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第四話 北条忍術
二
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この日老中、堀田加賀守は珍しく非番で、自らの上屋敷に居た。
政次郎は門番に「田村政次郎申す者、ご老中とお話したき議がある」と申しても、帰れとの一点張りで、善五郎が政次郎の身分を言おうとした直前、偶然通りかかった加賀守の江戸家老が政次郎に気づき、大門を開けさせた。
屋敷の門を開けて招くと言うことは、政次郎のことを、徳川一門と、『表向きは』認めている事を表している。
門を潜ると、加賀守自らの出迎え、御座の間へと通された。上座を譲ろうとする加賀守を「良い」と制すると、政次郎は下座に座った。
「加賀守殿、此度は突然参って済まなく思う。」
政次郎はいきなり押しかけたことを一言詫た。
「いえいえ、少々驚きましたが、本日は非番を頂いております故。」
笑顔を作っているが、目は笑っていない。
「加賀守殿よ、私が江戸城内にて襲撃された事は存じておられるな。」
「はい、存じております。」
政次郎の問に一拍間を開けて答えた加賀守の表情が変わった。
「貴殿は御自慢の忍衆を抱えておられると風の噂で聞いてな。その中に北条忍術なる業を遣う者がおるの?」
善五郎が聞いた。加賀守は諦めたのか素直に頷いた。
「私はその者に襲われたと思われる。そやつが自らの意思で私を襲うとは思い難い。お主の命ではないのか堀田加賀守!」
政次郎が聞くと、人払いしてあったはずの廊下に人影が現れた。勿論それに気づかない二人ではない。加賀守に気づかれぬよう、戦える体制に整えると、
「何をする気だ。加賀守」
政次郎は聞いた。
政次郎は門番に「田村政次郎申す者、ご老中とお話したき議がある」と申しても、帰れとの一点張りで、善五郎が政次郎の身分を言おうとした直前、偶然通りかかった加賀守の江戸家老が政次郎に気づき、大門を開けさせた。
屋敷の門を開けて招くと言うことは、政次郎のことを、徳川一門と、『表向きは』認めている事を表している。
門を潜ると、加賀守自らの出迎え、御座の間へと通された。上座を譲ろうとする加賀守を「良い」と制すると、政次郎は下座に座った。
「加賀守殿、此度は突然参って済まなく思う。」
政次郎はいきなり押しかけたことを一言詫た。
「いえいえ、少々驚きましたが、本日は非番を頂いております故。」
笑顔を作っているが、目は笑っていない。
「加賀守殿よ、私が江戸城内にて襲撃された事は存じておられるな。」
「はい、存じております。」
政次郎の問に一拍間を開けて答えた加賀守の表情が変わった。
「貴殿は御自慢の忍衆を抱えておられると風の噂で聞いてな。その中に北条忍術なる業を遣う者がおるの?」
善五郎が聞いた。加賀守は諦めたのか素直に頷いた。
「私はその者に襲われたと思われる。そやつが自らの意思で私を襲うとは思い難い。お主の命ではないのか堀田加賀守!」
政次郎が聞くと、人払いしてあったはずの廊下に人影が現れた。勿論それに気づかない二人ではない。加賀守に気づかれぬよう、戦える体制に整えると、
「何をする気だ。加賀守」
政次郎は聞いた。
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