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第一村人ココア
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ザクッ、ザクッ――。
乾いた土をクワが切り裂く音が、夏の空に響いていた。
今日はいつになく熱いな……。
額から垂れる汗を首に掛けた布で拭い、一息つく。
夏野菜を育てるべく畑を耕していた。
別に季節に関係なく”植物を操れる力”でどんな季節の野菜でも作り出せる。
作り出せるのだが、やっぱり四季に合った野菜作りがいいよな。
何を生やそうかな。トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、トウモロコシ、ゴーヤ、カボチャ、色々ある。
あまり作り過ぎても腐らせるだけなので、村で処理できる量に調整する必要がある。
俺は自分では食べきれない量の野菜を、村の住人に渡している。
腐らせるよりもいいし、その野菜と物々交換を行えるのでこちらにもメリットがある。
大抵向こうから俺のところに来るので、俺が村の方に行くことは少ない。
ちなみに俺の作る野菜を盗む人間はいない。
ただでさえ訳ありの人間が集まるこの村で、そんなことをしてしまうと村人全員が敵になる。
野菜に限らず盗みは駄目絶対。
村人同士仲良くしましょう。
「ダイチさん。お野菜ください!」
ちょうど本日最初の村人であるココアがやって来た。
「どの野菜がほしいんだ?」
「えーっとトマトとカボチャですね。ありますか?」
「カボチャはあるけど……トマトはまだ小さいな、他の野菜でもいいか?」
「そうなんですね。ではトウモロコシをください」
「わかった。プニ雄、トウモロコシを四つ持って来てくれ」
俺は離れた場所にいる「謎の黒いナニカ」あらため「プニ雄」に指示を飛ばした。
プニ雄はプルンと体を震わせトウモロコシ畑へと向かう。
水やりだけでなく、収穫も手伝ってくれるのでとても助かる。
カボチャの収穫をしている間にプニ雄がトウモロコシを四つ頭にのせてポヨンポヨンと跳ねながらやって来た。
「ありがとう、プニ雄ちゃん」
頭?を撫でられたプニ雄はプルンと震え、トウモロコシをココアに渡し、畑作業に戻っていった。
「プニ雄ちゃん。すっかり畑作業が上手くなりましたね」
「そうだな……最初の頃はよく食べられてたけどな」
「フフフ。きっとわかってくれたんですよ。あっそうだ」
ココアは何かを思い出したように両手を叩くと、言った。
「お父さんがプニ雄ちゃんの小屋ができたから取りに来るようにって言ってました」
「昨日頼んだばかりなのにもうできたのか」
「ダイチさんの依頼だから最優先だって言ってましたよ」
「なんだか悪いな。せっかくだしこのまま取りに行くよ」
「では行きましょう!」
カボチャを抱え、ココアと共に村へと向かった。
◇訳アリの村(仮名)
俺の畑から村までは歩いて10分ほどかかる。
村のはずれに畑があるので仕方がない。
村を中心と考えるのなら俺の家は南側にあり、そこから南に向かって畑を広げている。
ちなみに東側には、牛や豚や鶏といった家畜を飼育している場所がある。
そして西側には、小麦畑が広がっている。
その二つに比べれば俺の畑はかなり小さいが、能力のおかげで収穫までの期間が短い。
そして既に品種改良済みの異世界の野菜は、かなり重宝されている。
今までは日持ちする芋に似た野菜を育てていたらしいが、俺の登場によりその畑が丸々小麦畑に変わったくらいだ。
自分の作った野菜が、美味しく食べられているとわかるのは嬉しいことだ。
もっとも――俺が嫌いな野菜を作る気はないけどな。
一度作ってみて、需要があるなら作ればいいかな。
ココアと談笑しながら、村の中を歩いていると、チンピラがやって来た。
オールバックの厳つい目をした青年。
年は確かココアの1つ上だったか。
「おうおう! 農家が何しに来やがった!」
彼の名前は「ウィンストン」。村にある家畜を育てている家の三男だ。
「ねえ、ダイチさんにそんなこと言うのやめてっていつも言ってるよね?」
「ケッ、よそ者が育てた野菜よりも家畜を育てている俺の家の方が上だっての」
なぜか彼は俺を見かけると毎回絡んでくる。
あくまでも絡んでくるだけだ。暴力を振るわれた事はない。
実際、暴力を振るわれたところで、対処できるので問題ない。
魔物に比べれば可愛いものだ。
そんな彼の物言いに、ココアの額に青筋が浮かんだ。
「ふんっ!!」
「ぐべええええ!!」
ココアは一瞬で腰を深く落とし、膝のバネを利用した拳をウィンストンの腹へと突き刺した。
ウィンストンはそのまま蹲り、動きを止めた。
腰の入ったいいパンチだ。
さすが鍛冶屋の娘、力強い。
「ココア、ストップ。俺は気にしてないから」
トドメを刺そうとするココアを止め、俺は本来の目的を思い出させる。
「早く行こう。親父さんも待ってるんだろ?」
「……わかりました。行きましょうか」
ウィンストンは……体がたまにビクついてるから大丈夫だろう。
彼が絡んできたときに、ココアが傍に居るといつもこうなる。
そろそろ学習してくれないかな……。
俺たちはウィンストンを放置して歩き出した。
乾いた土をクワが切り裂く音が、夏の空に響いていた。
今日はいつになく熱いな……。
額から垂れる汗を首に掛けた布で拭い、一息つく。
夏野菜を育てるべく畑を耕していた。
別に季節に関係なく”植物を操れる力”でどんな季節の野菜でも作り出せる。
作り出せるのだが、やっぱり四季に合った野菜作りがいいよな。
何を生やそうかな。トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、トウモロコシ、ゴーヤ、カボチャ、色々ある。
あまり作り過ぎても腐らせるだけなので、村で処理できる量に調整する必要がある。
俺は自分では食べきれない量の野菜を、村の住人に渡している。
腐らせるよりもいいし、その野菜と物々交換を行えるのでこちらにもメリットがある。
大抵向こうから俺のところに来るので、俺が村の方に行くことは少ない。
ちなみに俺の作る野菜を盗む人間はいない。
ただでさえ訳ありの人間が集まるこの村で、そんなことをしてしまうと村人全員が敵になる。
野菜に限らず盗みは駄目絶対。
村人同士仲良くしましょう。
「ダイチさん。お野菜ください!」
ちょうど本日最初の村人であるココアがやって来た。
「どの野菜がほしいんだ?」
「えーっとトマトとカボチャですね。ありますか?」
「カボチャはあるけど……トマトはまだ小さいな、他の野菜でもいいか?」
「そうなんですね。ではトウモロコシをください」
「わかった。プニ雄、トウモロコシを四つ持って来てくれ」
俺は離れた場所にいる「謎の黒いナニカ」あらため「プニ雄」に指示を飛ばした。
プニ雄はプルンと体を震わせトウモロコシ畑へと向かう。
水やりだけでなく、収穫も手伝ってくれるのでとても助かる。
カボチャの収穫をしている間にプニ雄がトウモロコシを四つ頭にのせてポヨンポヨンと跳ねながらやって来た。
「ありがとう、プニ雄ちゃん」
頭?を撫でられたプニ雄はプルンと震え、トウモロコシをココアに渡し、畑作業に戻っていった。
「プニ雄ちゃん。すっかり畑作業が上手くなりましたね」
「そうだな……最初の頃はよく食べられてたけどな」
「フフフ。きっとわかってくれたんですよ。あっそうだ」
ココアは何かを思い出したように両手を叩くと、言った。
「お父さんがプニ雄ちゃんの小屋ができたから取りに来るようにって言ってました」
「昨日頼んだばかりなのにもうできたのか」
「ダイチさんの依頼だから最優先だって言ってましたよ」
「なんだか悪いな。せっかくだしこのまま取りに行くよ」
「では行きましょう!」
カボチャを抱え、ココアと共に村へと向かった。
◇訳アリの村(仮名)
俺の畑から村までは歩いて10分ほどかかる。
村のはずれに畑があるので仕方がない。
村を中心と考えるのなら俺の家は南側にあり、そこから南に向かって畑を広げている。
ちなみに東側には、牛や豚や鶏といった家畜を飼育している場所がある。
そして西側には、小麦畑が広がっている。
その二つに比べれば俺の畑はかなり小さいが、能力のおかげで収穫までの期間が短い。
そして既に品種改良済みの異世界の野菜は、かなり重宝されている。
今までは日持ちする芋に似た野菜を育てていたらしいが、俺の登場によりその畑が丸々小麦畑に変わったくらいだ。
自分の作った野菜が、美味しく食べられているとわかるのは嬉しいことだ。
もっとも――俺が嫌いな野菜を作る気はないけどな。
一度作ってみて、需要があるなら作ればいいかな。
ココアと談笑しながら、村の中を歩いていると、チンピラがやって来た。
オールバックの厳つい目をした青年。
年は確かココアの1つ上だったか。
「おうおう! 農家が何しに来やがった!」
彼の名前は「ウィンストン」。村にある家畜を育てている家の三男だ。
「ねえ、ダイチさんにそんなこと言うのやめてっていつも言ってるよね?」
「ケッ、よそ者が育てた野菜よりも家畜を育てている俺の家の方が上だっての」
なぜか彼は俺を見かけると毎回絡んでくる。
あくまでも絡んでくるだけだ。暴力を振るわれた事はない。
実際、暴力を振るわれたところで、対処できるので問題ない。
魔物に比べれば可愛いものだ。
そんな彼の物言いに、ココアの額に青筋が浮かんだ。
「ふんっ!!」
「ぐべええええ!!」
ココアは一瞬で腰を深く落とし、膝のバネを利用した拳をウィンストンの腹へと突き刺した。
ウィンストンはそのまま蹲り、動きを止めた。
腰の入ったいいパンチだ。
さすが鍛冶屋の娘、力強い。
「ココア、ストップ。俺は気にしてないから」
トドメを刺そうとするココアを止め、俺は本来の目的を思い出させる。
「早く行こう。親父さんも待ってるんだろ?」
「……わかりました。行きましょうか」
ウィンストンは……体がたまにビクついてるから大丈夫だろう。
彼が絡んできたときに、ココアが傍に居るといつもこうなる。
そろそろ学習してくれないかな……。
俺たちはウィンストンを放置して歩き出した。
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