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海産物を開拓する
露店の朝食とサンドロとの情報交換
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エステルとロビーへ向かうと、俺たち以外の宿泊客がちらほら目に入った。
朝の時間ということもあり、これからチェックアウトか、すでにチェックアウト済みなのだろう。
ほとんどの者が身なりがよく、お金持ちが多いように見受けられる。
「おはようございます」
ロビーの一角で先に待っているアデルを見つけて声をかけた。
「あら、おはよう」
アデルは優雅な気配を漂わせながら、品格を感じさせる笑みを浮かべていた。
彼女には高級なホテルの空気がなじむと思った。
「おはよう、姉さん!」
「昨夜は大変だったのに朝から元気ね」
「それ、マルクにも言われたよ」
俺とエステルも椅子に腰を下ろした。
早速、気になる宿代のことを聞いておかなければならない。
「このホテルの代金ってどうなってます?」
「それなら、あなたたちが来る前に支配人と話して、今回はタダでいいとなったわ」
「うわっ、太っ腹ですね」
「やったね!」
俺とエステルは庶民派なので、素直に喜んでいた。
「宿泊客なのに侵入者を捕まえて、従業員を助けたわけだから、当然といえば当然よね」
アデルも満更でもない様子だった。
にんまりと薄い笑みを浮かべている。
「あれ、ということはチェックアウトも済んでるってことですか?」
「ええ、すでにやってあるわ」
「じゃあ、外に朝食を食べに行きますか」
「そうね、そうしましょう」
俺とエステルは受付に一声かけると、アデルと合流してホテルを出た。
ちなみに昨日の件でショックを受けていた従業員は見かけなかったので、今日は休んでいるのだと思った。
夜は暗くて気づかなかったのだが、ホテルのある場所は路地の奥の方だった。
昨晩のアデルのように行動力がなければ、発見するのは難しかっただろう。
彼女のバイタリティに感心しつつ、三人で道に迷いそうになりながら主だった通りへと歩いていった。
人通りの多い路地に出ると露店が開いているところだった。
飲みものやパンなどを売る店が道沿いに点在している。
「食堂やレストランもいいですけど、たまにはこういうところもいいんじゃないですか」
「わたしは賛成!」
「そうね、いいんじゃないかしら」
アデルがあっさり応じるとは意外だった。
店を構えていれば外観や雰囲気でその店の味を予想しやすくなるものの、露店の場合は情報が店舗に比べると少ない。
美食家精神を考えれば、高い確率で美味しいものを食べたくなるのではと思った。
「……何を考えているの? 私だって旅先でしか食べられないものを食べたくなるものなのよ」
「まあ、そうですよね」
アデルに自分の考えが見透かされたようで、少しだけ肝が冷えた。
素直なエステルに比べたら、一筋縄ではいかないところがある。
「あれ、何かいい匂いがしますね」
「パンを鉄板で温めているみたいよ」
「うわぁ、美味しそうー」
三人で移動しながら匂いをたどっていくと、一軒の露店でホットサンドみたいなものを売っているようだった。
具を挟んで焼くというよりも、半分にカットしたコッペパンみたいな形のパンを温めてから、赤みがかったペースト状の何かを塗っている。
一定の間隔で客が来ては立ち去るという流れができているので、わりと人気のある店みたいだ。
「よかったら、ここにします?」
「そうね、構わないわ」
「わたしもいいよー」
俺たちはその店の前に並んだ。
行列というほどではなく、すぐに注文する順番になった。
「すいません、初めて買うんですけど」
「うちはこれだけだから、注文は簡単だよ。銅貨三枚で一つだ」
「仲間の分と合わせてこ三人前で。おつりは大丈夫です」
銀貨一枚を財布から取り出して、店主に手渡した。
「おう、そうか。それならもらっておこう」
店の主人は上機嫌になって、ノリノリでサンドを作り始めた。
すでに鉄板で温まっているパンを取って、片側にペーストを塗りこんでから、反対側のパンで挟んで完成だった。
「はいよ、まずはお客さんの分」
それをぴったり収まる紙袋に入った状態で手渡された。
まだ余熱が残っており、握りしめるとやけどしそうだった。
「ありがとうございます。このペーストの中身は何ですか?」
「メインの材料はトマトとオリーブオイルさ。あとの材料は秘密」
「そりゃあ、そうですよね。では、温かいうちに食べます」
「ふふんっ、毎度あり!」
俺は近くに用意されたテーブル席の椅子に腰かけた。
早速、初めて食べるサンドにかぶりつく。
「おおっ、これはいい食感」
パンがサクサクで食べごたえがある。
そのまま噛みしめると、ペーストの部分の味を感じた。
「うん? トマトの品種が違うのか? さっぱりながら風味はしっかりしていて、パンとのバランスがなかなかいいな」
何気なく選んだ朝食にしては、満足できるクオリティだった。
これなら週に二、三回は通いたい美味しさだ。
そのまま座って食べているとアデルとエステルがやってきて、二人も満足げな表情でサンドを味わっていた。
食後にコスタでの予定について話し合った結果、市場管理組合の建物に向かうことになった。
昨晩、野盗らしき男たちを捕まえたので、街道開通がどうなるかを確かめるためにサンドロと話しておいたほうがいいとなったからだ。
昨日と同じ建物に到着すると、サンドロは忙しそうな様子だった。
入れ代わり立ち代わりに部下と見られる人たちと話していた。
様子を見ながら話しかけられそうな時を見計らって声をかけた。
「忙しい時にすいません」
「――お待ちしてました。こちらへどうぞ」
「えっ?」
サンドロは抜けられそうな雰囲気ではないと思ったが、周りへしばらく席を外すとよく響く声で言った後、俺たちを別の場所へと先導した。
彼について通路を歩くと、昨日と同じように応接室のようなところへ案内された。
「他の者が飲みものをご用意しますが、すぐに話を始めさせて頂きます」
「全然気にしないので、始めてください」
「まず、ホテルで野盗を捕縛されたと聞きました。そのおかげで、全体的な動きが早まりそうです」
サンドロからは熱気を伴う意欲が見受けられた。
俺は軽く相槌を打って先を促した。
「野盗の勢力が大幅に縮小したことで、冒険者が兵士に先んじて占拠された場所を攻略する予定です。それに伴い、街道の開通は早まると思います」
「それじゃあ、バラムへの運送も予定より早くお願いできそうですね」
俺もサンドロに影響されるように期待が高まるのを感じた。
昨夜は侵入者を看過できないと思ったことがきっかけだったが、アデルの活躍などを含めて、このような結果につながるとはうれしい誤算だった。
あとがき
お読みいただき、ありがとうございます。
次話から新しい章が始まります。
朝の時間ということもあり、これからチェックアウトか、すでにチェックアウト済みなのだろう。
ほとんどの者が身なりがよく、お金持ちが多いように見受けられる。
「おはようございます」
ロビーの一角で先に待っているアデルを見つけて声をかけた。
「あら、おはよう」
アデルは優雅な気配を漂わせながら、品格を感じさせる笑みを浮かべていた。
彼女には高級なホテルの空気がなじむと思った。
「おはよう、姉さん!」
「昨夜は大変だったのに朝から元気ね」
「それ、マルクにも言われたよ」
俺とエステルも椅子に腰を下ろした。
早速、気になる宿代のことを聞いておかなければならない。
「このホテルの代金ってどうなってます?」
「それなら、あなたたちが来る前に支配人と話して、今回はタダでいいとなったわ」
「うわっ、太っ腹ですね」
「やったね!」
俺とエステルは庶民派なので、素直に喜んでいた。
「宿泊客なのに侵入者を捕まえて、従業員を助けたわけだから、当然といえば当然よね」
アデルも満更でもない様子だった。
にんまりと薄い笑みを浮かべている。
「あれ、ということはチェックアウトも済んでるってことですか?」
「ええ、すでにやってあるわ」
「じゃあ、外に朝食を食べに行きますか」
「そうね、そうしましょう」
俺とエステルは受付に一声かけると、アデルと合流してホテルを出た。
ちなみに昨日の件でショックを受けていた従業員は見かけなかったので、今日は休んでいるのだと思った。
夜は暗くて気づかなかったのだが、ホテルのある場所は路地の奥の方だった。
昨晩のアデルのように行動力がなければ、発見するのは難しかっただろう。
彼女のバイタリティに感心しつつ、三人で道に迷いそうになりながら主だった通りへと歩いていった。
人通りの多い路地に出ると露店が開いているところだった。
飲みものやパンなどを売る店が道沿いに点在している。
「食堂やレストランもいいですけど、たまにはこういうところもいいんじゃないですか」
「わたしは賛成!」
「そうね、いいんじゃないかしら」
アデルがあっさり応じるとは意外だった。
店を構えていれば外観や雰囲気でその店の味を予想しやすくなるものの、露店の場合は情報が店舗に比べると少ない。
美食家精神を考えれば、高い確率で美味しいものを食べたくなるのではと思った。
「……何を考えているの? 私だって旅先でしか食べられないものを食べたくなるものなのよ」
「まあ、そうですよね」
アデルに自分の考えが見透かされたようで、少しだけ肝が冷えた。
素直なエステルに比べたら、一筋縄ではいかないところがある。
「あれ、何かいい匂いがしますね」
「パンを鉄板で温めているみたいよ」
「うわぁ、美味しそうー」
三人で移動しながら匂いをたどっていくと、一軒の露店でホットサンドみたいなものを売っているようだった。
具を挟んで焼くというよりも、半分にカットしたコッペパンみたいな形のパンを温めてから、赤みがかったペースト状の何かを塗っている。
一定の間隔で客が来ては立ち去るという流れができているので、わりと人気のある店みたいだ。
「よかったら、ここにします?」
「そうね、構わないわ」
「わたしもいいよー」
俺たちはその店の前に並んだ。
行列というほどではなく、すぐに注文する順番になった。
「すいません、初めて買うんですけど」
「うちはこれだけだから、注文は簡単だよ。銅貨三枚で一つだ」
「仲間の分と合わせてこ三人前で。おつりは大丈夫です」
銀貨一枚を財布から取り出して、店主に手渡した。
「おう、そうか。それならもらっておこう」
店の主人は上機嫌になって、ノリノリでサンドを作り始めた。
すでに鉄板で温まっているパンを取って、片側にペーストを塗りこんでから、反対側のパンで挟んで完成だった。
「はいよ、まずはお客さんの分」
それをぴったり収まる紙袋に入った状態で手渡された。
まだ余熱が残っており、握りしめるとやけどしそうだった。
「ありがとうございます。このペーストの中身は何ですか?」
「メインの材料はトマトとオリーブオイルさ。あとの材料は秘密」
「そりゃあ、そうですよね。では、温かいうちに食べます」
「ふふんっ、毎度あり!」
俺は近くに用意されたテーブル席の椅子に腰かけた。
早速、初めて食べるサンドにかぶりつく。
「おおっ、これはいい食感」
パンがサクサクで食べごたえがある。
そのまま噛みしめると、ペーストの部分の味を感じた。
「うん? トマトの品種が違うのか? さっぱりながら風味はしっかりしていて、パンとのバランスがなかなかいいな」
何気なく選んだ朝食にしては、満足できるクオリティだった。
これなら週に二、三回は通いたい美味しさだ。
そのまま座って食べているとアデルとエステルがやってきて、二人も満足げな表情でサンドを味わっていた。
食後にコスタでの予定について話し合った結果、市場管理組合の建物に向かうことになった。
昨晩、野盗らしき男たちを捕まえたので、街道開通がどうなるかを確かめるためにサンドロと話しておいたほうがいいとなったからだ。
昨日と同じ建物に到着すると、サンドロは忙しそうな様子だった。
入れ代わり立ち代わりに部下と見られる人たちと話していた。
様子を見ながら話しかけられそうな時を見計らって声をかけた。
「忙しい時にすいません」
「――お待ちしてました。こちらへどうぞ」
「えっ?」
サンドロは抜けられそうな雰囲気ではないと思ったが、周りへしばらく席を外すとよく響く声で言った後、俺たちを別の場所へと先導した。
彼について通路を歩くと、昨日と同じように応接室のようなところへ案内された。
「他の者が飲みものをご用意しますが、すぐに話を始めさせて頂きます」
「全然気にしないので、始めてください」
「まず、ホテルで野盗を捕縛されたと聞きました。そのおかげで、全体的な動きが早まりそうです」
サンドロからは熱気を伴う意欲が見受けられた。
俺は軽く相槌を打って先を促した。
「野盗の勢力が大幅に縮小したことで、冒険者が兵士に先んじて占拠された場所を攻略する予定です。それに伴い、街道の開通は早まると思います」
「それじゃあ、バラムへの運送も予定より早くお願いできそうですね」
俺もサンドロに影響されるように期待が高まるのを感じた。
昨夜は侵入者を看過できないと思ったことがきっかけだったが、アデルの活躍などを含めて、このような結果につながるとはうれしい誤算だった。
あとがき
お読みいただき、ありがとうございます。
次話から新しい章が始まります。
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