とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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四、蜜月×調理

四、蜜月×調理⑥

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 急いで退社して、プレゼントを見て回った。
 喬一さんには定時に帰ると言っていたけど、少し遅くなる連絡をしたら、数分して携帯に着信があった。

『紗矢、今どこ?』
「えーっと、まだ会社です」

 嘘だ。私は今、ファッションビル内の各フロアの案内図の前だ。
 喬一さんへのプレゼントがさっぱりわからなくて困っていた。

 手袋、マフラー、キーケース、財布。どれも新品のように綺麗に使っているし。通勤時間もないから、防寒対策系の衣類は使わない気もする。趣味は料理だから、やっぱりキッチン系のものがいいのかな? と案内図の前で小物系のお店をチェックしていた。


『そうなんだ。俺も今、出先から帰るから一時間ぐらいで駅に着くけど、それまでに仕事が終わるなら偶には外で食事でもどうかな?』
「はい。是非」


 喬一さんの手作り料理を食べてから、外食には興味がなかったけど今日は別だ。今日は学会の総会で大阪に遠征している。年に数回とはいえ、平日にしかないので病院を日色さんに任せないといけないからと申し訳なさそうだった。

 そんな学会帰りで疲れてる喬一さんに、ご飯を作らせるわけにはいかず、何か私が作ろうと思っていたところだった。
『良かった。食べたいもないなら俺が店を決めてもいい?』
「もちろんです。お願いします」
『じゃあ美味しいパテが食べられるレストランがあるから予約しておくよ』
「はい。楽しみです」

 電話を切ったあと、一時間後に喬一さんに会える嬉しさと同時に一時間でプレゼントを選べるのか不安になってきた。
 急いで選ぶものじゃない。
 でも明日はずっと一緒に居るから選ぶのは無理。
 喬一さんのことだから、探したけど買えなかったというと笑って許してくれそう。
 でもそれは嫌だ。気を使わせたくない。

「プレゼント、プレゼント」
 悩みながらビルの中を歩く。
 クリスマス前のファッションビルの中はいつもより混雑している。おもちゃ屋の前を通ると、レジに並ぶ沢山のサンタたち。サンタたちは喜ぶ子供の顔を思い浮かべて念入りにおもちゃを探したり、メモを片手に必死にお目当てのおもちゃを探している。

 私も喬一さんの喜ぶ顔が見たい。いつも美味しい料理を作ってくれる喬一さんに感謝しかない。寝落ちして疲れている顔さえもセクシーに見えてしまう、重症っぷりだ。


 彼に似合うもの。落ち着いた色。装飾が複雑で細かいものも、几帳面な彼に似合う。
 キッチングッズにしても、彼は色んなスパイスや出汁、調味料を網羅していると言っても過言ではない。カレーだって私好みの辛さで作ってくれちゃうぐらい。

 エプロンも男性に似合うような、シュッとしたものもないし。

 お箸は、喬一さんのご実家のご両親がわざわざ職人さんに作っていただいた夫婦茶碗とセットで良いものを頂いてる。

 腕時計を見ると、ぐたぐた悩んでいる間に20分も経ってしまっていた。
 時間がない。彼が喜んでくれて――使ってくれるもの。
 歩き回りながら、私は立ち止まった。クリスマスカラーに彩られ、クリスマスツリーの下におすすめの商品を並べたショーウィンドウ。

 その中に、私の目を引いたもの。それは、彼が毎日使っている古いアレの代わりになるような品物だった。

 お店の中は、レトロな街並みの写真が飾った壁に、色鮮やかな棚が並ぶ輸入雑貨屋だった。
 お店の人が直接現地に行って買っているとお店のポスターに書いて貼ってあった。
「これだ」
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