小説の世界に入った私~子爵令嬢ポピーとして物語を楽しませていただきますわ!~

オケラ

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#2 え”っ!!

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 朝食を済ませた後、ベラは部活動へ行ったので私は部屋に戻り机に向かった。
 小説の内容や今の状況を紙に書きだしていき、頭を整理させた。

(私たちは今、高等部1年生で季節は春なのよね。つまりまだ、エミリーはアルザといい感じで……夏休みには一緒に夏祭りに行って、そこでアルザがエミリーにキスをするのよね……! きゃーっ!)

(そのまま婚約すると思ったのに……どうしてエミリーはマークスを選んだのかしら? アルザとはとてもいい雰囲気だったのに、学園祭が過ぎた辺りからエミリーがアルザと距離を取るようになったのよね。マークスと一緒に過ごすことが格段に増えていって、どんどん彼に惹かれていって……)

(わかるわ、マークスは紳士的でカッコいいもの! だけど、アルザとは幼い頃から知った仲でキスまでしたのに……!)

(学園祭で何があったのかしら? シャルラーナ先輩は教えてくれなかったのよね。書いた本人にしかわからないのに『それは秘密にしておくわ』って……)

(それがわかれば、エミリーとアルザをくっつけることは可能かしら……?)

 ふと邪な考えがよぎるも、すぐに考えを改めた。

(ダメよ! それは絶対にしてはいけないことよ! 物語の結末を変えてしまうだなんて、絶対にあってはいけないこと……シャルラーナ先輩に失礼だわ!)

 あれこれ頭を働かせているうちに、気づけば昼食の時間になっていた。

「うそ! もうお昼なの!?」

 15時からベラと一緒に勉強することになっている。

(それまでに校舎を探検しておきたいから……えーと……とにかく昼食を取りましょう!)

 私は急ぎ足で食堂へ向かった。
 B定食を選び、人の少ないテーブルにつく。

(2時間あれば充分探検できるわよね……?)

 そう思いながら食べていると、向かいの席に一人の男子生徒がやって来た。
 手に持つトレーには同じB定食が乗っている。

「やぁ、ポピー。一緒に食べていいか~い?」

 チラッと彼の胸のバッジを見る。
 紫色だ。

(紫色ということは2年生ね……)

「……えぇ。大丈夫ですわ」

「……えっ!? いいの!?」

「えぇ……」

 そう返事をしたものの内心冷や冷やしていた。

(あなた様は誰ですのー!? 予想外だわ、まさか話しかけられるだなんて……それも先輩の殿方様に!)

(2年生に知り合いなんていたかしら? ポピーと親しい殿方様はライム様だけのはずじゃ……。ど、どちら様でしょうか!?)

 彼は席に着くと嬉しそうに口を開いた。

「嬉しいなぁ。いつも笑顔で断られるから、まさかOKがもらえるなんて!」

(え”っ!!)

「僕の魅力に気づき始めたってことかな~? ん~まっ!」

 そう言って彼はウインクをした。

ゾワワワワ……!

 全身に鳥肌が立った。

(に……苦手なタイプだわ……!! わかるわ……笑顔で断ってきた理由が手に取るようにわかるわ……!!)

「はぁ……」

 彼に聞こえないように、かすかにため息を吐く。

(どうして誰かもわからないのにOKしてしまったのかしら……もっと慎重に返事をするべきだったわ……)

 そう後悔していると、彼が突然立ち上がった。

「ねぇ、せっかくだから隣に座ろうよ! ポピーを近くで感じたいな~」

ゾゾゾゾゾワァ……!

 巨大な寒気が全身を包み込む。

「そっ それはお断りしますわ! このままでお願いいたします!」

 はっきりと口にしたはずが、彼はトレーを持ち上げた。

「恥ずかしがっちゃって~! 照れてるポピーもカ~ワイイな~」

(ひぃぃ!!)

 反射的にこの場から逃げようと無意識に半分立ち上がった時、

「ダニール先輩、いけませんよ」

 斜め後ろから凛とした声が聞こえ、私は振り返った。
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