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 それからの森 6

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「ひょひょを……ほふのふひを用足ひにふはってふだひゃいっ」

 唇を何度も舐めつつ、すがるように見上げる敦。ドゥエルはゾクゾクする愉悦が凄まじい勢いで背筋を這い上るのを感じる。
 越えてはならない一線に脚をかける緊張感。今まで散々蹂躙尽くしてきたにもかかわらず、彼が手を出しあぐねていた領域。
 そこを侵して穢すことを許した敦の姿に、ドゥエルは得も言われぬ興奮が脳天を突き抜けた。

 堪らないね、ホント…… 君といると、新たな感情ばかりが湧いて、自分でも驚くよ。

 ただ虐げるだけの奴隷。生理的欲求を満たすだけな生き物。使い潰して当たり前、道具でしかないはずのソレに一目惚れした自分。
 他の奴隷にこんな感情を抱いたことはなかった。男色とはいえ、人間でない生き物に劣情以外を抱くことは恥だと思っていた。ティモシーの世界で、単体な奴隷は家畜なのだ。家畜に色恋を感じるなど変態でしかない。突っ込んで刻んで遊ぶだけの、ただの肉袋。

 ……なのに。

 突然、眼の前に現れた無垢な少年。

 誰にも触れられてない最奥を暴かれ、初めての情交に泣き叫ぶ敦を見た時、ドゥエルは腹の奥が重く疼くのを感じた。
 徹底的に辱めて服従させたい。泣かせ、佳がらせ、その頭の中を自分で一杯にさせてやりたい。
 血管を逆流するかのように激しく鼓動を高鳴らせる欲情。
 檻に閉じ込め、繋いで睦みたい。深々と犯しまくり、潤んで蕩ける少年の顔を他に見せたくない。その瞳に映るモノは己だけでありたい。
 天井知らずに滾る欲望。そんな殺伐とした不可思議な気持ちに満たされ、彼は敦を我が家に連れ帰ったのだ。ついでにナズナも。

 そう。ついででオマケなのはナズナの方だった。

 長い時間をかけて可愛がり、丁寧に躾けてきた敦。その調教が、今、佳境を迎えている。
 胸が破れそうなほどの鼓動に期待を膨らませ、ドゥエルは敦の最後の砦を攻略しようと動く。

「じゃあ、さっそく…… ほら」

 震える少年の唇に先端を含ませ、ドゥエルはそのまま強く敦の頭を掴んだ。こんな気持ちは初めてで、彼は綻ぶ顔を抑えられない。まるで初心な乙女のように擽ったい恥じらいを感じつつ、ドゥエルは少年の舌の上に一物を置いた。

 微かに震える温かい舌が堪らない。

「呑み込むんだ。根本までね」

 ぐっと押し返そうとする肉の抵抗を愉しみ、彼は嘔吐く敦の喉に己の一物全てを呑み込ませる。萎えていてもかなりの質量だ。敦の喉が悲鳴をあげて吐き出そうと暴れるが、そんなものは物ともせず、どっしりと重たい御立派様をドゥエルは押し込めた。
 限界まで伸び広がり、みちみち軋む肉壁。その抵抗を愉しみつつ、ドゥエルは敦がちゃんと呑み込むまで待ってやる。
 そして軽くぶるっと震え、彼は敦の中に己の内包物を注ぐ。
 藻搔き暴れる少年の頭を押さえつけ、彼はすっかり空っぽになるまで敦に呑み込ませた。
 思わず上気し、恍惚となるドゥエル。なんとも言えぬ征服感が凶暴に彼の腹の奥を掻きむしる。

「……っはぁ。ごめん、溜めてたから。街と家を往復したせいでね」

 もがもが呻いて眼を白黒させる敦が可愛らしい。

 ふふっと小さく笑い、ドゥエルは生理的欲求第二弾に取りかかる。放尿した彼の一物がムクムクと大きく膨らんでいった。

「む…ぐっ? んぅーっ?」

 徐々に押し拡げられる敦の喉。そこをぬちぬちと掻き回しなら、ドゥエルは顔をうっとりさせて呟いた。

「頑張る君の姿が可愛いすぎて…… もう、我慢の限界」

「んーっ! ん…ぅ……っ、んんんっ」

 萎えていた柔らかな状態と違い、今のドゥエルの陽根は倍に膨らんでいる。しかもガチガチの硬度を保ち、それを動かされると、敦の喉の柔肉が限界一杯の中を引きずられた。
 メリメリと肉を絡ませてひきずられる食道。抉るように突き上げ、引かれる凶器。その引かれる動きの度に、敦は内臓が裏返るような錯覚に襲われ、くぐもった声をあげる。
 苦しげに喘ぐ喉の動きが堪らない。吐き出そうとする蠕動を抑え込んで捩じ込む心地好さ。それを心ゆくまで堪能し、ドゥエルは獣のような声をあげて敦の中に熱い猛りを迸らせた。
 少年は為す術がないのもあるだろうが、素直にドゥエルのされるがままだ。彼にされることを一切拒まない。ナズナの命という枷もある。むしろ、何でもして下さいといった感じを醸すアツシがドゥエルの目に眩しい。
 今の少年は願っている。ドゥエルに使われることを。ドゥエルの庇護を心から求めていた。

 ああ…… よくやった、ナズナ。ここまでアツシを落とせるとは。君は価値のあるゴミだね。

 彼女が手の内にあれば敦を意のままに変えられる。奴隷印を刻んだところで心は手に入らない。脅し、虐げて心を挫けさせても気持ちは変えられない。

 ナズナのためとはいえ、自ら献身する可愛い奴隷にドゥエルは夢中だった。

 そして彼は異世界人たるナズナや敦が、存外脆いことを知る。こちらの常識にあれほど青ざめていた二人だ。精神的なモノもあるし、肉体的にもかなり弱いようだとドゥエルは考えた。
 ティモシーの半陰陽でも、ここまで細く柔らかくはない。なんのかんのと豪倫なティモシーの人間は、敦の世界の人間と比べて心身共に化け物なようだった。

 ……危なかった。今までは幸運だったのだろう。このまま容赦なく責め立てたら、敦の身体も心も壊れたかもしれない。

 彼の想像どおり、今までは若さと無知でドゥエルの行為を受け入れられていた敦である。これ以上行為が増え、激しさを増したら、間違いなく身体を損ない精神が崩壊するだろう。
 ナズナの一件でソレに気づいたドゥエルは、今まで以上に慎重に敦と睦んだ。少年の身体がどこまで耐えられるのか。心は大丈夫か。観察し探るような彼の愛撫は逆に濃厚さを増して、別の意味で敦を泣き叫ばせるのだが、愛があるので無問題。

 そんなこんなで日々が過ぎ、ドゥエルは約束を守ってナズナのために四肢のない研究奴隷専門の飼育員を雇ってくれ、お世話の仕方を近くで学ぶ敦。

 だが、その大半は少年が眼をすがめるような乱雑さだった。

 専用待機台は、敦からみたら洋式便座。身体を拘束する台やベルトが着いているだけで、奴隷が垂れ流し出来るようにしか出来ていない。しかも汚れるからという理由で、尿道にはカテーテルを突っ込みっぱなし。
 食事もまるでフォアグラのガチョウのように食道へ通した管から流動食を注入。風呂に至ってはお湯の入ったバケツにタオル。それでガシガシと拭きまくるだけ。
 だがまあ、専用器具の扱いは流石だった。カテーテルを入れっぱにするなら必要な抗生剤や床ずれ防止用具。特に四肢を失ったばかりなナズナは、手脚があると錯覚して無意識に動く場合があり、そういったことで起きる事故の予防など。 

「専用待機台を使わないで檻に飼うのか? なら、こっちも必要だな」

 飼育員が持ち出したのは太いシリンジ。あるモノを使えと、ドゥエルが予め用意していてくれたモノだ。こうなるだろうと見越した彼には頭が上がらない敦。

「決まった時間まではストッパーで我慢させろ。そうするうちに、決まった時間に出すようになるから。出さない時は、ぬるま湯をたらふく流し込んで出させろ。便秘が長く続くと腹の中で汚物が腐敗するから。長生きさせたいなら毎日綺麗にしろよ?」

 何でもないことのように宣う飼育員様。なんでも、四肢を落とすと体内の循環が変わるらしく処理用のスライムが安定しないらしい。
 ただでさえ健康を維持するのは難しく、自然な排泄に頼らざるをえないとか。

 ナズナはお尻もドゥエルに拡張されている。こんなモノを使うことはないだろう。……ないと思わせてくれ。頼むから。

 ………まるで犬の躾だ。

 淡々と教えてくれる飼育員になんとも言えぬ切なさを覚え、敦は本当にこれで良かったのだろうかと心が揺らいだ。

「地球の達磨女とかも、こんな扱いされてるのかな」

 お年頃だった少年は、色めいた事を検索するうちにそういった知識も得ていた。まさか本物を目にするとは思わなかったが。

「ダルマ女って?」

 力ない敦の呟きを拾い、ドゥエルが好奇心に満ちた顔で尋ねてくる。

 あ~…… と胡乱げな目を彷徨わせ、敦は簡単な説明をした。それに得心げな頷きをみせるドゥエル。

「ふうん。まあよくあるか。奴隷への罰で部位欠損は普通だしね。そういう嗜好ってのは分からないが。だって四肢を落としたら、その奴隷は御仕舞だもの。もったいないじゃないか。するとしたら廃棄前提な時だけだよ」

 ……地球なら普通じゃないんだけどなぁ。価値観が違いすぎて、もうすり合わせるどころの話じゃないね。はあ……

 飼育員にお世話を教わりつつ、さらに過酷となる己の未来を未だに知らない少年だった。
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