赤髪探偵の事件簿

神部洸

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第一章 本当に当たる占い師

第一話 濡れ衣

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 桜の花びらがひらひらと舞い始めたある春の頃。巷ではとある物が話題となっていた

 それは、占いだ。何でも都内あちこちを神出鬼没に現れて、一回たったの十円で占ってくれるとの事だった。

 まあ、大して当たらないだろうと思いつつも、十円と言う破格の値段に釣られて何人もの人がその占いを受けたというらしい。

 そしたらなんと、その占いが当たる当たる。今ではテレビ局のカメラまで追いかけて、連日各局のワイドショーでアナウンサーが適当なコメントをする材料となっている。

 そんな話を僕はどこで誰から聞いたのか、分からなかったが、なんとなくそのことは知っていた。

 僕は赤田伸彦。大学生。都内の端っこにある、駅から徒歩10分、家賃6万円の1kの部屋で一人暮らしをしている。

 トレードマークは僕が持つ赤い色をした髪の毛だ。これはよく染めた色だと勘違いされるのだが、これは地毛だ。なぜこうなったのかは分からないが、生まれて初めて生えてきた髪も赤色だった。らしい。

 まあ、この髪色のおかげで良くない風評被害を受けるものだから考えものではある。

 僕は大学の友達の春岡くんと西野くんとの3人で上野公園でお花見をしようという事になっていた。

 僕はじゃんけんに負けて場所取りかかりに任命されてしまい、午後一時を回った今家を出て駅に向かおうとしているのだ。

 ギシギシと音のなるボロい階段を降りて、道に出る。その時だった。僕と同じくらいの背格好で、ベージュのコートに緑のズボン。黒いリュックを背負った男性が一生懸命に走っていった。

「あっ。僕と一緒だ。」

こんな偶然あるんだなぁと感心していたら、その人はすぐ先の路地を曲がってしまった。

「待てー!!待ちなさい!!」

二人のおじさんが、坂を下ってくる。おや?誰かを追いかけてるのかな?

「頑張れ~!」と声をかけようとした瞬間、二人のおじさんは僕に飛びかかり、道路へと僕を押し倒した。

「痛タタタ……もう、何するんですか。」

僕が起き上がって見てみると、衝撃的な事が行われていた。

「令和10年3月8日、緊急逮捕!」

 カチャン!と言う金属の音とともに僕の腕に手錠がかけられた。

「なぁにしてくれてんですかぁぁぁぁ!!」

僕はつい怒鳴ってしまった。
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