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理不尽な接待 2
しおりを挟む「後宮の華ですか?」
「そうだ。素質のある者を選んで接待させている。その一人にならないか? 報酬は弾むぞ?」
突然の申し出に源之助は首を傾げた。
しかし、よくよく聞いてみれば、ようはクラブやキャバレーと同じ。お偉いさんを接待し枕営業する職種だった。
「貴族家は跡取りの嫁不足でね。……中には薬まで使って、奴隷落ちさせ娶るような悪質な家もある。なので、適齢期の子供を後宮に入れ、房中術を仕込むと同時に接待につかせるんだ。後宮の華なれば、悪質な手段は使えない。私のお手つきということだからね? で、気に入った家から申し出があれば嫁がせる形にしている」
……なるほど?
要は貴族家の子を保護して縁組みさせている感じだが、お手つきにしてるあたり、純然たる好意でもない。でも、薬やなんやらで壊されるよりは、断然マシだろう。
「……報酬ということは、それを職業にしても良いということですか? 嫁ぐうんぬんはなしで」
「……聡いな。そういう者も一部にはいる」
今回の夜会でも華達は活躍したらしい。過ぎた行為に及ぶ者らを誘惑し、自らを与えて虜にする。房中術を心得た者達だ。さぞ艶やかに舞ったことだろう。
……職業としてか。これも有りっちゃあ有りかなぁ?
『ですな。不特定多数の精を注がれれば、神樣も喜びま』
……喧しすぎるよ、お前。
こうして、源之助は王太子のお手つきとなり後宮に入れられる。実際、手をつけられているので問題もない。
ここで初めて知ったのだが、王族のみお手つきという制度があった。伴侶も庇護者もない相手なら、王族のお情けを頂いた瞬間、問答無用で後宮に収められるのだ。
つまりその気になれば、リヒャルトはいつでも源之助を囚えることが可能だった。
しかし、合意で友好的にいきたかった彼は、それをしなかった。まず源之助の了承を得てからと、今回お持ち帰りしたのである。
「引き受けてくれて嬉しいよ。なんなら成人したら私の妃になるかい? 君なら大歓迎だ」
「お戯れを。しがない庶民に妃なんて務まりません」
「……庶民ね」
すうっと細められたリヒャルトの双眸。そこに一閃した昏い光に源之助は気づかない。
……教わらなくともタワシや石鹸を使い、慣れた感じで洗っていたよね? 風呂は貴族の贅沢だ。庶民はおろか、富裕層ですらやれない贅沢。下級貴族の中にも風呂を知らない者はいる。
いったいどこで知ったのか。それもあれだけ慣れた風なのだ。生まれてからずっと親しんだとしか思えない。
リヒャルトは舐め回すように源之助を見た。
今のやり取り一つにしたって可怪しい。まだ洗礼したばかりの子供とは思えない大人びた口調と言葉。
これが庶民? 悪い冗談だとリヒャルトはほくそ笑む。
……どこかの王族の落し胤か、末裔か。そのあたりかもしれないな。随分と独特な顔立ちをしているし、海を越えた外つ国の者かもしれない。
謎めいた魅力をちらつかせる子供。
愉快で仕方ないという顔を隠しもせず、リヒャルトは源之助を王宮地下の聖殿に連れて行った。
そこで源之助は神の寵愛を披露してしまう。絶句する人々を余所に、一番驚き、顔を凍りつかせた少年。
彼の、寵愛依怙贔屓人生は、これからである。
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