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金曜の夜。
紗奈はひとり暮らしのマンションで、緑色のラグの上に座っていた。
手にはスマホ。画面をスワイプしながら時間を潰している。
白いトレーナーに、綿のホットパンツの部屋着。素足の爪には、ペールピンクのネイルが剥がれかけている。塗り直そうとは思いつつ、今日もそのままだ。
スマホの画面に『マンション着いた』の通知が表示される。
紗奈の顔がぱっと笑顔になった。
数十秒もしないうちに、鍵の開く音がして、ドアがバタンと閉まった。
続いて、聞き慣れた声が飛んでくる。
「ういーっす。適当に買ってきた」
リビングに顔を出したのは、紗奈の幼馴染、陽斗。
青のパーカにジーパンというラフな格好で、片手にはコンビニ袋を提げている。中身は缶ビールが数本に、スナック菓子、チーズ、ナッツなど。互いの好みを熟知した品ばかりだ。
ふたりは実家が隣同士で、保育園から大学まで同じ進路をたどり、いまは大学3年生。
それぞれひとり暮らしをしているが、週末にどちらかの部屋でだらだら過ごす習慣は変わらず続いている。
缶のプルタブを引いて、陽斗が言う。
「ナーフされてたな、『闇の魔術師デッキ』」
「ぐっ」
紗奈は短くうめいて、悔しそうに顔をしかめた。
最近ふたりでハマっているカードバトル系のアプリゲームがあり、『闇の魔術師デッキ』は紗奈が一番使っていた火力重視のデッキだった。
だが、昨日のアップデートで主要カードの能力が下方修正(ナーフ)されてしまった。
「今夜は俺の勝ちかぁ?」
陽斗がにやにや笑いながらアプリを立ち上げる。
「はあ? 昨日からデッキ調整してるし。私が勝つし」
紗奈も負けじと対戦画面を開く。
「おらぁ! ナーフされてもこの火力ぅ!」
「残念、遅い」
「あっ待……!」
勝ったり負けたりを繰り返しながら、テーブルの上には空き缶が並び始めていた。
紗奈はひとり暮らしのマンションで、緑色のラグの上に座っていた。
手にはスマホ。画面をスワイプしながら時間を潰している。
白いトレーナーに、綿のホットパンツの部屋着。素足の爪には、ペールピンクのネイルが剥がれかけている。塗り直そうとは思いつつ、今日もそのままだ。
スマホの画面に『マンション着いた』の通知が表示される。
紗奈の顔がぱっと笑顔になった。
数十秒もしないうちに、鍵の開く音がして、ドアがバタンと閉まった。
続いて、聞き慣れた声が飛んでくる。
「ういーっす。適当に買ってきた」
リビングに顔を出したのは、紗奈の幼馴染、陽斗。
青のパーカにジーパンというラフな格好で、片手にはコンビニ袋を提げている。中身は缶ビールが数本に、スナック菓子、チーズ、ナッツなど。互いの好みを熟知した品ばかりだ。
ふたりは実家が隣同士で、保育園から大学まで同じ進路をたどり、いまは大学3年生。
それぞれひとり暮らしをしているが、週末にどちらかの部屋でだらだら過ごす習慣は変わらず続いている。
缶のプルタブを引いて、陽斗が言う。
「ナーフされてたな、『闇の魔術師デッキ』」
「ぐっ」
紗奈は短くうめいて、悔しそうに顔をしかめた。
最近ふたりでハマっているカードバトル系のアプリゲームがあり、『闇の魔術師デッキ』は紗奈が一番使っていた火力重視のデッキだった。
だが、昨日のアップデートで主要カードの能力が下方修正(ナーフ)されてしまった。
「今夜は俺の勝ちかぁ?」
陽斗がにやにや笑いながらアプリを立ち上げる。
「はあ? 昨日からデッキ調整してるし。私が勝つし」
紗奈も負けじと対戦画面を開く。
「おらぁ! ナーフされてもこの火力ぅ!」
「残念、遅い」
「あっ待……!」
勝ったり負けたりを繰り返しながら、テーブルの上には空き缶が並び始めていた。
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