転生に失敗したせいでダンジョンに行かされる

らんらんらん

文字の大きさ
14 / 19

9話

しおりを挟む
 トンネルと抜けたら、という書き出しがあるけれど、洞窟に入っても、変化なんてない、と思っていた。狭い道に、勿論、雪は降っていない。けれど、辺り一面が水。しかも足首まで。幸いなのは澄んでいて地面が見える程度。これは、飲んでも大丈夫なのだろうか。そして、足元は冷たいのだが、思っていたよりは、寒くない。水の影響で気温が下がる、というのはないのかな?流石、ダンジョン。不思議空間。それとも、装備のせい?

「思っていたよりは、明るいんですね。」

 土水門くんが言う。けれど、初めから知っているのをいま知った感があり、どこかわざとらしい。僕の指導という立場からすれば、事前に説明があるはず。このことを知っていても不思議ではない。それなのに、何故か、よそよそしい。そのまま、何回か来たことがある、ではだめなのか。

「てっきり何回か入っていると思いましたが。映像だけでしたか。」

「自由時間がそこまであるとは思いませんが。」

 わざとらしく感じたのは、ただの勘違いか。ギスギスする、とまでいかないが、なんか気まずい。そして、うるさい。
 ブーン、っと継続的に音を出しながら飛ぶ、ラジコンヘリ、カメラ付き。手を振れば、カメラの向こう側の人が、きっと、そんなことしている暇があったら先に進め、とでも言うかもしれない。何やら、準備していると思ったら、

「これ飛ばすなら、監視カメラでも仕掛ければいいのに。」

 電波がどうなっているか、わからないが、ここまで飛ぶのだから、電波の中継地点?のような物があるのでは?ケーブル引いてカメラつけるか、定点つけて定期的にテープを回収すればいいような。

「無理ですよ。彼ら、自衛官ですが、スーツ着る人ですから。」

 自衛隊の人か。何だろう。国の人なのはわかっていた。けれど、なんて言うか、国の人なんだ、と実感してしまう。これが、警察官なら、多分、そうなんだ、で終わっていた気がする。不思議だ。

「ここ、離島ですから。帰ってそれ相応のところに行けば、合えますよ。」

「何を当たり前のことを言っているのですか。それが、彼らの仕事ですよ。」

 空気悪いな。洞窟だからかな。

 祈願?した後、土水門さんの対応が、いままで以上に、興味ない、という態度を隠すことが無くなった気がする。冷たいとかではないのだが。
 ついでに、僕自身も、モヤモヤしていたのが、晴れ、気分が楽になったような気がする。神様が何かしたのかな?
土水門くんは、変わった様子はないのにな。はて?

「その仕事をしているところ見たことありませんけどね。」

「こちらから手を出す以外の実害はありませんから。無理に怪我をしようとしないのでは。公務員ですから、無理をして、怪我して、税金で治療という流れになるのは、外聞が悪いのでしょう。」

 実害が出るまでに、いまの世代の人が生きているのか、という疑問が残る。けれど、それはさておき、この会話は、外でしていいのか、と思ってし、

「何か来る。」

「えっ。」

 土水門さんが、僕の言葉に合わせて前に出る。対する土水門くんは、実感がないのか、準備をしていない。弓持っているのだから、いち早くけん制するポジションだと思うのだが。
 感じの違いは、これが普通で、僕が普通でないからかな。

 土水門さんが、屈み、手を水につけた。手の周りが光出すと、幾何学模様が浮かんだ。そして、膝を伸ばしながら手のを下から上に払い、頭の高さまで上げた手を肩の高さまで下げ横に払った。水の膜が僕たちを包むように前面に広がる。

「うまいな。」

 自然と声が漏れる。人に対して感心した、というのはこういうことなのかな、と、これから戦闘するのにどうでもいいことを思ってしまった。

 さっきよりも、増す圧力。揺れる水面。ここまで来て、実感が出た土水門くんが、弓を構えた。そして、そして、拡大する、

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ。」

悲鳴。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

追放された俺、悪魔に魂を売って全属性魔法に覚醒。悪魔契約者と蔑まれるが、まぁ事実だ。勇者? ああ、俺を見下してたやつな

自ら
ファンタジー
灰原カイトのスキルは【魔力親和】。評価F。 「外れスキル」の烙印を押された彼は、勇者パーティで三年間、荷物を運び、素材を剥ぎ、誰よりも早く野営の火を起こし続けた。 そして、捨てられた。 「お前がいると、俺の剣が重くなる」 勇者が口にした追放の理由は、侮蔑ではなかった。恐怖だった。 行き場を失ったカイトの前に、一人の悪魔が現れる。 「あなたの魂の、死後の行き先をちょうだい。代わりに、眠っている力を起こしてあげる」 病弱な妹の薬代が尽きるまで、あと十日。 カイトは迷わなかった。 目覚めたのは、全属性魔法――歴史上、伝説にしか存在しない力。 だがその代償は、使うたびに広がる魔印と、二度と消えない「悪魔契約者」の烙印。 世界中から蔑まれる。教会に追われる。かつての仲間には化け物と呼ばれる。 ――まぁ、その通りだ。悪魔に魂を売ったのは事実だし。 それでも。没落貴族の剣姫と背中を預け合い、追放された聖女と聖魔の同時詠唱を編み出し、契約した悪魔自身と夜空の下で笑い合う日々は、悪くない。 これは、世界の「調律者」だった男が、その座を追われてなお、自分の手で居場所を作り直す物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 15歳になった男子は、冒険者になる。それが当たり前の世界。だがクテュールは、冒険者になるつもりはなかった。男だけど裁縫が好きで、道具屋とかに勤めたいと思っていた。 クテュールは、15歳になる前日に、幼馴染のエジンに稽古すると連れ出され殺されかけた!いや、偶然魔物の上に落ち助かったのだ!それが『レッドアイの森』のボス、キュイだった!

処理中です...