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遊女の文化史―ハレの女たち(4)
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性を儀礼にしていた、つまり性が公なものであった時代、神々の婚姻の記憶は社会的精神的財産であった神話や儀礼として成立し、それらは集団で確認されました。共同体の連帯を確認するためにいわゆる乱交をおこなったのです。
宗教的な儀式において乱交をするのは、邪教の古典的なイメージでもありますね。つい先日ベルセルクのテレビアニメ第2作で、ニーナが自身の病気という運命を忘れるように狂い乱れていました。
ベルセルクにはカトリックのような宗教が土着の自然信仰を駆逐し、邪教として排斥した描写があります。
魔女のシールケが登場し、自然の精霊がどうのこうのとなり、カトリック対異端という構図にアニミズムがどう関係していくのか気になるところであります。
現実の歴史でも、カトリックは太陽信仰や土着の風習(サンタクロースやハロウィン)などを吸収しつつも、ポセイドンが持つ三叉の槍を悪魔の持つ武器にしたりと改宗前の信仰を悪としました。
ベルセルクの世界でも、シールケが土地の精霊の神殿があったところに教会が建てられ精霊が怒っているみたいなことを言っていました。現実と似たようなことがあったようですね。ということは異端の乱交がアニミズムとなにかしら関係があるのでしょうか。豊穣を願い性的儀礼を行っていた風習がカトリックっぽいのに排斥されたが、異端として快楽のみを目的に生き残ったということでしょうか。
共同体の連帯を目的に共同体験としての性、つまり乱交を行うということはどういうことでしょう。類感呪術としての乱交ならばとりあえず理解はできましたが、こちらはすんなりとは行きません。乱交を通して連帯感、一体感を高めるというのはどうも腑に落ちません。たとえば野球やサッカーのチームがファンの女の子を呼んで乱交をしたとしてそれでチームワークが生まれるとでも言うのでありましょうか。むしろ人間関係がめちゃくちゃになりそうです。
ホイジンガは遊びのおもしろさというものをどんな論理的解釈も受け付けない根源的体験であるとしました。遊戯の面白さ快楽は自らと相手に共同のふれあいを与えるのです。面白いという普遍的感情を共有することで他人との緊密な一体感が生まれます。
遊びの快楽による忘我の陶酔が一時幼児ころのような主客未分の状況に引き戻し、他者と溶け合うような連帯感を与えるということです。
なるほど、たとえばスポーツ観戦などで熱狂している様を思い出すとよく理解できます。お祭り騒ぎでサポーター同士異様な熱気とともに一時的にではありますが強烈な仲間意識が生まれます。
普段、日常生活の中で自分が日本人であるという強烈な自覚はほぼありません。ナショナリズムというと多少勘違いされるかもしれませんが、それが表にでてくるのはやはり、オリンピックやワールドカップといったスポーツの国際試合になります。
しかし、スポーツというものがまだなかった時代、政治はいわばお祭りを行うことによって共同体の連帯を高めました。そういった背景があって、乱交という行事によって大衆を興奮状態に導くことが、原始的なナショナリズムを高揚させる政治の手段であったといえるのですね。
そしてこうした性の連帯を見守るのは女神でありました。産む性である女の性的特性に対する畏怖と崇敬の念が根底にあるようです。
それは女の特別視ではなく、生命そのものへの神聖視でありました。こうして女神が憑依した巫女は共同体統一のシンボルとして崇められたわけです。
先ほどのベルセルクでは快楽を目的にした異端の黒ミサを例にあげましたが、そうではなく真面目な性的儀式についてなにか漫画やアニメなどでないか思い出してみると、ガンダムでありました。
白富野が作った∀ガンダムの成人式です。
劇中では途中で中断してしまいましたし、明言されているわけではありませんが周囲の証言がそれを性的な儀式であると示唆しています。まあ、なにより監督があの富野ですから・・・。
この成人式では写真左のソシエ・ハイムが儀式を指揮していました。まるで巫女のようですね。そして男たちは神輿のようなものを担いでいます。これだけみていると性的な要素はなさそうに思えます。しかし、この一年前村人が儀式を覗き見していたロランとソシエをを叱り飛ばしたり、若い者はいいよなという村人のボヤキ、そしてなによりソシエの姉であるキエルが成人式を妹同様指揮していたおりの「パートナーを選びます!」という掛け声。
パートナーーーーーー????
この異様な興奮を秘めた目つき。まあ、おそらくそういうことでしょう。
「キエル、俺を選んでくれー」
という男共の雄たけび。
ヒルで背中に聖痕をつけるだけにしては、
「一晩ホワイトドールの前で好きにやればいいだけのこと・・・お前は女の気を惹くようにすりゃあいい」
と姉妹の父、ディラン・ハイムがロランに語る言葉が意味深過ぎます。
キエルお嬢様がそんな・・・信じたくありませんが。
日本では明治時代まで性的豊穣儀礼が生き残っていたそうです。しかしながら同時期に反射炉や蒸気機関などを使用した重工業も活発になって来たのです。ターンエーガンダムは一応舞台は北米になっていますが、そういった古の習俗と産業革命が両立しているという点で日本と大変似通っているのです。
宗教的な儀式において乱交をするのは、邪教の古典的なイメージでもありますね。つい先日ベルセルクのテレビアニメ第2作で、ニーナが自身の病気という運命を忘れるように狂い乱れていました。
ベルセルクにはカトリックのような宗教が土着の自然信仰を駆逐し、邪教として排斥した描写があります。
魔女のシールケが登場し、自然の精霊がどうのこうのとなり、カトリック対異端という構図にアニミズムがどう関係していくのか気になるところであります。
現実の歴史でも、カトリックは太陽信仰や土着の風習(サンタクロースやハロウィン)などを吸収しつつも、ポセイドンが持つ三叉の槍を悪魔の持つ武器にしたりと改宗前の信仰を悪としました。
ベルセルクの世界でも、シールケが土地の精霊の神殿があったところに教会が建てられ精霊が怒っているみたいなことを言っていました。現実と似たようなことがあったようですね。ということは異端の乱交がアニミズムとなにかしら関係があるのでしょうか。豊穣を願い性的儀礼を行っていた風習がカトリックっぽいのに排斥されたが、異端として快楽のみを目的に生き残ったということでしょうか。
共同体の連帯を目的に共同体験としての性、つまり乱交を行うということはどういうことでしょう。類感呪術としての乱交ならばとりあえず理解はできましたが、こちらはすんなりとは行きません。乱交を通して連帯感、一体感を高めるというのはどうも腑に落ちません。たとえば野球やサッカーのチームがファンの女の子を呼んで乱交をしたとしてそれでチームワークが生まれるとでも言うのでありましょうか。むしろ人間関係がめちゃくちゃになりそうです。
ホイジンガは遊びのおもしろさというものをどんな論理的解釈も受け付けない根源的体験であるとしました。遊戯の面白さ快楽は自らと相手に共同のふれあいを与えるのです。面白いという普遍的感情を共有することで他人との緊密な一体感が生まれます。
遊びの快楽による忘我の陶酔が一時幼児ころのような主客未分の状況に引き戻し、他者と溶け合うような連帯感を与えるということです。
なるほど、たとえばスポーツ観戦などで熱狂している様を思い出すとよく理解できます。お祭り騒ぎでサポーター同士異様な熱気とともに一時的にではありますが強烈な仲間意識が生まれます。
普段、日常生活の中で自分が日本人であるという強烈な自覚はほぼありません。ナショナリズムというと多少勘違いされるかもしれませんが、それが表にでてくるのはやはり、オリンピックやワールドカップといったスポーツの国際試合になります。
しかし、スポーツというものがまだなかった時代、政治はいわばお祭りを行うことによって共同体の連帯を高めました。そういった背景があって、乱交という行事によって大衆を興奮状態に導くことが、原始的なナショナリズムを高揚させる政治の手段であったといえるのですね。
そしてこうした性の連帯を見守るのは女神でありました。産む性である女の性的特性に対する畏怖と崇敬の念が根底にあるようです。
それは女の特別視ではなく、生命そのものへの神聖視でありました。こうして女神が憑依した巫女は共同体統一のシンボルとして崇められたわけです。
先ほどのベルセルクでは快楽を目的にした異端の黒ミサを例にあげましたが、そうではなく真面目な性的儀式についてなにか漫画やアニメなどでないか思い出してみると、ガンダムでありました。
白富野が作った∀ガンダムの成人式です。
劇中では途中で中断してしまいましたし、明言されているわけではありませんが周囲の証言がそれを性的な儀式であると示唆しています。まあ、なにより監督があの富野ですから・・・。
この成人式では写真左のソシエ・ハイムが儀式を指揮していました。まるで巫女のようですね。そして男たちは神輿のようなものを担いでいます。これだけみていると性的な要素はなさそうに思えます。しかし、この一年前村人が儀式を覗き見していたロランとソシエをを叱り飛ばしたり、若い者はいいよなという村人のボヤキ、そしてなによりソシエの姉であるキエルが成人式を妹同様指揮していたおりの「パートナーを選びます!」という掛け声。
パートナーーーーーー????
この異様な興奮を秘めた目つき。まあ、おそらくそういうことでしょう。
「キエル、俺を選んでくれー」
という男共の雄たけび。
ヒルで背中に聖痕をつけるだけにしては、
「一晩ホワイトドールの前で好きにやればいいだけのこと・・・お前は女の気を惹くようにすりゃあいい」
と姉妹の父、ディラン・ハイムがロランに語る言葉が意味深過ぎます。
キエルお嬢様がそんな・・・信じたくありませんが。
日本では明治時代まで性的豊穣儀礼が生き残っていたそうです。しかしながら同時期に反射炉や蒸気機関などを使用した重工業も活発になって来たのです。ターンエーガンダムは一応舞台は北米になっていますが、そういった古の習俗と産業革命が両立しているという点で日本と大変似通っているのです。
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