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遊女の文化史―ハレの女たち(1)
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タイトルからして刺激的ですね。僕自身、フレイザーの『金枝篇』や網野善彦先生の著作をいくつか読んでいましたので、最初にこの本を神保町の古本屋で見つけた時は別段驚き ませんでした。ただ、興味ある分野だなと思ったくらいです。
しかし、一緒にいた後輩は面くらったようで、そのあと近くの飲食店でそれについて話をしていると、
「え、売春って神聖な行為だったんですか!?」
隣席の大学生カップルのデートをぶち壊すような叫びをあげていました。
まあ、そうですね。まったく知らない人からしたら寝耳に水ですよね。自分が当たり前に知っていることでも、他人からしたら大変驚くことであるというのはよくあることです。 ただ、僕の場合はその知識があまりに特殊なわけです。
これがこの漫談をやろうと思ったきっかけです。僕のおしゃべりで読者の皆様には、あっと驚き、楽しんで頂こうと思います。
さて、この本の内容について結論を先に申し上げますと、
巫女は売春をしていた、遊女であった
ということになります。
なにやら、酷い妄想に取り付かれた男の下卑た冗談のように聞こえますね。
ちなみに高校生のころに『戦国ランス』というゲームを友人から借りてやっていたのですが、その中で出てくる売春をする巫女の集団、巫女機関を単なるゲーム上の馬鹿な演出だと当時の僕は思っておりました。(高校生でやっていいゲームではないですが(笑)
しかし、これは民俗学では当たり前になっている話でございます。学問の世界では当然のことでもメディアに取り上げられねば、奇説、珍説の類と思われるのも無理なきことでございます。かの有名な柳田國男先生も巫女が売春をしていたことは認めていたことでありまして、柳田先生や他民俗学の研究者達は、巫女が生活に困窮し、しかたなく売春をしていたという意見を持っていました。神社というもののあり方が現在とは違い、巫女自身生活の糧を得るために身を売ったということでございます。
しかし、本書を発表された佐伯順子先生は日本を飛び越え古今東西に広く研究の手を伸ばし、先学たちの教えを一歩先へ進めました。
巫女が生活のために売春をしたのではなく、売春をすることがむしろ巫女の本分であり、宗教的儀礼であったというのです。
これは売春の歴史を紐解き、性のあり方を根本から捉えなおす試みであり、その普遍的現象を通して、表層的な文化の多様性とその深奥における共通性を見極める、壮大な研究なのであります。
「遊び」というのはどうも幅の広い言葉のようでございます。
スポーツやゲームをしてもいいし、気ままにドライブをしてもいいし、悪ふざけに、酒を飲むことやセックスですらこの言葉に包みこまれてしまいます。英語のPLAYもこれと似たように多くの意味を持ち合わせるのです。
どうも「遊び」は人類に共通するもののようで、オランダの文化史家ホイジンガは「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』において「文化は遊びの形をとって生まれた」と主張しています。 それは真面目の対立概念としてのお遊びではありません。食事や外敵との闘争といった生きる上での必須の動作、思考ではなく、ただ自身が楽しむためにする遊びこそが文化の源 であるとしたわけであります。
遊女(巫女)というのは、現在では俗へ貶められた性を聖として生き、神々とともに遊んだ女たちであったのです。その舞と歌には今日音楽、演劇、文学と言われる「文化」の営み の多くが若い姿で表されていました。
しかし、近世から遊郭に囲いこまれ、遊芸と淫売との分離によって文化人と娼婦へ二極化してしまいます。
神遊びの背後にあった聖は見失なわれ、客からは快楽のみを求められた弱き存在へと没落してしまったのです。
道徳的女性史観によって否定的に論じられることの多かった遊女の歴史に、新たな文化史の光をあててみることにしましょう。
しかし、一緒にいた後輩は面くらったようで、そのあと近くの飲食店でそれについて話をしていると、
「え、売春って神聖な行為だったんですか!?」
隣席の大学生カップルのデートをぶち壊すような叫びをあげていました。
まあ、そうですね。まったく知らない人からしたら寝耳に水ですよね。自分が当たり前に知っていることでも、他人からしたら大変驚くことであるというのはよくあることです。 ただ、僕の場合はその知識があまりに特殊なわけです。
これがこの漫談をやろうと思ったきっかけです。僕のおしゃべりで読者の皆様には、あっと驚き、楽しんで頂こうと思います。
さて、この本の内容について結論を先に申し上げますと、
巫女は売春をしていた、遊女であった
ということになります。
なにやら、酷い妄想に取り付かれた男の下卑た冗談のように聞こえますね。
ちなみに高校生のころに『戦国ランス』というゲームを友人から借りてやっていたのですが、その中で出てくる売春をする巫女の集団、巫女機関を単なるゲーム上の馬鹿な演出だと当時の僕は思っておりました。(高校生でやっていいゲームではないですが(笑)
しかし、これは民俗学では当たり前になっている話でございます。学問の世界では当然のことでもメディアに取り上げられねば、奇説、珍説の類と思われるのも無理なきことでございます。かの有名な柳田國男先生も巫女が売春をしていたことは認めていたことでありまして、柳田先生や他民俗学の研究者達は、巫女が生活に困窮し、しかたなく売春をしていたという意見を持っていました。神社というもののあり方が現在とは違い、巫女自身生活の糧を得るために身を売ったということでございます。
しかし、本書を発表された佐伯順子先生は日本を飛び越え古今東西に広く研究の手を伸ばし、先学たちの教えを一歩先へ進めました。
巫女が生活のために売春をしたのではなく、売春をすることがむしろ巫女の本分であり、宗教的儀礼であったというのです。
これは売春の歴史を紐解き、性のあり方を根本から捉えなおす試みであり、その普遍的現象を通して、表層的な文化の多様性とその深奥における共通性を見極める、壮大な研究なのであります。
「遊び」というのはどうも幅の広い言葉のようでございます。
スポーツやゲームをしてもいいし、気ままにドライブをしてもいいし、悪ふざけに、酒を飲むことやセックスですらこの言葉に包みこまれてしまいます。英語のPLAYもこれと似たように多くの意味を持ち合わせるのです。
どうも「遊び」は人類に共通するもののようで、オランダの文化史家ホイジンガは「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』において「文化は遊びの形をとって生まれた」と主張しています。 それは真面目の対立概念としてのお遊びではありません。食事や外敵との闘争といった生きる上での必須の動作、思考ではなく、ただ自身が楽しむためにする遊びこそが文化の源 であるとしたわけであります。
遊女(巫女)というのは、現在では俗へ貶められた性を聖として生き、神々とともに遊んだ女たちであったのです。その舞と歌には今日音楽、演劇、文学と言われる「文化」の営み の多くが若い姿で表されていました。
しかし、近世から遊郭に囲いこまれ、遊芸と淫売との分離によって文化人と娼婦へ二極化してしまいます。
神遊びの背後にあった聖は見失なわれ、客からは快楽のみを求められた弱き存在へと没落してしまったのです。
道徳的女性史観によって否定的に論じられることの多かった遊女の歴史に、新たな文化史の光をあててみることにしましょう。
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