超空想~異世界召喚されたのでハッピーエンドを目指します~

有楽 森

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夢に咲く花

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 孝宏にはどうしてそんなことを言ってしまったのかわからなかった。

 売り言葉に買い言葉だっだっかもしれないし、もしかすると自分と重なったのかもしれない。

 想いが報われないのは、たとえ他人事でも切ないのだ。

 カダンに対してモヤモヤとする、怒りに似た感情が湧きあがってくる。


「嫌いなら何で、さっきの抵抗しなかったんだよ?他にも思わせぶりなことしたんじゃないのか?カダンの方が!」


「俺が悪いって言うのか?あれは驚いて抵抗できなかったって、さっき言ったろう?」


「ムキになる所が怪しいよ。ああ、もしかして、他にも相手がいるのか。だから隠したいんだ」


 カダンが言葉に詰まり、瞳が複雑に揺れている。奥歯を噛みしめ、言葉を飲んだ。


(あ……もしかして泣きそう?)


 カダンは肩から手を離し、片手を孝宏の頭に乗せ、もう片手はだらんと下に垂らした。


「他にもって、それは俺が二股をかけてるって言いたいの?あのな、言っていいことと、悪いことがあるって、子供の頃に教わらなかった?」


「誰もそんなこと言ってないだろう?もしかして図星だったか?生憎だけど、俺はまだ大人じゃねぇよ」


「ああ、なるほど」


 カダンがニヤリと笑い、立ち上がり、孝宏を見下ろして言った。


「お子様にはあの程度が刺激的だったか。なら、妙な邪推も納得できる。お子様には解らないよな。お子様には」


 本当のことだけに反論の余地はない。

 反論してこない孝宏を見て、カダンは首を傾げた。変わらず笑みを浮かべている。


「まさか、本当にないとは言わないよな?恋人がいるんだ、キスくらいあるだろう?」


 小ばかにされているは、彼の顔を見なくてもわかる。

 何か言い返せねばと口を開いた時、車の中からカウルが顔を覗かせた。


「取り込み中悪いんだけどな、カダンちょっと良いか?」


「うん。お子様の癇癪に付き合ってただけ。まったく問題ないよ」


「それはこっちのセリフだ!」


 孝宏に背中を向ける一瞬、カダンは不機嫌に細めた目で、孝宏を睨みつけた。


 車から降りて来たカウルと短く言葉を交わすと、それまで以上に、不機嫌に顔を歪めた。ため息を大きく吐き、首を横に振ると、車の向こうに消えていった。


「何?喧嘩したの?」


 カウルは興味本位で聞いている。彼の表情が物語っている。


「喧嘩ってほどじゃあ……さっきの事でちょっとな」


「さっき?」


「ボウクウさんが来てさ……カウル達も見てたんじゃないのか?」


「いや、それが幕が下りてて、見えなかったんだ。よく解らないけど、あまりあいつを苛めないでくれよ。特に今は、複雑だろうし」


 カウルは孝宏の頭を勢いよく撫でまわした。


(苛められたのは俺の方だ)


 そう思ったが、孝宏は低く唸っただけで何も言わなかった。


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