追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟

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失われた都市メガイラでお宝探し

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「盗難防止のために墓地に隠したってこと?」

「ありえるだろ。ちなみに聖モウリスの墓がありそうな場所は……」

「全知全能の神を祀った大神殿?」



『ピンポンっピンポンっ大正解っ』



 ようやく宝の在り処がわかったので、さっさと目的地へ向かう。

 途中でウルスと合流し、大神殿があったと思われる場所で足を止めた。



 建物は高台の上に建設されていたらしく、ぞっとするような長い階段が上へ上へと伸びていた。長旅で疲れた足に鞭を打ち、ひいひい言いながら階段を登っていくアネーシャ。そのうちに、折れた太い柱の残骸や石像が多数現れて、ゴールが見えてきた。



 階段を登りきっても、基礎となる土台部分と無数の柱、大量の石版が残っているだけ。他には何もなかったが、かつてここに、巨大な神殿が建てられていたのは間違いなさそうだ。辺りは広々としていて、そこから望む景色がまた素晴らしく、しばらくぼうっと突っ立ってしまったほど。





「で、ここからどうやって地下に行くの?」

『そりゃあなた……』

「わかってる。自分で考えろって言うんでしょ」



 ぷりぷりしながら床を調べようとすると、



『じゃなくてそこ、穴があいてるわよ』



 突然のことに、悲鳴も上げるまもなく落下していくアネーシャ。



 あとを追って穴に飛び込んだウルスに、途中で掴まれ、抱き抱えられなければ、間違いなく命を落としていただろう。ウルスは空中で一回転して体勢を立て直すと、アネーシャを抱えたまま見事に着地した。



「ありがとうございます、ウルスさん」 

「気にするな」



 二人に続いて降りてきたシアは、着地の際に両足を骨折してしまったらしく、悶え苦しんでいた。慌てて怪我の治療をしつつ、「あの人の真似をしていたら命がいくつあっても足りない」と嘆くシアをそっと慰める。



「死なない程度に頑張って」

「それで慰めてるつもりか?」

「……それにしてもここ、真っ暗で先が見えないね」

「話をそらすな」



 落ちてきた穴からかろうじて光が差しているものの、さすがに奥までは届かないようだ。



『仕方ないわね、あたしが案内してあげる』



「えー、コヤ様が?」

「俺は見えなくても平気だ。先頭を歩こう」

「お願いします、ウルスさん」

「お願いしますっ」



『何この扱いの違いは』



 結局そこから、モウリスの柩が収められた墓地までの道のりは遠く、その上、盗賊避けに様々なトラップまで仕掛けられておリ――落とし穴、落石、飛び矢などなど――暗闇の中で無傷で済んだのはウルスだけで、シアはアネーシャをかばって瀕死の状態だった。



「シアって暗殺者のくせに暗闇がダメなんだね」



 傷を癒しながら軽口を叩くアネーシャを、シアは恨めしげに睨みつける。



「人の足をさんざん引っ張りやがって、お前が言うな」

『坊やはもともと対変態用の暗殺者だから。自分から動くことは滅多にないものね』



 そんなこんなでようやくモウリスの墓地にたどり着いたアネーシャだったが、



「この祭壇の上にあるのって、もしかして柩?」

「もしかしなくても柩だろう……ってか迂闊に触るなよ」



 アネーシャのせいで何度も罠にかかったシアは用心深く言った。



「幸い、罠はなさそうだ」



 けれども、モウリスの入った柩は鉄製で、蓋は溶接されていた。

 ウルスが素手でこじ開けてくれなければ、二人とも途方にくれていただろう。



「ウルスさんさまさまだね」

『調子がいいんだから』



 おそらくモウリスも、石版が誰の手にも渡らないよう、自身の柩を金庫代わりにしたに違いない。彼の遺体はほぼ原型を止めておらず、砂と化していた。柩から石版を取り出したウルスは、それをアネーシャに手渡す。



「これで任務完了だな」



 アネーシャが神妙な面持ちで受け取ると、石版の表面に文字が浮かび上がり、はっと息を呑む。



「コヤ様、これ……」

『サプラーイズっっ』



 突然大声を出されて、びっくりする。



『それはあなたへのプレゼントよ、アネーシャ。今日はあなたとあたしが初めて会った記念日だから』



 そういえばすっかり忘れていた。



「……わざわざ、私のために?」



 大切な娘のためだもの、と涙ぐむコヤ。

 若干胡散臭い気もするが、「ありがとう」と素直にお礼を言う。



『それ、マルチに使えて便利よ。預言書として使ってもいいし、細かく砕いてアクセサリーに加工してもいい。なんならいっそ、闇市で売っちゃう? 歴史的価値のある遺物だから、とんでもない値が付くわ』



 それはそれで魅力的な提案だけど、 



「とりあえず大事にとっとく」

『使わないの?』

「どうせ読めないし」

『あら、読めるわよ。アネーシャはあたしと契約してるんだし』



 試してみると、確かに読めた。

 どう見ても文字というより記号が並んでいるようにしか見えないのに。



 なになに……



「あなたの隣に立つ、赤髪の男性が運命の――」



 アネーシャは途中で読むのをやめると、黙って石版を荷物袋にしまった。

 そんなアネーシャをコヤがニヤニヤしながら見ている。



『どうしたの、アネーシャ。顔が真っ赤よ』



「知らないっ」







 …………

 ……







 あなたの隣に立つ、赤髪の男性が運命の相手です。

 彼のハートをがっちり握って、離さないようにしましょう。



 いすれあなたは彼と結婚し、双子の娘を生むでしょう。

 双子のうち、一人は女王となり、一人は聖女となります。



 邪神の魔の手からこの国を救うでしょう。 



 ラッキカラーは赤。ラッキナンバーは41。



              ――モウリスの預言書より

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