うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨

文字の大きさ
28 / 31
7歳

大切な日1(茜side)

しおりを挟む
「…ハァ、ハァ……ふぅ」
…よし。今日はこれくらいで

息を整えながら崩れたポニーテールを結び直し、今来た道をまた戻る。
毎日日課である朝のランニングは私の楽しみで3年程続いている。


正門側の庭を通り過ぎて屋敷の裏側へと向かうと、一見分かりづらいシンプルな茶色のドアがある。このドアは主に使用人部屋に入るために使うものなのだが、ランニング終わりで早く部屋に向かいたい時はたまにこっちから入るようにしている。私の部屋までには正面から入るよりこっちから入った方が微妙に早いのだ。

早くシャワーしたいし。

けれど、誰にも見つからないように入らないと少し厄介なことになる。この時間はだいたい皆掃除に出て居ないか、私を見逃してくれる優し~い人が居る。

だから1番人に当たらない限り大丈夫なのだ。


そんな事は無いだろう、と少し鼻歌交じりにドアを開けた。


「…おかえり。随分早かったわね~…玄関の方はもう終わったの?」


……

……

……1番まずい人に当たってしまった。

床掃除をしながらこちらを見ずに喋っているのでまだ私だと分かっていないみたいだ。

とりあえずここからどうすれば切り抜けられるか頭を動かすが焦って何も出てこない


「聞いてる…?……ってお嬢様?!」

「あ、アリサ…なんで……てかなんでこの時間に…」

「それはこちらのセリフです!今日は月1回の使用人部屋の大掃除の日なのです!それはいいとして、なぜこちらから?!また使用人専用のドアからお入りなったのですか?!」
ものすごい剣幕で私の方に向かってくる

「だって」

「だってではありません!いつも言っているでしょう!正面玄関から入って下さいと!このドアは使用人部屋に直通しています。ここから入られると朝は少し物が多くてゴチャゴチャしているから危ないと何度も申しましたよね?!」

「はい!ごめんなさい…」

母親のように叱るこの人は私の専属のメイド田宮アリサ(20)。
私が初等部の頃から一緒の3つ上の言わばお姉さんのような人だ。とても信頼していて取り繕っていない素を見せられる数少ない人だ。

「……はぁ……ランニング行ってこられたのですね?湯浴みされますならお嬢様の浴室に後で準備しておきますので先に湯船にお入りください。」

「うん。ありがと」

「次またこのような事がありましたら旦那様と様に報告させていただきます!」

「ゆ、優にも?!それだけは……」

「嫌なのでしたらお辞め下さい!」

「……分かった……」
アリサの前だと強くでれない。



バラの香りのする湯船に浸かりながら体を解していると不意にさっきの自分を思い出す。
「…やっぱり私って家族とアリサには弱いんだよなぁ………」

………優なんかにはもっと弱いかもしれない…

なんだか恥ずかしくなりお風呂に沈む


 


ーーーーーーーーーー



「お嬢様は何時頃お帰りになられるでしょうか?」
「いつもと同じ時間よ。今日も生徒会は朝だし」

副会長をしている生徒会は普段週に1度しか集まらないのだが今の時期は毎年恒例の
初等部.中等部.高等部合同の展示会が10月に行われ、その準備を高等部の生徒会が仕切ることが決まっている。

放課後ではなく朝に集まるのは謎だがまぁあまぁあ楽しく大変に準備を始めている。


髪を乾かして昨日のうちに済ませておいた学校の用意を持ち、軽い朝食を食べ玄関へと向かう。


「お嬢様。が玄関ですからね?」

「分かってる!」

「へぇ~お分かりになっておられるのですね??」
ドヤ顔をしながら私を見るアリサ
…何も言い返せないのが悔しい…


「おねーさまー!」
声の高い可愛い声が玄関に響く
「優!送りに来てくれたの?」

「はい!さいきん姉様と朝ごはんの時会えてないので…」

寂しそうな目で私を見つめるこの天使は本当に私の弟なのだろうか?

「ごめんね。最近学校で朝集まらないといけないことが多くてどうしても朝食に間に合わないの。」

ふわふわな髪を撫でると優が嬉しそうに笑う。

「そうなんですね…分かりました!姉様頑張ってください!」

「うん。だいすき~」
抱きついてきた優にぎゅうと抱きつき返すと、またぎゅうと抱きついてくれて可愛くて可愛くて行きたくなくなってしまう

優の前ではかっこいいお姉様でいようと決めているのにだんだんと崩れていっているのは気のせいだろうか?

そんなことをしているとアリサにまた怒られて仕方なく学校に向かった。





ーーーーーーーーーーーーーー



「拓翔。緊急事態だわ。」

「なにが」
はぁ。とため息をつき鬱陶しそうに私を見るこの男は私の幼なじみの浅田 拓翔 あさだ たくと。生徒会長をしている。

拓翔はすごく顔が良い。センター分けをしている黒い髪に綺麗な二重。自然な高い鼻と薄い唇。1度は振り向かれるビジュアルだ。
生徒会室に他の人より少し早く来ている私と拓翔は未整理の書類を確認しながら待っている。

「優が可愛すぎてつらいわ。だから仕事できない。」
両手に持った書類を机に置いて姿勢を崩す。

「お前この姿ファンのヤツらに見られたら幻滅されんぞ」

「なんで?」

「そりゃ外面のいいとは全く違うわけだし?」

「そんなの拓翔だって同じじゃない!拓翔ファンクラブがあるって聞いたわよ?その子達にこんな拓翔の姿見せれるわけ??」

「まぁあお互い様ってやつだな。て言うかお前は例の優くんに毎日こんな感じなんだろ?」

拓翔は実は優には会ったことがない。
幼なじみと言っても家族同士で接点があるという訳ではなく幼稚部から同じなだけだ。


「嫌われないよね?」

「知らん」

「ちょっと真剣に考えてよ」
興味無さそうにまた書類に目を向けた拓翔はもう聞く気もないらしい。

コンコン
ノック音が聞こえると直ぐに崩した体制を整えティーカップを片手に持つ。

「どうぞ」

「おはようございます。茜様、拓翔様」

「おはよう、美琴みことちゃん。早いわね」

「おはよう」

「は、はい!!おはようございます!!朝からお二人のお顔を見ることが出来て、美琴幸せです!」

「フフッいつも見てるじゃない。飽きないの?」

「あ、飽きるわけないです!皆様の憧れのお二人なのですから!」
頬を赤らめながら話すこの子は井上 美琴いのうえ みことちゃん。1つ年下でとても可愛らしい女の子。
生徒会では書記を担当している。

「井上さん立ってないで座って?僕がお茶用意したから良かったら飲んでね」
ニコッと王子スマイルを美琴ちゃんに見せる拓翔

私の前では毒舌な拓翔は外ではとても王子様で、これがの拓翔を作っている仮面であり内を補っているものでもある。何でも無くなった今もこの癖は取れないし取るつもりもないらしい。


「さて、もう少し待ちましょうか」

美琴ちゃん達とお茶をしてほかのメンバーを待っていると5分程で来たので会議を始めた。
ずっとみんなで悩んでいた事もやっと解決し、今日はまとまり良く締めることが出来た。

ーーーーーーーーーーーーー

「じゃあ拓翔最後鍵よろしく」

「あ、これやる」

「なによ」
ん。と右手を前に出す拓翔の手を見ると可愛くラッピングされている物があった。

「?なにこれ」

「お前今日誕生日だろ」

「え?」
今日……は5月何日だっけか…

「今日5月22日。お前の誕生日」

「え?」

















しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

処理中です...