Cafe『アルジャーノン』の、お兄さん☆

篠原愛紀

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天才で天然で、被りモノマニアで。

天才で天然で、被りモノマニアで。 2

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「わわっ」

「どうされました?」

ウエイター姿で現れた男の人の、足の長さが長すぎて比率がおかしいとか、笑って近づいてくると笑顔が甘いとか、みかどの頭に色々と過るが、それどころでは無い。



頭の熊の耳が気になって仕方が無い。

この綺麗な男の人は、現在耳を四つも所持している。


「み、みみみ」

「あ、飾ってある熊の耳の数字ですか? あれは僕の誕生日の――!?」

優雅に笑っていたウエイターは、窓辺に置かれた熊の、スタイに漸く気がついた。

「うわうわわわ、これは、これはい、違うんでです、こ、このようなものは」

「わー、耳が四つ!」


熊の首から紐パンツを取ると、手に持った瞬間、その綺麗な男はあたふたと耳まで真っ赤、いや、首まで真っ赤にして視線を泳がす。


「こ、これは、その、あああ。もう! 千景さん!」

真っ赤なヤカンの様になった男が、カウンターの奥へ悲痛な叫びを投げつけた。


その男とみかどが、紐パンと熊の耳で騒いでプチパニックを起こしていたら、カウンターの向こうから漸く足音が近づいてきた。

そして、外で待っていた皇汰も騒ぎを聞きつけて思い切りドアノブを開けて部屋に飛び込んでくる。

「姉さん!」

「あ、らん」


ぷるんとした張りのある弾力のあるもので、皇汰は弾き飛ばされた。


「ふふ。ごめんなさいね? 大丈夫かな」

鼻を押さえる皇汰に、艶のある声で女が顔を覗きこむ。



「あら、食べちゃいたいぐらい可愛い男の子ね」

唇を、綺麗に磨かれた爪の指がなぞり、その指を自分の唇に重ねる。

間接キスに呆然としている皇汰に悩ましげな視線を投げかけたまま、女はパニックを起こしている二人の元へ歩いて行く。


大きな瞳に、長い睫毛、分厚い唇。
肩に当たるか当たらないかのボブの髪に、蜂蜜の様な甘い匂いを身に付け、溢れんばかりの胸をたゆたわせながら、その女は男の手に持っている紐パンを奪った。


「もーう。鳴海(なるみ)さんたら、コレ私が買った奴じゃない」


「ち、千景さん! なんてモノを窓辺に置いているんですか! お客様が驚いて怯えてます! 如何わしいお店と間違われたら大変ですよ!」

「如何わしいじゃん。双子は女の子を侍らせ、英国紳士は老人を侍らせ、大学教授は学生を連れ込み」

「そ、そんな言い方をしないでくださいーー!」


千景と呼ばれるセクシーな女性に、男はたじたじで泣きだしそうな真っ赤な顔で叫んでいる。

それを見ながら、みかどはちょっとだけその男の人を可愛いと思ってしまっていた。



「ねえ、この可愛い女子高生、私の紐パンじゃなくて鳴海さんの熊の耳に引いてるんじゃないの?」


千景は、聖マリア女学院の制服に身を包んだみかどを、上から下まで眺め、初々しく純粋そうなあどけなさに舌舐めずりをする。


「そ、そうなんですか?」

「すいません、綺麗な人が熊の耳を付けてるのが初めてな状況でして」


悲しげな瞳で問われれば、みかども何だか申し訳なくなり謝ってしまった。


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