497 / 555
彼女たちの未来
変化の兆し
しおりを挟む
アンソワーレの朝は早い。
カルンの春はまだ肌寒く、薄い霧が石畳の路地に漂っているが、店の厨房からは湯気の混じった香りが立ち上っていた。
バラムの焼肉屋を離れて、薬草とハーブの店に立つようになってしばらく経つ。
最初は慣れないことばかりだった。
ハーブの種類、香りの抽出法、乾燥の見極め……焼き加減ばかり見てきた俺の目には違う「火加減」が必要だった。
けれど、フレイとオルネアのおかげで、ずいぶん慣れた。
今では乾燥室の温度調整も任されているし、客の好みに応じてハーブティーの調合もできるようになった。
ダークエルフの人たちを手伝おうという思ったことがきっかけだったが、気づけば店の一員のようになっている。
この日も、開店前の準備を終えて、フレイがノート片手に声をかけてきた。
「マルクさん。この『ルンナの手紙』ですが、棚の配置を変えてみたいんです。動線的に、入口近くに置いた方が手に取ってもらいやすいかと」
「なるほど。今のままだと奥まで行かないと香りが伝わりにくいですよね――」
俺はそう言った後、すっかり一人前ですねと口にしそうになったが、フレイの方が年長者ということで口を閉じた。
「それに初夏の香りって紹介すれば、これからの季節にぴったりでしょう?」
「いい案だ。やってみましょう」
その提案力に、俺は素直に感心していた。
フレイはあくまで控えめな性格だが、芯は強い。
牢に囚われていた時の立場から、今では店の顔としてお客と接しているのだから、その成長ぶりは目覚ましいものがある。
「在庫のチェック、昨日の分まで終わらせた。次の納品が少し遅れるって連絡が入ってて、臨時で別の調合を出してもいいかと」
そして同じダークエルフである、オルネアも抜け目がない。
自然な様子で会話に加わってくる。
「おっ、判断が早い。さすがですね」
オルネアは接客向きではないものの、在庫管理やラベルの描写などの部分で活躍している。
考えるまでもないことだが、この店は俺がいなくてもちゃんと回る。
その実感が、最近ようやくしっかりと胸に落ちるようになっていた。
「――マルクさん、少しよろしいでしょうか」
ふいに店の扉が開き、涼しい風とともに声が飛びこんできた。
透き通るような声の主はリリアだった。
軽装の襟に砂埃がついているので、朝からどこかに出ていたのだろう。
リリアの後ろには、少しばかり疲れた様子の顔のクリストフもいた。
「おや、二人とも珍しいですね。仕事帰りですか?」
リリアとクリストフもカルンの街に滞在しているのだが、これまでの実績を評価されて、エスタンブルクに雇われて臨時の兵士をしている。
その業務として近隣の見回りが含まれると聞いていた。
「実はお話ししたいことが……」
リリアの表情から、いくらか緊張した空気を感じた。
俺がフレイとオルネアに視線を向けると、二人とも自然にうなずいた。
「行ってください。私たちで対応できますから」
「接客は交代でするし、今日は平日。混む時間帯じゃないから」
その言葉に背中を押されるように、俺は小さくうなずいて玄関へ向かった。
リリアとクリストフがこちらに視線を合わせて、一緒に店の外に出る。
三人で歩いてしばらくすると、人通りの少ない広場のベンチにたどり着いた。
そこに腰を下ろしてから、クリストフが切り出すように口を開いた。
「――アスタリアの鉱石流通に不審な点が見つかったんだ。エスタンブルクの調査員が一応動いているものの、どうも表の記録と実際の貨物にズレがある」
「……ズレってどういうことです?」
まだ何を意味するかは分からなくとも、クリストフの表情から重要であることは理解できた。
「鉱石の品質が申請より劣る、あるいは量が足りない。それなのに正規ルートで処理が済んでいて。しかも、最近その貨物の行き先に武装組織の関係者が関わってる形跡があるんだ」
そこでリリアが言葉を継ぐ。
「このままではカルンにも影響が出るかもしれません。流通の混乱だけではなく、何かの火種になりかねない。私たちも動きたいのですが、今の立場では情報収集に限界があるんです」
そこで俺の出番というわけか。
表向きは交易目的の視察だが、実際は現地の様子を探り、裏で何が起きているかを探るという役割だ。
「……俺に打診したのは?」
「私たちです。カルンのことを知っていて、もしもの時に身を守れる人……そうなると、マルクさんしかいないと思いました」
「断っても責めません。でも、焼肉屋の主人でありながら、今も鍛錬を欠かさず、危ない場面では誰よりも先に動く。その姿を見てきましたから」
風が吹き抜け、ベンチの脇の木の葉がカサリと揺れた。
俺はしばらく黙って、両手を膝に置いたまま空を見上げた。
バラムにある焼肉屋では、今はフレヤとシリルが切り盛りしている。
カルンではアンソワーレの手伝いをしているが、フレイとオルネアの働きぶりを見ていれば、俺が不在でもしっかりと前に進むだけの力を持っている。
「――分かりました。その件、受けますよ」
ゆっくりと立ち上がりながら、リリアとクリストフの表情を見る。
「アスタリアで何が起きてるのか調べてみます」
「ありがとうございます」
リリアが深く頭を下げ、クリストフもほっとしたように笑った。
「いつ出発できそう?」
「一週間後を目途に。旅の支度をして、アンソワーレの整理も済ませたいです」
「了解した。こちらもルートを整えておくよ」
それから二人が去った後、俺は再び店へと戻った。
香りの漂う店内に一歩足を踏み入れた瞬間、フレイが振り向いた。
「どうでしたか?」
彼女の表情から、何があったかを悟ったかのような気配が感じられた。
「……二人の頼みを引き受けることにしました」
その言葉にフレイはゆっくりと、けれどしっかりと頷いた。
「いってらっしゃい。私たちは、ここで待ってます」
胸の奥に温かいものを感じた。
最初は手伝うだけのつもりだったが、いつのまにか俺にとってもアンソワーレが居場所の一つになっていたのだ。
あとがき
これにてダークエルフ編は終幕となりまして、次話から新章に入ります。
引き続き楽しんでいただけたら幸いです。
カルンの春はまだ肌寒く、薄い霧が石畳の路地に漂っているが、店の厨房からは湯気の混じった香りが立ち上っていた。
バラムの焼肉屋を離れて、薬草とハーブの店に立つようになってしばらく経つ。
最初は慣れないことばかりだった。
ハーブの種類、香りの抽出法、乾燥の見極め……焼き加減ばかり見てきた俺の目には違う「火加減」が必要だった。
けれど、フレイとオルネアのおかげで、ずいぶん慣れた。
今では乾燥室の温度調整も任されているし、客の好みに応じてハーブティーの調合もできるようになった。
ダークエルフの人たちを手伝おうという思ったことがきっかけだったが、気づけば店の一員のようになっている。
この日も、開店前の準備を終えて、フレイがノート片手に声をかけてきた。
「マルクさん。この『ルンナの手紙』ですが、棚の配置を変えてみたいんです。動線的に、入口近くに置いた方が手に取ってもらいやすいかと」
「なるほど。今のままだと奥まで行かないと香りが伝わりにくいですよね――」
俺はそう言った後、すっかり一人前ですねと口にしそうになったが、フレイの方が年長者ということで口を閉じた。
「それに初夏の香りって紹介すれば、これからの季節にぴったりでしょう?」
「いい案だ。やってみましょう」
その提案力に、俺は素直に感心していた。
フレイはあくまで控えめな性格だが、芯は強い。
牢に囚われていた時の立場から、今では店の顔としてお客と接しているのだから、その成長ぶりは目覚ましいものがある。
「在庫のチェック、昨日の分まで終わらせた。次の納品が少し遅れるって連絡が入ってて、臨時で別の調合を出してもいいかと」
そして同じダークエルフである、オルネアも抜け目がない。
自然な様子で会話に加わってくる。
「おっ、判断が早い。さすがですね」
オルネアは接客向きではないものの、在庫管理やラベルの描写などの部分で活躍している。
考えるまでもないことだが、この店は俺がいなくてもちゃんと回る。
その実感が、最近ようやくしっかりと胸に落ちるようになっていた。
「――マルクさん、少しよろしいでしょうか」
ふいに店の扉が開き、涼しい風とともに声が飛びこんできた。
透き通るような声の主はリリアだった。
軽装の襟に砂埃がついているので、朝からどこかに出ていたのだろう。
リリアの後ろには、少しばかり疲れた様子の顔のクリストフもいた。
「おや、二人とも珍しいですね。仕事帰りですか?」
リリアとクリストフもカルンの街に滞在しているのだが、これまでの実績を評価されて、エスタンブルクに雇われて臨時の兵士をしている。
その業務として近隣の見回りが含まれると聞いていた。
「実はお話ししたいことが……」
リリアの表情から、いくらか緊張した空気を感じた。
俺がフレイとオルネアに視線を向けると、二人とも自然にうなずいた。
「行ってください。私たちで対応できますから」
「接客は交代でするし、今日は平日。混む時間帯じゃないから」
その言葉に背中を押されるように、俺は小さくうなずいて玄関へ向かった。
リリアとクリストフがこちらに視線を合わせて、一緒に店の外に出る。
三人で歩いてしばらくすると、人通りの少ない広場のベンチにたどり着いた。
そこに腰を下ろしてから、クリストフが切り出すように口を開いた。
「――アスタリアの鉱石流通に不審な点が見つかったんだ。エスタンブルクの調査員が一応動いているものの、どうも表の記録と実際の貨物にズレがある」
「……ズレってどういうことです?」
まだ何を意味するかは分からなくとも、クリストフの表情から重要であることは理解できた。
「鉱石の品質が申請より劣る、あるいは量が足りない。それなのに正規ルートで処理が済んでいて。しかも、最近その貨物の行き先に武装組織の関係者が関わってる形跡があるんだ」
そこでリリアが言葉を継ぐ。
「このままではカルンにも影響が出るかもしれません。流通の混乱だけではなく、何かの火種になりかねない。私たちも動きたいのですが、今の立場では情報収集に限界があるんです」
そこで俺の出番というわけか。
表向きは交易目的の視察だが、実際は現地の様子を探り、裏で何が起きているかを探るという役割だ。
「……俺に打診したのは?」
「私たちです。カルンのことを知っていて、もしもの時に身を守れる人……そうなると、マルクさんしかいないと思いました」
「断っても責めません。でも、焼肉屋の主人でありながら、今も鍛錬を欠かさず、危ない場面では誰よりも先に動く。その姿を見てきましたから」
風が吹き抜け、ベンチの脇の木の葉がカサリと揺れた。
俺はしばらく黙って、両手を膝に置いたまま空を見上げた。
バラムにある焼肉屋では、今はフレヤとシリルが切り盛りしている。
カルンではアンソワーレの手伝いをしているが、フレイとオルネアの働きぶりを見ていれば、俺が不在でもしっかりと前に進むだけの力を持っている。
「――分かりました。その件、受けますよ」
ゆっくりと立ち上がりながら、リリアとクリストフの表情を見る。
「アスタリアで何が起きてるのか調べてみます」
「ありがとうございます」
リリアが深く頭を下げ、クリストフもほっとしたように笑った。
「いつ出発できそう?」
「一週間後を目途に。旅の支度をして、アンソワーレの整理も済ませたいです」
「了解した。こちらもルートを整えておくよ」
それから二人が去った後、俺は再び店へと戻った。
香りの漂う店内に一歩足を踏み入れた瞬間、フレイが振り向いた。
「どうでしたか?」
彼女の表情から、何があったかを悟ったかのような気配が感じられた。
「……二人の頼みを引き受けることにしました」
その言葉にフレイはゆっくりと、けれどしっかりと頷いた。
「いってらっしゃい。私たちは、ここで待ってます」
胸の奥に温かいものを感じた。
最初は手伝うだけのつもりだったが、いつのまにか俺にとってもアンソワーレが居場所の一つになっていたのだ。
あとがき
これにてダークエルフ編は終幕となりまして、次話から新章に入ります。
引き続き楽しんでいただけたら幸いです。
22
あなたにおすすめの小説
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる