追いやってしまったんだ!」
「でもソル神のお陰で世界に光が差したのよ!」
タウはおもむろに歩き始めると、クレイシーの背中に声を掛けた。
「あとどのくらいだ!」
「……間もなくです」
声はしばらくしてから返ってきた。そして次の瞬間、足元の深い奥底で大きな音がし、突き上げるように地面が揺れた。立っているのがやっとの振動の後、洞窟内の魔素が急激に濃くなっていく。地面の下からじわじわと魔素が染み出してきていた。
「皆洞窟の中にいたら危ないわ! 早く外に出ないと!」
しかし腕はダリアにがっちりと掴まれ動く事が出来ない。
「クレイシーさん! そこから降りてきて!」
クレイシーはスクッとその場に立ち上がるとゆっくり階段を降りてくる。そして魔素が一際吹き出している地面に立った。
「クレイシーさんそこは駄目よ! 早くこっちに来て!」
『そ、の者を、連れて、来い』
声は聞いた事のない、クレイシーではない他の誰かのものだった。クレイシーの姿は魔素に染まり、もはや誰かも分からない陰影のみ。しかしその瞬間、タウは恍惚とした表情でクレイシーを見つめていた。
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