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第二章~自由の先で始める当て馬生活~
33~カク~
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血に染まった海というのは、かくも恐ろしいものだ。
崖に沿って北へ伸びる血の道を上空から見止めた時、カクは魔法を使い鳥に変身している事も忘れ、うっかり手を伸ばした。
羽で受けていた風がするりと逃げ、カクは海へ真っ逆さまに落ちていく。視界の端で同士、マンナが海へ飛び込むのが見え、カクは羽を広げ直し再び空高く昇った。
旋回し、緩やかに下降して、今度は小鳥となり森の中を飛んだ。
海を探し、森を探しても見つからず、なりふり構っていられなくなり、大声でアイナの名を呼んで探した。
アイナの持つ魔法具の反応があった周辺も隈なく探した。目視で、魔法で。
けれど、いくら探してもアイナは出てこなかった。魔法具の反応も消えた。
現在残る唯一の手掛かりは、ジージールがアイナに付けた映し身だ。己の人精と繋がるジージールはアイナの気配を確かに感じ取っている。
だが、映し身は返事もしなければ、戻ってもこない。けれどアイナとの繋がりは保たれている。
なら映し身は自ら好んでアイナと一緒にいるのだろうと、ジージールは語る。
間違いなく生きてはいる。それだけがカクの精神をギリギリのところで保っていた。
アイナの手がかりを求めて、カクは十数年ぶりに故郷の村を訪れた。
カクの記憶よりずっとあか抜けた新しい建物が並び、綺麗に舗装された道を車や人が行きかっている。知っている顔が誰もいない。
ここは本当に自分の故郷だろうかと、妙な緊張を胸に抱き、自身の兄弟に聞いた、かつての親友の職場を尋ねた。
受付に伝言を託すと、自身は一度懐かしい実家へ顔を出す。
両親は想像以上に老け込んでいた。突然の訪問に驚いた様子だったが、久方ぶりの息子との邂逅に喜ばないはずもなく、両親は泣いてカクを迎え入れた。
やがて日が落ち、弟が仕事から帰宅し、共に夕飯を取っている時分だった。来客を知らせるベルが鳴った。
「カク、お前に客だよ」
呼び鈴に答え、出迎えに行った母が言う。表情は固い。
「ザブロか……ようやく来たか」
カクは椀に残った食事を口へかき込むと、一言残し玄関に向かった。
「忙しい所を呼び出して悪かったな。お袋も今日はありがとう」
また来るよとは言えず、カクは言葉を飲み込む。母親の方も息子の複雑な心内を察してか、次に繋がる言葉は吐かなかった。
気を付けてと母親が言い、無理はするなといつの間にか居間から出て来た父親が言う。弟も何かを言いたそうにしていたが、喉ぼとけを上下させるばかりで言葉が出てこない。
「元気でな」
「うん、兄貴も……」
カクは弟の頭を撫でると、親友、ザブロと共に家を後にした。
「あの、カク?どこへ……」
「飯を食いに行こう。できれば個室がある居酒屋なんて良いな。良い所を知らないか?」
「それならおすすめの店がある。そこにしよう」
二人は店までの道中、ポツリポツリと言葉を交わす。
「急に呼び出して悪かったな」
「いや、突然予定が変わるなんて良くある。気にするな」
「それなら良いんだが」
「それにアカサ、お前の弟から聞いていたから…………待ってたよ」
「そうか…………そうか………………みんな元気か?」
「あ、ああ……」
「子も大きくなったんだろう?」
「あぁ……そうだな」
「子の成長は早いもんだ。この歳になるとつくづく思うよ」
「……そう、だな。この間まで子供だと思っていたのに、もう成人だ。苦労も多かったはずなのに、思い出されるのは、やたら楽しかった思い出ばかりなんだよ」
「ああ、解るよ」
この時唇を噛みしめ俯くカクを、ザブロはどういう気持ちで眺めていたのか。
ザブロ自身も唇をキュッと結び、眉間に皺が寄る程歪められた目元は青白く、血の気を失っていた。
居酒屋に付き、靴を脱ぎ座敷に上がると、さっそくつまみを幾品かと酒を頼む。カクはそれらが来るのを待ってから、徐に魔法を発動させた。
自分たちを包む半透明の青白い光に、ザブロは一瞬驚いて目を配った。だがそれもほんの1,2秒の事だった。後はジッとカクを見つめ、切り出されるのを待っている。
「実はお前に頼みがあって……」
「良いぞ。何でも言ってくれ」
カクが言い終わらぬ内に、ザブロは被せて言った。
カクが言葉を奪われ、口を開けたまま非難めいた視線をザブロに向ける。するとザブロはもう一度、変わらぬ様子で同じ言葉を繰り返した。
「俺は助かるが、内容はちゃんと聞いた方が良い。例えば、お前の家族の命に関わる事だったらどうする?」
「カクがそんな事を、俺に頼むはずがない」
「分からないぞ。長い時間は人を変える」
「分かるさ。もしもそのような頼みをするお前なら、俺への伝言はもっと意味深なものだっただろうし、待合場所もお前の家ではなく、俺の家だったはずだ」
人質が必要だからな、最後に付け加えてニヤリと笑む親友に、カクも歯を合わせたまま喉の奥を鳴らして笑った。さすがに俺の事を良く知っていると。
「お前が理解してくれているのは良く分かった。けれど最後まで聞いて欲しい。大事な事だ」
「お前がそこまで言うなら……分かった」
「まず、俺の頼みを聞いてもらう前に、お前には秘匿魔法を受け入れてもらわないといけない。何があっても他言できない様にな。それが原因で家族と不仲に場合もなったり、不利益を被る事もあるだろう。もしそうなっても俺は助けてやれない。俺の頼み事はそのようなものだ。それでも受けてもらえるか?」
「良いだろう。問題ない。秘匿魔法を施せ」
カクに言われた通りすべて聞き終えた後、ザブロは間髪入れず答えた。カクが溜息を吐きながら首を横に振る。
これ以上何を言ってもザブロが意見を変えないであろう事は、カクも解っていたし時間も惜しかった。
カクはそれ以上何も言わず、秘匿魔法をザブロに施した。
「これで魔法は施されたか?ならもう良いだろう?話せ」
「実は人を探している。歳は16の少女で、黒髪、黒目。数日前までは10かそこら程しか身長もなかったが、今は年相応に伸びているだろう。ただ、魔法具で変装している可能性が高くて、今言った身体的特徴通りでないかもしれない。それ以外の特徴といえば言葉遣いや仕草などは丁寧で上流階級のものだ。戦闘能力が高い。魔獣相手の戦闘経験もあるし、同年代どころか大人相手に戦ってもそうそう負けないだろう。何せ、俺と俺の同士が、己のすべてをかけて鍛えた娘だからな。名前は……」
ふんふんと頷きながら聞いていたザブロは、探し人の名前を聞いてハタと動きを止めた。聞き違えたかもしれないと、カクにもう一度名をと催促する。
「名前はアイナ。生きているのは確かだ。だが、どれだけ探しても見つからないし、機密性が高すぎて人員を投入できない。でもお前なら……」
「俺ならお前に弱みがあるし、魔法で縛る事も出来る?」
「……すまない」
「謝らないでくれ。いや、カクが謝る必要はない。俺こそずっとカクに謝りたかった。償いたかった。信じて待ちきれなかった自分の事を棚に上げて、カクを殴ってしまった事をずっと後悔していた。あの日お前の話を聞いていれば、何か変わっていただろうかってな」
「…………」
「でもそれ以上に、俺は今、友の、親友の為に働ける事がとても嬉しんだ。いいや、友と呼んでくれなくても良い。こんな俺でもカクの助けになるなら、それでお前が助かるなら、何だってするさ」
「ザブロ…………ありがとう」
体を引き、深く頭を下げる。カクの額が料理の並ぶ机に軽く触れた。向かい合うザブロの目には涙が溢れ、ポタリポタリと服に暗いシミを作る。
「まずはアンケートか何かを装って年頃の少女の……いや年頃とは限らないのか。いっそ少年も……」
気を取り直し、ザブロが口を開く。するとカクがニコリともせず言った。
「その言い方だと少し犯罪臭いな、ザブロ?」
「お前の頼みじゃねぇか。何て言い草だ」
「フッ……冗談だ。逮捕された時は嘆願書を出すくらいはしてやろう」
「っるせぇな、ありがとうよ」
ついに笑みを零し、互いに温くなった酒を呷る。
料理もすっかり冷めていたが、どこか懐かしい味がした。
崖に沿って北へ伸びる血の道を上空から見止めた時、カクは魔法を使い鳥に変身している事も忘れ、うっかり手を伸ばした。
羽で受けていた風がするりと逃げ、カクは海へ真っ逆さまに落ちていく。視界の端で同士、マンナが海へ飛び込むのが見え、カクは羽を広げ直し再び空高く昇った。
旋回し、緩やかに下降して、今度は小鳥となり森の中を飛んだ。
海を探し、森を探しても見つからず、なりふり構っていられなくなり、大声でアイナの名を呼んで探した。
アイナの持つ魔法具の反応があった周辺も隈なく探した。目視で、魔法で。
けれど、いくら探してもアイナは出てこなかった。魔法具の反応も消えた。
現在残る唯一の手掛かりは、ジージールがアイナに付けた映し身だ。己の人精と繋がるジージールはアイナの気配を確かに感じ取っている。
だが、映し身は返事もしなければ、戻ってもこない。けれどアイナとの繋がりは保たれている。
なら映し身は自ら好んでアイナと一緒にいるのだろうと、ジージールは語る。
間違いなく生きてはいる。それだけがカクの精神をギリギリのところで保っていた。
アイナの手がかりを求めて、カクは十数年ぶりに故郷の村を訪れた。
カクの記憶よりずっとあか抜けた新しい建物が並び、綺麗に舗装された道を車や人が行きかっている。知っている顔が誰もいない。
ここは本当に自分の故郷だろうかと、妙な緊張を胸に抱き、自身の兄弟に聞いた、かつての親友の職場を尋ねた。
受付に伝言を託すと、自身は一度懐かしい実家へ顔を出す。
両親は想像以上に老け込んでいた。突然の訪問に驚いた様子だったが、久方ぶりの息子との邂逅に喜ばないはずもなく、両親は泣いてカクを迎え入れた。
やがて日が落ち、弟が仕事から帰宅し、共に夕飯を取っている時分だった。来客を知らせるベルが鳴った。
「カク、お前に客だよ」
呼び鈴に答え、出迎えに行った母が言う。表情は固い。
「ザブロか……ようやく来たか」
カクは椀に残った食事を口へかき込むと、一言残し玄関に向かった。
「忙しい所を呼び出して悪かったな。お袋も今日はありがとう」
また来るよとは言えず、カクは言葉を飲み込む。母親の方も息子の複雑な心内を察してか、次に繋がる言葉は吐かなかった。
気を付けてと母親が言い、無理はするなといつの間にか居間から出て来た父親が言う。弟も何かを言いたそうにしていたが、喉ぼとけを上下させるばかりで言葉が出てこない。
「元気でな」
「うん、兄貴も……」
カクは弟の頭を撫でると、親友、ザブロと共に家を後にした。
「あの、カク?どこへ……」
「飯を食いに行こう。できれば個室がある居酒屋なんて良いな。良い所を知らないか?」
「それならおすすめの店がある。そこにしよう」
二人は店までの道中、ポツリポツリと言葉を交わす。
「急に呼び出して悪かったな」
「いや、突然予定が変わるなんて良くある。気にするな」
「それなら良いんだが」
「それにアカサ、お前の弟から聞いていたから…………待ってたよ」
「そうか…………そうか………………みんな元気か?」
「あ、ああ……」
「子も大きくなったんだろう?」
「あぁ……そうだな」
「子の成長は早いもんだ。この歳になるとつくづく思うよ」
「……そう、だな。この間まで子供だと思っていたのに、もう成人だ。苦労も多かったはずなのに、思い出されるのは、やたら楽しかった思い出ばかりなんだよ」
「ああ、解るよ」
この時唇を噛みしめ俯くカクを、ザブロはどういう気持ちで眺めていたのか。
ザブロ自身も唇をキュッと結び、眉間に皺が寄る程歪められた目元は青白く、血の気を失っていた。
居酒屋に付き、靴を脱ぎ座敷に上がると、さっそくつまみを幾品かと酒を頼む。カクはそれらが来るのを待ってから、徐に魔法を発動させた。
自分たちを包む半透明の青白い光に、ザブロは一瞬驚いて目を配った。だがそれもほんの1,2秒の事だった。後はジッとカクを見つめ、切り出されるのを待っている。
「実はお前に頼みがあって……」
「良いぞ。何でも言ってくれ」
カクが言い終わらぬ内に、ザブロは被せて言った。
カクが言葉を奪われ、口を開けたまま非難めいた視線をザブロに向ける。するとザブロはもう一度、変わらぬ様子で同じ言葉を繰り返した。
「俺は助かるが、内容はちゃんと聞いた方が良い。例えば、お前の家族の命に関わる事だったらどうする?」
「カクがそんな事を、俺に頼むはずがない」
「分からないぞ。長い時間は人を変える」
「分かるさ。もしもそのような頼みをするお前なら、俺への伝言はもっと意味深なものだっただろうし、待合場所もお前の家ではなく、俺の家だったはずだ」
人質が必要だからな、最後に付け加えてニヤリと笑む親友に、カクも歯を合わせたまま喉の奥を鳴らして笑った。さすがに俺の事を良く知っていると。
「お前が理解してくれているのは良く分かった。けれど最後まで聞いて欲しい。大事な事だ」
「お前がそこまで言うなら……分かった」
「まず、俺の頼みを聞いてもらう前に、お前には秘匿魔法を受け入れてもらわないといけない。何があっても他言できない様にな。それが原因で家族と不仲に場合もなったり、不利益を被る事もあるだろう。もしそうなっても俺は助けてやれない。俺の頼み事はそのようなものだ。それでも受けてもらえるか?」
「良いだろう。問題ない。秘匿魔法を施せ」
カクに言われた通りすべて聞き終えた後、ザブロは間髪入れず答えた。カクが溜息を吐きながら首を横に振る。
これ以上何を言ってもザブロが意見を変えないであろう事は、カクも解っていたし時間も惜しかった。
カクはそれ以上何も言わず、秘匿魔法をザブロに施した。
「これで魔法は施されたか?ならもう良いだろう?話せ」
「実は人を探している。歳は16の少女で、黒髪、黒目。数日前までは10かそこら程しか身長もなかったが、今は年相応に伸びているだろう。ただ、魔法具で変装している可能性が高くて、今言った身体的特徴通りでないかもしれない。それ以外の特徴といえば言葉遣いや仕草などは丁寧で上流階級のものだ。戦闘能力が高い。魔獣相手の戦闘経験もあるし、同年代どころか大人相手に戦ってもそうそう負けないだろう。何せ、俺と俺の同士が、己のすべてをかけて鍛えた娘だからな。名前は……」
ふんふんと頷きながら聞いていたザブロは、探し人の名前を聞いてハタと動きを止めた。聞き違えたかもしれないと、カクにもう一度名をと催促する。
「名前はアイナ。生きているのは確かだ。だが、どれだけ探しても見つからないし、機密性が高すぎて人員を投入できない。でもお前なら……」
「俺ならお前に弱みがあるし、魔法で縛る事も出来る?」
「……すまない」
「謝らないでくれ。いや、カクが謝る必要はない。俺こそずっとカクに謝りたかった。償いたかった。信じて待ちきれなかった自分の事を棚に上げて、カクを殴ってしまった事をずっと後悔していた。あの日お前の話を聞いていれば、何か変わっていただろうかってな」
「…………」
「でもそれ以上に、俺は今、友の、親友の為に働ける事がとても嬉しんだ。いいや、友と呼んでくれなくても良い。こんな俺でもカクの助けになるなら、それでお前が助かるなら、何だってするさ」
「ザブロ…………ありがとう」
体を引き、深く頭を下げる。カクの額が料理の並ぶ机に軽く触れた。向かい合うザブロの目には涙が溢れ、ポタリポタリと服に暗いシミを作る。
「まずはアンケートか何かを装って年頃の少女の……いや年頃とは限らないのか。いっそ少年も……」
気を取り直し、ザブロが口を開く。するとカクがニコリともせず言った。
「その言い方だと少し犯罪臭いな、ザブロ?」
「お前の頼みじゃねぇか。何て言い草だ」
「フッ……冗談だ。逮捕された時は嘆願書を出すくらいはしてやろう」
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