一枚のコイン 〜変わるは裏表〜

一 千之助

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 理不尽な王子 9

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「は……っ、はあ……っ、なんだ、こいつぅぅ」

「ど、どんだけ出したよ? え?」

「少なくとも…… っく、八人で四巡。三十二回……以上……っ?」

「さ……っ? マジかぁぁ………っ」

 唖然と少年を見つめる若者達。

 くったりソファーにもたれて眠る少年。連続絶頂で失神し、無理やり起こされ、ついには起こしても起きないくらい深く気絶した。
 意地でも粗相をさせてやろうと小さなお尻に精をぶち込んでいた若者らだが、結局、先にギブアップしたのは彼らのほうである。

「いや、しかし、良い身体してるよなぁ?」

「ほんと、ほんと。マジで搾り取られる感じ。……思い出すだけで寒気がするほど気持ち悦かった」

「背筋が震えるよな? ……これさ。粗相したことにして、誰かの嫁にしないか?」

 にたりとほくそ笑み、悪巧みをする八人。

「良いな、それ。皆で可愛がろうぜ?」

「賛成、時々貸してくれるなら、協力するよ?」

「こんなかだと一番身分が高いのはクロエか。どうする? 嫁にする?」

 クロエと呼ばれた青年が顔を上げた。

「……でも。騙すなんて可哀想だよ。このまま帰らせてあげよう。求婚するんでも良いじゃない」

「……お人好しだなあ、クロエ。こんなチャンス、滅多にないぞ? まだ洗礼したばっかな仔犬だぜ? 好きに躾けて自分好みに出来るのにさ」

「そうそう。下手に遠慮してたら、器量良しはすぐに取られるぜ?」

「でも……」

 クロエは、疲労困憊で眠る源之助の顔を撫でた。汗で張り付いた乱れ髪を取ってやり、その柔らかな肌を指先で愉しむ。
 
 ……と、ふいに誰かが後ろから声をかけてきた。

「良い趣味だね。八人がかりで? 相手が気絶するほど? ふふ、お盛んだ。そういう年頃か」

 ぎょっとした顔で振り返る若者達。彼らの視界に映ったのは、この国の王太子リヒャルトだった。

「……嫁にするとか? 見た感じ、粗相もしていないし、本人の意識もないみたいだけど?」

 すう……っと眼を細め、威嚇するような王子に怯え、貴族青年らはしどろもどろな言い訳をしつつ、その場から逃げ出していく。
 一人残ったクロエは、少し気まずげな顔をして、源之助の頭を自分の膝にのせた。

「申し訳ありません、少し興が過ぎたようで。彼らの分もお詫びします」

「……それで? どうするつもりなのかな? その子を」

「目覚めるまで待って…… 求婚しようかと。断られたら、家まで送りますので」

「………………」

 無言で佇む二人だが、結局、源之助が目覚めることはなく、リヒャルトが預かり、彼の宮に泊まらせることとなる。

 そして…………



「ありがとうっ!! 我が家の嫁だっ!!」

 疲労困憊で、閣下に抱き寄せられるリドル。

 ……うっそだろうぅぅ、この歳になって、嫁ぇぇ?!

 獲物の乱れようにハッスルした閣下ら兄弟の渾身の責め立てに耐えきれず、とうとうリドルは粗相をしてしまったのだ。
 こぽりと垂れた一雫。それでも漏らしたのは間違いない。
 このまま親御さんに挨拶をと、鼻息も荒く駆け出した閣下に抱かれたまま、茫然自失だったリドルは、着いた我が家で源之助がいないことを指摘される。

 うわああぁぁーっと王宮に取って返すリドルと家族達。だが、時すでに遅く、夜会も終了した王宮は中に入れなかった。
 必死に頼み込んで探してもらった結果、なんと少年は王太子の宮に泊めているという。

 後日帰宅させるとの言伝をもらい、仕方なく帰るリドル達。

 まさかこれが、少年との最後の別れになるとは、この時、誰も思っていなかった。
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