哲学科院生による読書漫談

甲 源太

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女装と日本人(1)

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女装と日本人 三橋順子

内容紹介
ヤマトタケルの神話、中世の女装稚児、歌舞伎の女形、江戸の陰間、現代のニューハーフ……。 なぜ私たちは性別を越えたものに心ときめくのか? “女装”を軸に日本文化史を読み直す。

著者略歴 
三橋順子 埼玉県生まれ。性社会史研究者。国際日本文化研究センター共同研究員、早稲田大学ジェンダー研究所客員研究員、多摩大学非常勤講師。専門は日本におけるジェンダー&セクシュアリティの歴史、とりわけ、トランスジェンダー(性別越境)の社会・文化史。2005年度には、お茶の水女子大学で、日本初の「トランスジェンダー論」の専論講座を担当

以上、アマゾンより



2005年冬期の「はとバス」のパンフレットにはニューハーフ・ショーのお店5つとレストランの組み合わせを変えて7つのコースが用意されています。(本書は2008年出版)
現代日本では女装した男性、身体を女性化した男性をセールスポイントにした人たちのショーを手軽に見ることができるのです。しかし、その観客はニューハーフに対して性的な興奮をもっているわけではなく、気軽な娯楽として楽しんでいます。
これは日本人にとっては普通ですが、海外からしたら大変珍しいことなのです。
アメリカにおいては、男性の同性愛者向けのアンダーグラウンドな場所になってしまいます。


はとバス ホームページより
ロイヤルパークホテルザ汐留の美食ディナーと未体験ゾーン黒鳥の湖
2016年11月

日本では、ちょっとした歌唱力であっても女装という要素が加わることによって娯楽になってしまうのですね。通常の男性、女性ならばこうはなりません

90年代、著者が働いていたお店で聞いた話によりますと、
・アメリカでは大都市でもレストランに入れないし保守的な地域では身の危険すらある。トランスジェンダーや同性愛者を殺傷するヘイトクライムは世界中で起こり得る。
・韓国では不孝者、レッテルを貼られる。
だから来日した女装者が日本はパラダイス、タイの次に寛容な国であると喜ぶ。
だそうです。

日本は、性別越境者(男装した女性含む)の芸能を好むし、女装に対して寛容、そしてそのことに日本人自身が気づいていない、ということが言えるのです。
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