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ベナード商会と新たな遺構
希少素材の採取
ルカから受け取ったルミナイトを眺めていると、彼がまだ面白いものがあると呼びかけた。
再び案内されるままに洞窟の中を歩く。
「今度は何ですか?」
「ひひっ、これでですんで」
ルカは立ち止まり、足元を指先で示した。
洞窟の中だというのに、草が生えていることに驚く。
「その名もヒーリンググラス。傷口に当てておくと回復が早まるって代物なんでさ」
「初めて聞きました。そんな植物があるんですね」
「あっしもこれが初めてなもんで。解毒剤を用意して、小さな切り傷で試したら、ホントに効果があったんすわ」
転生前の知識がある俺は魔法を学ぶ中で回復魔法が存在しないか調べたことがある。
書物によっては存在を否定していたり、ある書物では幻の秘術のように書かれていたり。
この目で実際に見ることができたのは、カタリナの師匠に当たる男が使った時だけだった。
「どうして、こんなところに群生してるんだろう」
「誰も来ないことで、採取されずに残ったんでしょうや。ヒーリンググラスを知る層が見つけていたら、ここにはなかったはずなもんで」
「なるほど」
治癒促進の植物となれば、引く手あまたの商材である。
しかし、まとめて採ればなくなるのも早い。
売るよりも自分たちで使う方が賢明だろう。
「目新しいものはこんなもんでさ。あとは入り口周辺のエリアを歩いて戻りましょうや」
「はい、分かりました」
ルカは移動を再開して、ガイドのように先導してくれている。
彼に続いて洞窟の中を歩いていった。
遺構と思われる部分は全体ではなく、入り口から途中まで残っている状態だった。
少し離れた位置にも残骸が残り、本来はどれぐらいの規模だったか正確に把握するのは難しいと思われた。
「この辺はまだ問題なさそうなんすが、奥の方はモンスターの痕跡があるんで、装備が万端な時に行きやしょう」
「そういえば、この宮殿みたいなところはそういう気配がないですね」
「ここがモンスター侵入を防ぐ神殿だったかもしれないと考える仲間もいやすね。相当な年月が経過していて、ランス王国の歴史家でもないと荷が重いってのが正直なところっすわ」
ルカはフランクな口ぶりだが、言葉の中身はまじめなものだった。
この宮殿のような遺構は謎が多いということだろう。
「皆さんはしっかりキャンプを設営されてますし、これは長丁場になりそうですね」
「社長の力の入れようがハンパないんすわ。ベナード商会からすれば宝の山みたいなもんでさ」
ルカに案内してもらいながら、手前の辺りを中心に歩かせてもらった。
大まかに見ただけでは、古めかしい宮殿が良好な保存状態で残っていることが分かるのみだが、冒険心をくすぐられるような場所だった。
二人で洞窟を出て、ルカにヘルメットを返した。
外はまだまだ明るい時間で、視界に日光が差しこむとまばゆさを感じた。
「お疲れっした」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
ルカは自分がかぶっていたヘルメットを外して、指先でくるくると回し始めた。
ひょうきんな性格で少しお調子者のように見える節がある。
「この後はキャラバン全体のミーティングなんすわ。マルクさんもよかったら、同席してみては?」
「いいんですか? ぜひお願いします」
先ほどの探索では触りの部分しか体験できていないので、今後について共有しておきたいことがたくさんある。
ベナード商会の人たちはもう少し先へも行っているみたいなので、彼らの話を聞いておきたかった。
その後、ブラスコ専用のテントに関係者が集められた。
彼のテントは他のテントに比べて広さがあり、会議をするのに適した空間が確保されている。
当然ながら社長なので、待遇が他と違いがあってもおかしくはない。
「みんな、お疲れ様」
「「「お疲れ様です!」」」
体育会系のノリであいさつを返すベナード商会の従業員たち。
社長のブラスコが緩い感じなので、何とも不思議な感じがした。
「ルカやエンリちゃんはすでに面識があるんだけど、改めて紹介しておくよ。そちらは焼肉屋の店主のマルクくん」
「ど、どうも、はじめまして」
ブラスコが俺を紹介すると、皆が拍手で迎えてくれた。
何だか照れくさい気持ちになる。
「彼は元冒険者で魔法も使えるから、探索を同行させてあげるように」
「「「はい!」」」
従業員たちは気合が入っている。
自分の店の従業員が増えた時は社風とかノリを考えさせられる。
やる気は素晴らしいのだが、男ばかりでこれだと暑苦しいのだ。
「マルクくんの紹介はこの辺にして。ルカから進捗を聞かせてもらおうか」
ブラスコの口調が少し変化していた。
さすがに会議ともなると真剣さが増すようだ。
「へい、あっしと先遣隊で踏破した範囲ではモンスターはいやせんでした。ただ、この遺構と洞窟は未知の部分が多いんで、これまで同様に非戦闘員は最小限にとどめることをおすすめしやす」
「はい、あんがと。素材はどうだった?」
「ルミナイト、ヒーリンググラス。それ以外に実用性のある鉱石がちらほらと。キャラバンに採掘の専門はいないんで、二次編成時はそれを踏まえた方がいいと進言しておきやす」
「よしよし、今のところは順調みたいだね。この後は明日の準備ができたら、自由時間にしていいよん」
会議はそこで解散となり、ルカや従業員たちはテントを後にした。
俺はそのまま残って、ブラスコと話すことにした。
再び案内されるままに洞窟の中を歩く。
「今度は何ですか?」
「ひひっ、これでですんで」
ルカは立ち止まり、足元を指先で示した。
洞窟の中だというのに、草が生えていることに驚く。
「その名もヒーリンググラス。傷口に当てておくと回復が早まるって代物なんでさ」
「初めて聞きました。そんな植物があるんですね」
「あっしもこれが初めてなもんで。解毒剤を用意して、小さな切り傷で試したら、ホントに効果があったんすわ」
転生前の知識がある俺は魔法を学ぶ中で回復魔法が存在しないか調べたことがある。
書物によっては存在を否定していたり、ある書物では幻の秘術のように書かれていたり。
この目で実際に見ることができたのは、カタリナの師匠に当たる男が使った時だけだった。
「どうして、こんなところに群生してるんだろう」
「誰も来ないことで、採取されずに残ったんでしょうや。ヒーリンググラスを知る層が見つけていたら、ここにはなかったはずなもんで」
「なるほど」
治癒促進の植物となれば、引く手あまたの商材である。
しかし、まとめて採ればなくなるのも早い。
売るよりも自分たちで使う方が賢明だろう。
「目新しいものはこんなもんでさ。あとは入り口周辺のエリアを歩いて戻りましょうや」
「はい、分かりました」
ルカは移動を再開して、ガイドのように先導してくれている。
彼に続いて洞窟の中を歩いていった。
遺構と思われる部分は全体ではなく、入り口から途中まで残っている状態だった。
少し離れた位置にも残骸が残り、本来はどれぐらいの規模だったか正確に把握するのは難しいと思われた。
「この辺はまだ問題なさそうなんすが、奥の方はモンスターの痕跡があるんで、装備が万端な時に行きやしょう」
「そういえば、この宮殿みたいなところはそういう気配がないですね」
「ここがモンスター侵入を防ぐ神殿だったかもしれないと考える仲間もいやすね。相当な年月が経過していて、ランス王国の歴史家でもないと荷が重いってのが正直なところっすわ」
ルカはフランクな口ぶりだが、言葉の中身はまじめなものだった。
この宮殿のような遺構は謎が多いということだろう。
「皆さんはしっかりキャンプを設営されてますし、これは長丁場になりそうですね」
「社長の力の入れようがハンパないんすわ。ベナード商会からすれば宝の山みたいなもんでさ」
ルカに案内してもらいながら、手前の辺りを中心に歩かせてもらった。
大まかに見ただけでは、古めかしい宮殿が良好な保存状態で残っていることが分かるのみだが、冒険心をくすぐられるような場所だった。
二人で洞窟を出て、ルカにヘルメットを返した。
外はまだまだ明るい時間で、視界に日光が差しこむとまばゆさを感じた。
「お疲れっした」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
ルカは自分がかぶっていたヘルメットを外して、指先でくるくると回し始めた。
ひょうきんな性格で少しお調子者のように見える節がある。
「この後はキャラバン全体のミーティングなんすわ。マルクさんもよかったら、同席してみては?」
「いいんですか? ぜひお願いします」
先ほどの探索では触りの部分しか体験できていないので、今後について共有しておきたいことがたくさんある。
ベナード商会の人たちはもう少し先へも行っているみたいなので、彼らの話を聞いておきたかった。
その後、ブラスコ専用のテントに関係者が集められた。
彼のテントは他のテントに比べて広さがあり、会議をするのに適した空間が確保されている。
当然ながら社長なので、待遇が他と違いがあってもおかしくはない。
「みんな、お疲れ様」
「「「お疲れ様です!」」」
体育会系のノリであいさつを返すベナード商会の従業員たち。
社長のブラスコが緩い感じなので、何とも不思議な感じがした。
「ルカやエンリちゃんはすでに面識があるんだけど、改めて紹介しておくよ。そちらは焼肉屋の店主のマルクくん」
「ど、どうも、はじめまして」
ブラスコが俺を紹介すると、皆が拍手で迎えてくれた。
何だか照れくさい気持ちになる。
「彼は元冒険者で魔法も使えるから、探索を同行させてあげるように」
「「「はい!」」」
従業員たちは気合が入っている。
自分の店の従業員が増えた時は社風とかノリを考えさせられる。
やる気は素晴らしいのだが、男ばかりでこれだと暑苦しいのだ。
「マルクくんの紹介はこの辺にして。ルカから進捗を聞かせてもらおうか」
ブラスコの口調が少し変化していた。
さすがに会議ともなると真剣さが増すようだ。
「へい、あっしと先遣隊で踏破した範囲ではモンスターはいやせんでした。ただ、この遺構と洞窟は未知の部分が多いんで、これまで同様に非戦闘員は最小限にとどめることをおすすめしやす」
「はい、あんがと。素材はどうだった?」
「ルミナイト、ヒーリンググラス。それ以外に実用性のある鉱石がちらほらと。キャラバンに採掘の専門はいないんで、二次編成時はそれを踏まえた方がいいと進言しておきやす」
「よしよし、今のところは順調みたいだね。この後は明日の準備ができたら、自由時間にしていいよん」
会議はそこで解散となり、ルカや従業員たちはテントを後にした。
俺はそのまま残って、ブラスコと話すことにした。
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