うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨

文字の大きさ
5 / 32
5歳

作戦ノート

しおりを挟む



「では失礼致します。何かありましたらそこのブザーを押してください。」


「うん!わかってるよ!」


頭を下げて俺の部屋から出ていく美紅さん。

部屋の端に、王子様が出る映画にありそうなクイーンサイズのベッドの横に丸い赤いボタンがある。家族の全部屋にあるそれは使用人の控え室に繋がっていてその時にいる人が部屋へと向かう。
大体は自分の専属が来てくれるが、休んでいる深夜などは夜勤の人が来てくれる。
ずっと美紅さんが居てくれるし美紅さんが居ない時はわざわざ呼びだすのが申し訳なくて1度も使ったことがない。




20時…か。
お風呂とか寝る準備をしてたらこんな時間になってしまった。

後1時間で寝なければいけない
21時には寝ろと言われているのでその時間になると寝ているか見に来るのだ。まぁあ寝れない日もあるのが分かっているから寝顔までは確認しに来ない。部屋が暗くなっていてベッドに入ってたら良いらしい。
けど俺はどこにも行っていないのにすぐに寝落ちしてしまう。
5歳はこんなもんだろう。

いつもなら寝るまで本を読むが今日は違う!

机の引き出しからノートと鉛筆を取り出して少し高いベッドに登る。

「よいしょと」

登るのも一苦労だ。

4歳まで母様と一緒に寝ていたから抱っこして上げてくれたけど今は誰も居ないから1人で上がるしかない。
何故か4歳の時に急に母と寝るのが恥ずかしくなってそこからめちゃめちゃ説得して1人で寝ている。

大変だけどここくらいしか体を動かしているって感じしないしいいんだけどね


スウッ


「俺の脱出大しゃく戦~!!!!!」

大きく息を吸って小声で叫ぶ

…おほん。少し噛んだのは5歳だし許して欲しい。

小声なのはもし誰か居たとしたらヤバいし、声に出さなくても言いけどやっぱり雰囲気は大切だ、雰囲気は…



さて、どんな作戦を立てようか。


正直ここまで却下されると思わなかった

…説得は長期戦になりそうなので徐々にしていくことにするとして、とりあえず誰にもバレずに抜け出して誰にもバレずに帰ってくるしか出る方法はないはず。

だって絶対共犯になってくれる人は居ない。使用人の方達は父が雇ってる訳だし、しかも何故だかここには過保護な人しか居ない。

まぁあ俺可愛いしな。


……いや、凄くイタイことを言ってるのは分かる、うん。分かるよ!

前世の俺が言ってたらまじでドン引きされてたと思う。
けど今の容姿ならそんな事を言っても、まあ、確かにって賛同されるんじゃないかな?
鏡を見る度に思う。これまじで俺なの?ってなる。



けど髪色だけは好かない。
兄弟、家族誰一人こんなに明るい髪をした人がいないからだ。

…たまに、ほんとにたまに本当の家族ではないんじゃ?って思う時がある。

けどそんな心配は要らないだろう。
母様の綺麗な碧色の目は俺と同じだし、それより顔がそっくりだ。

母様がハーフなら隔世遺伝ってこともあるよなぁ……



違う違う。脱出の方法を考えなきゃ。


抜け出すには深夜しかないんじゃないか…?
だって1日のほとんど美紅さんと居るし、寝る時間のすぐ後だと俺の様子を見に来る人がいる。これは深夜に決行するしかないだろう。

けど俺起きてられるかな?
いや、体調を崩した振りをして夜まで部屋にこもって寝ていよう。
そしたらその時には寝すぎで目が覚めて寝れないだろう。もし万が一眠くなってしまったら好きな本を読んでいよう。
よし。これでいい。


あとは家族だ。運悪く脱出時間に部屋に来てしまうかもしれない。

…確か3ヶ月後に姉様も兄様達も期末テストがあるはずだ

そのテストが終わった日にしよう

1週間も試験があるから多分その1週間は特に頑張って勉強するはず!

母様と父様か……帰って来れない日が多い2人がその日に部屋に来る確率は相当低いと思う多分……多分!


考えたことをノートに書き込む。
5歳の手では字が書きにくい…
少し、いや。相当汚いが自分では何となく分かるのでこれでいい。


どこにしまおうか…

ここでいいや。
机の上に小さい棚があるのだがここにはこの部屋に大量にある絵本や5歳でも読める小説の感想が事細かに書いているノートがある。
その日によって楽しい話悲しい話ハラハラする話など読みたい本が変わるため、このノートを読んで何を読むか考えるのだ。
しかも8冊もある。
けど字が汚すぎてこれが小説の感想だなんて思わないだろう多分ただの落書きか日記だと思われてる。
前世の記憶が無い5歳になりたての頃に始めたやつだ。
テレビもないから暇すぎて大量にある本を読んでたらハマってしまい、ノートに感想までつけてしまった。
だからここに同じ色の脱出大作戦のノートを入れても多分バレない。題名も同じにしておけば、尚バレないだろう。

真ん中位に入れておこう。

これが脱出の作戦ノートだなんて誰も思わないだろう。

よし。おっけー


ふいに時計を見ると20時50分を指していた。



ふぁあ

寝よう…



この作戦が上手くいきますように。


窓から見える星に願った。
























しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

処理中です...