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第四話 北条忍術
一
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「北条忍術…これは戦国時代に後北条家の者が使う忍術で、豊臣秀吉の、小田原征伐の折に後北条家が滅亡した時に殆どが滅亡した。僅かな生き残りも居たとされるが、江戸の始めには絶えてしまった。」
政次郎は、自分の書庫から忍術書を出して、読んでいると、先日江戸城で政次郎を襲った忍の戦い方と同じ様な戦いをする忍を見つけた。
突きを主体にあらゆる攻撃を繰り出してくる忍者。それが北条忍術を使う者の特徴であった。
他にも情報が載ってないかと探していた時、診療を終え、一段落した中山善五郎が入ってきた。善五郎は、入って来るなり、政次郎が読んでいた忍術書を覗いた。
「先日の忍の業ですか?」
「うむ。どうやらその様じゃ」
政次郎は答えると、先日の状況を整理した。
・江戸城内で将軍と、謁見後に襲撃。
・忍に襲撃された
これ等から推測すると、家光との謁見の内容がどうであっても、家光のお気に入りである政次郎に、権力を持たれては困る者。しかも政次郎は将軍家の縁戚に当たる。政次郎が応じれば直ぐに十万石は降りてくる。そんな事をされては、事件の黒幕にとっては、自らの立場が危うくなる。その為忍を使って政次郎を襲撃させたと考えられた。
「そうなると、上様のお気に入りの方の犯行と見られますな。」
現在の将軍家光は、男色を酷く好み、気に入った者には、力まで与えてしまうのである。そんな家光の男色相手の中でも、群を抜いて出世したのは、堀田加賀守であった。彼は民衆から「蛍大名」と揶揄されている。これは、男色を好む家光に対して、自分の尻を使って出世したと思われたからだ。
さらに加賀守は、政次郎が徳川を名乗ることを、酷く拒んでいる。真の理由は政次郎も分からないが、政次郎の事を妬んでいるのには違いない。
「若、ここは一度加賀守に言ってやって、ケリをつけるのが宜しいのでは。」
「うん、俺もそう思っていたところだ。行くぞ、善五郎。」
そう言うと二人は診療所を締め、堀田加賀守の上屋敷へと向かった。
政次郎は、自分の書庫から忍術書を出して、読んでいると、先日江戸城で政次郎を襲った忍の戦い方と同じ様な戦いをする忍を見つけた。
突きを主体にあらゆる攻撃を繰り出してくる忍者。それが北条忍術を使う者の特徴であった。
他にも情報が載ってないかと探していた時、診療を終え、一段落した中山善五郎が入ってきた。善五郎は、入って来るなり、政次郎が読んでいた忍術書を覗いた。
「先日の忍の業ですか?」
「うむ。どうやらその様じゃ」
政次郎は答えると、先日の状況を整理した。
・江戸城内で将軍と、謁見後に襲撃。
・忍に襲撃された
これ等から推測すると、家光との謁見の内容がどうであっても、家光のお気に入りである政次郎に、権力を持たれては困る者。しかも政次郎は将軍家の縁戚に当たる。政次郎が応じれば直ぐに十万石は降りてくる。そんな事をされては、事件の黒幕にとっては、自らの立場が危うくなる。その為忍を使って政次郎を襲撃させたと考えられた。
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「若、ここは一度加賀守に言ってやって、ケリをつけるのが宜しいのでは。」
「うん、俺もそう思っていたところだ。行くぞ、善五郎。」
そう言うと二人は診療所を締め、堀田加賀守の上屋敷へと向かった。
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