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和の国サクラギとミズキ姫
ミズキと美食クラブ
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旧知の友のように笑顔を見せ合うアデルと謎の美女。
姿形が日本人に似ている転生者を見たことはなく、彼女はこの世界の存在である可能性が高い。
会話の様子からして、日本に近い文化の国があるということだろうか。
俺は頭を抱えそうになりながらも、アデルに声をかける。
「そちらの人は知り合いですか?」
「彼女はミズキ。ずっと遠くのサクラギという国の王様の娘よ」
「はじめまして! 君たちはアデルの友人?」
「友人……みたいなものです」
歯切れの悪い答えになるが、ただ知り合いというのも恩義のあるアデルに対して、冷たい態度になると思った。
「このイクラという食べもの、不思議な食感でとても美味しかったです」
まさかの登場に戸惑ったものの、満足できる味なので感想を伝えた。
「そうだよね! サクラギから鮮度を保って運搬するの大変だったんだよ」
王様の娘ということは姫になると思うのだが、ミズキは気さくな態度だ。
接しやすい反面、どこまでこちらもカジュアルに接していいのか。
出会ったばかりということもあり、見極めが難しいところである。
「あなたたち、お店を経営する者同士で気が合いそうね。二人で話してみたら」
アデルは酔いが回ったようで、上機嫌に言った。
年頃の男女をくっつけようとする年配者の言葉のようでもあるが、彼女の意図は言葉通りのものだと思われる。
「えっ、何屋さん? 食堂、カフェ?」
「焼肉屋……いや、肉料理の店です」
焼肉屋を知らない可能性もあり、途中で言い直した。
「へえ、肉料理……いいね、あっちで話そっか」
「そうですね、分かりました」
アデルの提案を無下にするわけにもいかず、別の席へ移動することにした。
ワインの入ったグラスを手にして、ミズキと共に別のテーブルに移った。
もっとも、アデルたちとの距離はわりと近くで、同じように屋外の席である。
「おーい、ミント水をちょうだーい!」
ミズキは飲みものが手元になく、大きな声を出して店員に頼んだ。
彼女の立場が経営者ということもあり、瞬く間にテーブルに運ばれてきた。
「うん、ありがと。それじゃあ、乾杯しよっか」
「はい、では」
お互いに文化が違うため、口上を述べることなく、グラスとグラスを合わせた。
「あっ、君の名前を聞いてもいい?」
「マルクといいます。出身はランス王国のバラムです」
「バラムかあ…………ごめん、どこか分からないや」
「気にしないでください。そちらの故郷……サクラギからはずいぶん遠いので」
まだ話し始めて間もないが、ミズキのペースに巻きこまれている気がする。
一国の姫ともなれば、カリスマ性やそれに類する素質を持っていてもおかしくない。
「あたしもアデルも食へのこだわりが底抜けでね。そういう共通点もあって自然と仲良くなったんだ。彼女とはどこで出会ったの?」
「アデルとはうちの店で会いました。開店初日に客として来てくれて、色んな面でお世話になってます」
こちらの言葉にミズキはうんうんと頷いた。
なるべく意識しないようにしているが、彼女の端正な顔立ちと日本人風の外見に目を奪われる。
「分かるー。クールぶってるけど、けっこう面倒見がいいんだよね。でしょ?」
「そうですね。本人の前では気恥ずかしくて伝えにくいですけど」
アデルはハンクと共に出てきた料理と酒に酔いしれている。
俺が声を潜めたこともあり、本人には聞こえていないようだ。
手元に視線を向けて、グラスを傾ける。
ワインを流しこむといくらか潤いを感じた。
ミズキに対して気後れするところがあり、緊張感からのどに渇きがあった。
「うーん、君の魅力はどこにあるのかな?」
「あ、あの……そんなに見られると恥ずかしいです」
会話を再開しようと向き直ったところで、ミズキの視線がこちらに固定されていることに気づいた。
反射的に乙女のような言葉が口から出ていたことに気づき、次第に顔が火照るのを感じた。
「あっ、ごめんごめん! アデルが他人に肩入れするなんて珍しいからさ。何か理由があると思うんだけど」
「……どうでしょう。俺にはちょっと分かりません」
ここまでそう長い時間ではないが、ミズキの勢いに巻きこまれがちな自分がいる。
彼女は魅力的な人物なので、特に悪い気がしないことは幸いなのだが。
「俺からも質問をしても?」
「うん、何でも答えるよ。あっでも、セクハラはやめようね」
「いえいえ、そんなことしませんから」
「地元の宴席はそんな質問が日常茶飯事だから、うんざりしちゃう。でっ、質問だよね」
明るく奔放な振る舞いを見せているが、一国の姫として責任も背負っていると感じさせる言葉だった。ミズキなりの苦労もあるのだと思った。
「モルネアからサクラギは遠いと思うんですけど、普段はムルカの街にいるんですか?」
「ずっといるわけじゃないよ。他の国にもあたしの店があるから、旅を兼ねて回る感じ。どこも優秀な従業員がいるから、たまに顔を出すだけで十分だけどね」
「すごいですね。複数店舗の経営をしてるなんて」
「アデルを含めた何人かの知り合いと美食クラブっていうのを始めてね。美味しいものを集めるのにお金がかかるから」
「……美食クラブですか?」
ミズキの口から出た言葉に興味を抱いた。
美味しいものを探求する集まりというのものに魅力を感じる。
「その顔は興味ありって感じだね。入れてあげてもいいけどなー。いくらアデルのお気に入りでも、無条件にってわけにもいかないし……そっか、それがあるか!」
彼女は何かを閃いたように椅子から立ち上がった。
姿形が日本人に似ている転生者を見たことはなく、彼女はこの世界の存在である可能性が高い。
会話の様子からして、日本に近い文化の国があるということだろうか。
俺は頭を抱えそうになりながらも、アデルに声をかける。
「そちらの人は知り合いですか?」
「彼女はミズキ。ずっと遠くのサクラギという国の王様の娘よ」
「はじめまして! 君たちはアデルの友人?」
「友人……みたいなものです」
歯切れの悪い答えになるが、ただ知り合いというのも恩義のあるアデルに対して、冷たい態度になると思った。
「このイクラという食べもの、不思議な食感でとても美味しかったです」
まさかの登場に戸惑ったものの、満足できる味なので感想を伝えた。
「そうだよね! サクラギから鮮度を保って運搬するの大変だったんだよ」
王様の娘ということは姫になると思うのだが、ミズキは気さくな態度だ。
接しやすい反面、どこまでこちらもカジュアルに接していいのか。
出会ったばかりということもあり、見極めが難しいところである。
「あなたたち、お店を経営する者同士で気が合いそうね。二人で話してみたら」
アデルは酔いが回ったようで、上機嫌に言った。
年頃の男女をくっつけようとする年配者の言葉のようでもあるが、彼女の意図は言葉通りのものだと思われる。
「えっ、何屋さん? 食堂、カフェ?」
「焼肉屋……いや、肉料理の店です」
焼肉屋を知らない可能性もあり、途中で言い直した。
「へえ、肉料理……いいね、あっちで話そっか」
「そうですね、分かりました」
アデルの提案を無下にするわけにもいかず、別の席へ移動することにした。
ワインの入ったグラスを手にして、ミズキと共に別のテーブルに移った。
もっとも、アデルたちとの距離はわりと近くで、同じように屋外の席である。
「おーい、ミント水をちょうだーい!」
ミズキは飲みものが手元になく、大きな声を出して店員に頼んだ。
彼女の立場が経営者ということもあり、瞬く間にテーブルに運ばれてきた。
「うん、ありがと。それじゃあ、乾杯しよっか」
「はい、では」
お互いに文化が違うため、口上を述べることなく、グラスとグラスを合わせた。
「あっ、君の名前を聞いてもいい?」
「マルクといいます。出身はランス王国のバラムです」
「バラムかあ…………ごめん、どこか分からないや」
「気にしないでください。そちらの故郷……サクラギからはずいぶん遠いので」
まだ話し始めて間もないが、ミズキのペースに巻きこまれている気がする。
一国の姫ともなれば、カリスマ性やそれに類する素質を持っていてもおかしくない。
「あたしもアデルも食へのこだわりが底抜けでね。そういう共通点もあって自然と仲良くなったんだ。彼女とはどこで出会ったの?」
「アデルとはうちの店で会いました。開店初日に客として来てくれて、色んな面でお世話になってます」
こちらの言葉にミズキはうんうんと頷いた。
なるべく意識しないようにしているが、彼女の端正な顔立ちと日本人風の外見に目を奪われる。
「分かるー。クールぶってるけど、けっこう面倒見がいいんだよね。でしょ?」
「そうですね。本人の前では気恥ずかしくて伝えにくいですけど」
アデルはハンクと共に出てきた料理と酒に酔いしれている。
俺が声を潜めたこともあり、本人には聞こえていないようだ。
手元に視線を向けて、グラスを傾ける。
ワインを流しこむといくらか潤いを感じた。
ミズキに対して気後れするところがあり、緊張感からのどに渇きがあった。
「うーん、君の魅力はどこにあるのかな?」
「あ、あの……そんなに見られると恥ずかしいです」
会話を再開しようと向き直ったところで、ミズキの視線がこちらに固定されていることに気づいた。
反射的に乙女のような言葉が口から出ていたことに気づき、次第に顔が火照るのを感じた。
「あっ、ごめんごめん! アデルが他人に肩入れするなんて珍しいからさ。何か理由があると思うんだけど」
「……どうでしょう。俺にはちょっと分かりません」
ここまでそう長い時間ではないが、ミズキの勢いに巻きこまれがちな自分がいる。
彼女は魅力的な人物なので、特に悪い気がしないことは幸いなのだが。
「俺からも質問をしても?」
「うん、何でも答えるよ。あっでも、セクハラはやめようね」
「いえいえ、そんなことしませんから」
「地元の宴席はそんな質問が日常茶飯事だから、うんざりしちゃう。でっ、質問だよね」
明るく奔放な振る舞いを見せているが、一国の姫として責任も背負っていると感じさせる言葉だった。ミズキなりの苦労もあるのだと思った。
「モルネアからサクラギは遠いと思うんですけど、普段はムルカの街にいるんですか?」
「ずっといるわけじゃないよ。他の国にもあたしの店があるから、旅を兼ねて回る感じ。どこも優秀な従業員がいるから、たまに顔を出すだけで十分だけどね」
「すごいですね。複数店舗の経営をしてるなんて」
「アデルを含めた何人かの知り合いと美食クラブっていうのを始めてね。美味しいものを集めるのにお金がかかるから」
「……美食クラブですか?」
ミズキの口から出た言葉に興味を抱いた。
美味しいものを探求する集まりというのものに魅力を感じる。
「その顔は興味ありって感じだね。入れてあげてもいいけどなー。いくらアデルのお気に入りでも、無条件にってわけにもいかないし……そっか、それがあるか!」
彼女は何かを閃いたように椅子から立ち上がった。
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