耽溺の森 〜だから僕らは森から出ない〜

一 千之助

文字の大きさ
35 / 38

 享楽の森 3

しおりを挟む

「さて…っと今日は何にするかな。エネマは基本だよな。お腹はいつも綺麗にしないと。大事な弟だしな。手枷。口枷。目隠しも良いな。怯えるタケシは身震いするくらい可愛いし。プジー、太くしてみるか?」

 ご機嫌で玩具を漁る兄を、じっとり三白眼で見つめる弟。

 ………そういうのって、本人の前でやらないで欲しいんだけど。

 何をされるのか分からず、戦々恐々なタケシだった。





「うぁ…っ、うっ…そぉ」

「優しくするって言っただろ? 気持ち悦いか?」

 絶句する弟を見据え、ワタルの声が凄みを増す。

「気持ち悦いか? なあ? 答えろよ」

「悦いっ、気持ち悦いよぅっ! ……でも、怖くて…っ」
 
「なんだ。ホント可愛いな、お前は」

 わしわしと頭を撫で回して、ワタルは行為を続けた。

「ひ…っ!」

「大丈夫だって。怖くないぞ~」

 ご機嫌なワタルの手にはリングのピアス。それをブツっとタケシの乳首に通し、繋いでいる。
 目の前で貫かれ、激痛を覚悟するタケシだが、鋭い針に貫かれた瞬間、彼は脳天から四肢まで突き抜ける快感にイってしまったのだ。今も心臓がバクバクしている。
 そしてまた、鋭い針がタケシの乳首に充てがわれた。

「よ…っと」

「ひぎ…っ?! いいいいぃぃっ!!」

 再び目の裏に火花が散り、タケシは絶頂に叩きつけられる。ぶるぶる激しく揺れるタケシ手足。指先まで貫く快感のあまり、少年は痙攣が止まらない。爆発した一物からも白い液体がしたたり、ポタポタと床を濡らしていた。
 しかも、その余韻を抉り出すように、ワタルが弟の乳首に装着したピアスを引っ張って遊ぶ。

 ドゥエルから譲られた秘蔵の薬は毎度良い仕事をしてくれて、こんな酷い行為ですら甘美な一時に変えた。

「ぁ…っ、ひぐっ!」

「悦~い声。痛いこと大好きだなぁ、お前」

「ちが…っ ………っ、いや、そのっ!」

 思わず口から溢れた反抗。それを耳聡く拾い、ワタルが眉を跳ね上げた。

「違う? こんなんで発射しておいて? なあ? コレお前のだよなぁ? 佳がってブチまけて、何を寝言ほざいてんだ?」

 ワタルはタケシが吹き出した精を指にとり、弟の口に捩じ込んだ。独特な据えた匂いが鼻につき、思わず吐き出しかかるタケシ。
 それを見咎め、ワタルはにんまりと笑った。

「素直になれないなら。お仕置きだな?」

 地獄の獄卒すらはだしで逃げ出しそうな残忍な笑み。魔王のごとき兄を見つめて、タケシは心胆寒からしめられる。
 だが、それに比例して高まり大きく脈打つ自分の心臓。きゅうっと腹の奥が疼き、タケシの呼吸が甘く荒らいでいく。
 
 なに、これっ? なんか、胸が苦しい……

 思わぬ自分の身体の反応に慄く弟。その幼い一物が立ち上がっているのを見て、ワタルが一瞬、惚けたような顔をした。

 ……こいつ。お仕置きっていわれて、興奮してんのか?

 薬の手伝いもあるが、深く深くと嬲られ続けたタケシの身体は、ワタル好みに慣らされつつある。残虐な行為の根底には溢れんばかりな愛情。それを感じ取り、無意識に応えるタケシの身体。
 本人にも自覚はなかろうが、艶めかしい蝶に変貌しようといている弟の片鱗に気づいたワタルは、その姿を見て眼が眩む。
 
 ……そういうとこだぞっ! お前はぁぁーっ!!

 ふぅふぅと高まる身体を持て余すタケシ。そこにワタルはトドメを刺してやった。
 ニードルを手に取り、立ち上がっている幼い御立派様に充てがう。ひっと仰け反る弟を情慾に潤んだ淫猥な眼差しで見つめ、獣じみた雰囲気で囁いた。

「ここにも着けてやるよ。一つ…… いや、左右に二つ? 反り返りがジャラジャラ鳴るくらいに増えると良いな? お前のカリ首を全体にさ……」
 
 鼻先が触れ合うほどの位置から怯えるタケシを睨めつけ、ワタルは幼い一物の反り返り部分をニードルで貫いた。

「あーーーーっ!!」

 ぐりぐり貫通するまで突き刺し、プツっと浮いた紅い玉を拭いつつ、彼は弟のモノにリングのピアスを装着させる。今回は薬をつかっていないため、タケシは容赦なく肉を抉る痛みに身悶えた。

「お仕置きだからな。痛いか? ……?」

 さぞ辛らかろうと、ほくそ笑んだワタルだが、次の瞬間、彼は限界まで眼を見開く。
 ニードルを貫通させたにもかかわらず、タケシのモノは萎えていない。それどころが、さらに硬度を増し、今にも爆発しそうなほど熱く猛っていた。
 信じられない面持ちで弟を見上げたワタルは、激痛に震えつつも、とろんっと蕩けた顔のタケシを見つける。
 溢れる吐息は甘く、ハラハラと流す涙と潤んだ瞳。上気した頬が、この暴力的なお仕置きに感じているのだとワタルに知らせていた。
 ふるふる指を震わせてつけたばかりのピアスをなぞり、ワタルは顔を俯向けて思わず緩む口角を隠す。顔面が雪崩を起こしそうなほど、彼の身体は凄まじい歓喜に襲われていた。

 ………っんだよっ、その顔はっ! 悦いのかよっ! なあっ? ~~~~~っ、堪んねぇな、おいっ!!

 ワタルの腹の底から、ぶわりと湧き上がる残忍な愉悦。血管を逆流するかのように暴れまわる激しい劣情。渦巻くソレに圧され、彼は、ゆっくり立ち上がると弟の首を掴んだ。

「素直にならないなら、ここに一つずつピアスを増やしてやるよ。……お仕置きだ。嬉しいか?」

 お仕置きと言われて、慣れた疼きがタケシを責め苛む。それを見逃さず、ワタルは少しずつ指に力を込めた。
 徐々に締まっていく弟の細い首。恍惚とした眼差しで相手の反応を窺っていたワタルは、息が止まる寸前、タケシの顔がうっとりと緩んだのを見た。
 小刻みに震える薄い唇をペロッと舐めた小さな舌。その紅さが酷く眼に刺さり、あまりの興奮に、ワタルはタケシの片足を持ち上げて、下準備もしてない蕾を貫いた。

「ひいっ…あっ! あーーーっ!! ……がっ?!」

 ホントに、こいつはぁぁぁーーーーっ!!

 タケシの悲鳴が途中で途切れる。ワタルの指が喉を潰すほど掴んだからだ。落ちるか落ちないかの絶妙な力加減で弟の首を締めながら、ワタルは夢中になって腰を突き上げる。
 酸欠も手伝い、苦しさで喘ぐタケシの身体は痙攣するように収縮し、捩じ込まれワタルのモノを酷く締め付けた。

 なんつー……っ! うおっ! 締まりすぎだろうっ!

 首を締められることで意識が朦朧とするタケシ。断末魔のような呼吸を繰り返してびくん、びくんっと跳ねる身体がワタルを逆に責め苛む。ぎゅぎゅっと狭まり締めつけるタケシの柔肉の中を掻き回しつつ、ワタルは眉を固く寄せて夢心地な苦悶に喘いだ。

 死を目前にしたギリギリのラインで得られる刹那的快楽。

 泡を吹く弟に噛みつくような口づけをし、ワタルは一際大きくタケシを貫きながら、自分の猛りが爆発すると同時にタケシを落とした。
 一瞬の緊張が幼い身体を硬直させ、次にはぐったりとワタルの腕にもたれこむ。
 はーっ、はーっと荒い呼吸をつきつつ、ワタルもまた、激しく極上な一時の余韻を堪能した。未だに痙攣する弟の最奥が気持ち悦い。

「……癖になるわ、馬鹿野郎」

 もはやワタルにはタケシしか見えていなかった。

 閉鎖的な森の中で培われていく歪んだ愛情。

 こうして御互いを慰め合う兄妹は、他には分からない深い絆を太く糾っていく。



「アユム兄ちゃんはドゥエルのモノなんだよね?」

「んだな。で、お前は俺のモノ」

「ヒロト兄はマサルといつも一緒だよね。ツトムは?」

「ああ、あいつも十歳になるか。教えてやらないとなぁ。今度、皆でやるか」

 それなりにカップリングも出来、性的なことに何の禁忌もないティモシーで、兄妹は異様に奔放だった。

「昨日、アユム兄としたんだけどさ。優しいの。すごく」

「アユムと? まあ…… あいつは優しいよな。でも俺だって優しくしたいと思ってんだぞっ?」

 それぞれの共有にも躊躇はない。それでも、面白くなさげな顔をするワタルに、タケシはコソッと耳打ちする。

「気持ち悦かったけど。……物足りなくて」

 思わず眼を丸くするワタルの耳をペロッっと舐め、タケシは上目遣いに彼を見上げた。
 それに残忍な笑みを返し、ワタルは弟を抱き寄せる。

「アユムにケツ振ってきたんだろ? お仕置きだな?」

 途端に、ずくっと腹の奥が疼くタケシ。その蕩けた顔を見て、ワタルは心の底から至福を感じる。
 秘密めいた二人の様子を、ドゥエルが遠目に観察していたとも知らずに。

 ………ホント、君って、私にそっくりだよね。

 血の繋がりもないのに似ている謎。氏より育ちとは、よく言ったものである。

 こうして淫らな結束を深め、異世界の血をひく一族は血族にしか愛情を抱けない生き物に変貌した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

塩対応の同室αが実は俺の番を狙っていた

雪兎
BL
あらすじ 全寮制の名門学園に入学したΩの俺は、入寮初日から最悪の同室相手に当たった。 相手は学年でも有名な優等生α。 成績優秀、運動もできる、顔もいい。なのに—— めちゃくちゃ塩対応。 挨拶しても「……ああ」。 話しかけても「別に」。 距離も近づけないし、なぜか妙に警戒されている気がする。 (俺、そんなに嫌われてる……?) 同室なのに会話は最低限。 むしろ避けられている気さえある。 けれどある日、発情期トラブルで倒れた俺を助けてくれたのは、 その塩対応αだった。 しかも普段とは違い、必死な顔で言われる。 「……他のαに近づくな」 「お前は俺の……」 そこで言葉を飲み込む彼。 それ以来、少しずつ態度が変わり始める。 距離は相変わらず近くない。 口数も少ない。 だけど―― 他のαが近づくと、さりげなく間に入る。 発情期が近いと察すると、さりげなく世話を焼く。 そして時々、独占欲を隠しきれない視線。 実は彼はずっと前から知っていた。 俺が、 自分の運命の番かもしれないΩだということを。 だからこそ距離を取っていた。 触れたら、もう止まれなくなるから。 だけど同室生活の中で、 少しずつ、確実に距離は変わっていく。 塩対応の裏に隠されていたのは―― 重すぎるほどの独占欲だった。

処理中です...