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壱
七
しおりを挟むそして魔王は、次のメッセージで電話番号を送ってきた。だがうちのマッチングアプリはサイトはメッセージでの個人情報の交換は禁止されているので、(マッチング成立する前は)魔王は次の日にはアカウントが停止されていた。百十一万も課金していたのに、だ。
しかし俺は魔王が一度言ったことを覆さないのを知っているし、執念深く執着心が強いことも知っている。おまけに思い込みの激しい病んでいるタイプだ。
その昔、いつもより城の門が開くのが数十秒遅かっただけで、自分への忠誠心が落ちていると判断しその場で城全体を爆破したとか。もし俺が魔王の指定したホテルへ行かなかったら、持てる権力全てを使って、俺に言った言葉は絶対に実行するだろう。それ以上に、俺が社会的に死ぬようなありとあらゆる酷いことをしてくるのは火を見るよりも明らか。
嗚呼、くそう。行くしかない。行くしかないんだよな。
気分が重かったが仕方がない。前世の魔王も少しは話せばわかるような男だった。
魔法も魔術も戦争もないこの世界で、もっと常識をもっていると信じている。
前世で俺に戦いで負けたのは、お前が自分しか見ていなかったからだ。
自分を慕う下っ端も幹部にも、本音や心からの信頼は寄せず、労わる言葉もなく、誰も近づけさせなかったからだ。
人の心が分からないんじゃなくて、結果論、魔王は誰も信頼していないから何も響かない。
それが現世でも健在なのだったら、魔王は現代の魔王。
権力と金を持った悪しき人間になっているのだろう。
片やマッチングアプリのネカマ、お祈り就活生、あか抜けない大学生三年生。
これは最初から持って生まれたものが違う時点で戦いにもなれないのではないか。
俺は美鈴にすぐに電話をかけた。集めなければいけない。明日の18時までに魔王を倒したメンバーを。
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