18 / 31
7歳
女神様(大海side)
しおりを挟むあの後すぐに本をくれるかと思ったら、それを終わらせないとくれないらしい。
……別に逃げたりしないのに。
そんなに嫌な顔してたか?
まあ1日頑張ればあの最終巻がよめる……ああ本当に楽しみだ。
「明日か……」
別に行くだけならいいんだ、行くだけなら。金持ちには僕みたいに生意気な子がたまにいる。
裏ではヤバいやつでも表ではしっかりしてる奴がほとんど、だけどたまに人前でも教養のない子がいるのだ。
有栖川家ではそういう子は聞いた事がないけれど、甘やかされてそうな末っ子だとそういうことも有り得る。
……心配だ。
ーーーーーーーーーーーーー
「大海行くぞ」
「はい」
車に乗って有栖川家へと向かう。
どんな家なんだろう…やっぱり大きいんだろうな。
石川の家もそこそこ大きい方だと思うが、多分もっとなんだろう。少し楽しみだ。
「お爺様、ご子息のお名前は……」
「あぁ。『優』という方らしい」
「…優様はどんなお方か知っておられるのですか?」
「いや、1度も会ったことがないから知らないけれど、お父上からとても優しい子だと聞いているよ」
「そうなんですね……」
その後20分程揺られて着いたのは思った以上の豪邸だった。
…本当にここは日本の首都、東京なのか?
疑わしいほど大きいこの邸宅に驚きを隠せない。家で判断はするものではないが、石川家との差を見せつけられた気がした。
「石川直之様、大海様。越しいただき誠にありがとうございます。ここから案内を努めさせていただきます執事の山之内と申します。本日はよろしくお願い致します」
「よろしく頼むよ」
「よろしくお願いします」
ペコッと頭を下げてお爺様に続く。
屋敷へと続く道からは広い庭があって、花が沢山植えられている。洋風庭園が好きな僕はとても楽しい。
家の庭もこんなだったらなぁ……
家にも大きな庭がある、あるのだがここまで凝っていない。色鮮やかと言うより緑が目立つ庭だ。
「とても綺麗な庭園ですね」
「御褒めの言葉誠にありがとうございます。奥様と優様がとても庭園がお好きで、お2人で色々考えて新しく植えたり水を上げたりなされているのです。本当は使用人がやる事なのですが、お2人の楽しそうな姿を見ているととても止められなくていつも困っています………クスッ」
思い出し笑いをしながら嬉しそうに話す山之内さんを見ると慕われているのが分かる。
お爺様も少し驚いた顔をしている。
「失礼致しました、ではこちらからお入りください」
屋敷の中に入ると大きな階段が目につく。僕の家とは全く趣向が違うので面白い。
「ようこそ有栖川家へ」
階段から降りてきたのは有栖川グループ現代表取締役社長、有栖川文哉さんだった。
「文哉様!お久しぶりです!」
「様はやめてくださいと何度言ったら…………そうですね、snsでやり取りをしていたもののなかなか会えなくて残念でした。今回は優の教師を引き受けて下さりありがとうございます」
「いえ、有栖川家から頂いた恩を考えるととても少ないですが精一杯頑張らせていただきます」
……なんでお爺様より年下の文哉様に敬語で、様をつけているんだ…?
有栖川家が凄いのは分かるが石川家もそこそこ大きな会社だと思う。
「大海挨拶しなさい」
「ご挨拶が遅れました、石川大海と申します。よろしくお願い致します」
「君が大海君か、よく話は聞いているよ。今日は優とお話してくれるかい?」
「はい。こんな僕で良ければ」
「それは良かった、では優の部屋に案内しますね」
お爺様達の謎が深まったまま優様の部屋へと向かった。
……病弱と聞いていたが、部屋から出れないくらい体調が悪いのだろうか……?
普通当主が迎えに来ているのに当の本人が来ないなんてあるのか……?
わがままな子供なのだろうか?
部屋の前に着くと山之内さんがノックをしてドアを開ける。
中に入るが、お爺様に隠れてなかなか前が見えない。
「優様、お初にお目にかかります。石川直之と申します。国語を担当させていただきますので、よろしくお願いします。」
お爺様が挨拶をすると元気で可愛い声が部屋に響く。顔が見たい!必死に前へ出ると
そこには『女神』が居た。
女神様だ。
なんて美しいのだろう。僕をじーっと見る碧色の瞳に吸い込まれそうになる。
こんなに美しい人を初めてみた。
今まで沢山の人に出会ったが、こんなにも綺麗な人を見たことがない。迎えにこなかったのも頷ける。部屋から出れないのだろう。僕だったら誰にも見えないところでずっと僕だけの鳥籠にいて欲しい。
……僕は何を考えているんだ。
顔が赤くなっているのが分かるとブンブンと首を横に振る。
女神様は首を傾げるとプラチナブロンドの髪がふわっと揺れて、僕と目が合うとニコッと笑った。
ドクン
……これが一目惚れと言うやつか。
この人、いやこの方の為なら僕はなんにでもなれるかもしれない。
…………人も殺せてしまうかもしれない……。
そうだ。僕はこの方の下僕になろう。望むなら、この世界だって手に入れて見せよう。
女神様。
179
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる