俺にかかった呪い《絶対服従》の治療のため、処女魔女からの嫌がらせ命令『強制性交』を実行しろって?

いぬに

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01:治療の始まり

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 忌々しい魔女の家は森の中にあり、春の昼下がりだというのに室内は肌寒い。

「椅子に座って、ガレンさん」

 部屋の入口に立つ俺の背後から、女の声がかかった。高く澄んでいるが抑揚がない声。
 続けざま、同じ温度の言葉が肩越しに飛ぶ。

「どうしましたか? 今日も実験をしますよ」

 声の主――リアナは俺の脇をすり抜け、そのまま部屋の中央へ進んだ。

 銀髪が腰まで流れた後ろ姿、繊細な銀細工を思わせるそれが、歩くたびに背中で静かに揺れる。

 彼女は部屋の中央に立ち、俺を振り返った。

 額から頬骨のラインは細く整い、肌は硝子を透かしたように白い。
 彼女を形作る銀世界の中で、炎を映した宝石のような赤い瞳が鮮烈に輝いている。

 厚手の黒いローブは、胸元を押し上げる起伏が見て取れる。女の柔らかさを示す輪郭。

 だが、この女がいくら魅力的な外見と肉体を持っていようと、俺にとっては無価値だ。

 魔女リアナ。
 銀髪と赤眼が示すとおり、彼女は魔女だ。

 人族でありながら、敵対する魔族の魔法を操る、忌むべき存在。 
 いくら魅力的に見えようと、魔女に欲など抱くはずがない。

「ガレンさん、こちらへ」

 リアナは肩にかかる髪を手で払い、目線で丸椅子を示す。

「……わかってる」
 
 短く息を吐き、覚悟を決める。

 この部屋に入るのはもう何度目だろう。
 それでも足を踏み入れるたび、無意識に手が剣の柄を探る。……もちろん、今は剣など持ち込めるはずもないが。

 部屋の中はさほど広くない。
 床と壁は板張りで飾り気がなく、本棚が壁際に並ぶだけだ。
 棚には古びた魔導書が隙間なく並び、どの背表紙にも俺には読めない魔族の文字が刻まれていた。
 硝子瓶に詰められた薬草と鉱石が、棚の上に整然と並べられている。

 リアナの横にある丸椅子に腰を下ろし、拳を膝に置いて背筋を伸ばす。

「体調は?」
「問題ない。さっさと始めろ」

 床を睨んだまま低い声でうながす。

 リアナは背後へ回り、両手を俺の肩に置いた。

「剣の柄を探す癖、まだ抜けませんね。こんなにも献身的に治療しているのに、さみしいことです」
「……傭兵上がりの騎士に気遣いを求めるな」
「ふふ、怖い声で言わないで」

 笑いながら指先が首筋を滑り、指の背で俺の顎を持ち上げた。

「下を向いていては実験になりません。まっすぐ、前を向いて」

 耳元へ唇を寄せられ、吐息が触れる。
 俺はうながされるまま、正面を向く。

 リアナは息を吸い、魔力を込めた声で告げた。

『動かないで』

 その瞬間、全身が凍りついた。
 腕も、足も、首さえ動かない。意志は残っているのに、筋肉が言うことを聞かなくなる。

 あの忌まわしい呪いだ。

 後頭部に柔らかなふくらみが押し付けられた。白く細い腕が俺の横から伸びて、手のひらが胸板に触れる。

「ほら、あなたの大嫌いな魔女が、こんなにも近くにいますよ。逃げないと」
「……やってる」
「声が怖いですよ。これは治療なんですから、怒らないで」

 首に腕が絡められ、そのまま俺の正面へと回り込みーーためらう様子もなく膝の上にまたがった。

 やわらかな感触と、確かな重みが太腿にのしかかる。

 首に回された腕に力が込められて、リアナの体が密着した。
 腹がぴったりとくっつき、豊かな胸がローブ越しに密着する。

「どうしました?」

 リアナが俺を覗き込むように上目遣いでたずねる。
 俺がとがめるよりも前に、リアナは次の命令をくだす。
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