哲学科院生による読書漫談

甲 源太

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武士道とエロス(4)

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明治の少年愛はまだ躊躇いがちで冷静なものでした。戦国から江戸初期にかけての男色に比べればその情熱はとても幼いものであったのです。

『春日山月記』のお話。絶世の美少年である高木左伝次を小姓に持つ神保氏は「深閨ニ枕ヲ共ニ」して、「二世迄死ヲ共ニスベキコ事、今我ト汝トニアリ」というほど親密な関係でありました。そして神保氏はその美貌で上杉謙信に近づき、暗殺してしまおうと、高木を上杉領内に潜行させようとしたとあるのです。これが史実かどうかは別として、当時の男色に関する人々の考えを反映しています。

こういった日本の風習に驚いた外国人は様々な報告を祖国に送っていまして、ルイス・フロイスは宣教師としての立場から倫理的な面で日本人の性について批判的に言及しているのですが、他にもイスパニアの探検家であるセバスチャン・ビスカイノが日本の僧侶について証言こうしています。「各々(僧侶のこと)少年一人を所有し、之と共に寝に就くは帝国(日本のこと)において一般に行はるる所なり」『ビスカイノ金銀探検報告』より。
武士だけでなく、公卿、僧侶、連歌師の日記には自らの同姓愛経験を語っているものは枚挙にいとまがありませn。

武士に話を戻せば、武田信玄は後に高坂弾正という名になる小姓の春日源助に対して、自分は別の少年と浮気をしていないと身の潔白を誓うラブレターを送っています。
戦国時代は男色が兵士の結束を高める手段として盛んに推奨されましたが、江戸時代に入ると武士の職務を妨げる厄介ものとされるようになります。

天野長重という幕府旗本の鉄砲頭は、延宝九年(1681)部下の高井作左衛門が京大阪へ出張する際、高井に随行する従者に対して出張中は不淫を命じ、好色の心がうずかないように美女も美少年も見ないようにせよ注意しているのです。
つまり、男色が一般的で美女と同様に美少年も性的対象であったのです。

1719年に来日した朝鮮通信使の申ユハンは日本の風習は「奇怪きわまる」と述べました。その内容は、男娼は女娼よりも綺麗で惑わされる人の数も多く、君主から庶民まで財をつぎ込んでいる。美少年には必ず主がいて、人妻を奪うよりも遥かに難しい。
通信使の応接に対応した雨森芳洲はそれに対してこう答えました。
「学士はまだその楽しみを知らざるのみ」
と。通信使の接待をしていることから雨森は、現代で言えば外務省の官僚です。そのような立場の人間が言うのですから男色がどれほど一般的なものであったのかが推し量れるというものですね。
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