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サラリと髪を梳かれた感覚にフッと意識が夢から現実へ引き戻されたアリアナは、その優しい手つきに安堵を覚えて「お母様…」と思わず呟いた。
「フフ、可愛い。でも残念、私は母じゃないわ」
その言葉にアリアナはハッと目を開けて手の主を見ると、そこには微笑むロゼがベッドに腰かけてアリアナの髪を撫でていた。
「おはよう、アリアナ。よく眠っていたわね。気分はどう?」
覚醒したことで入れ墨が入っている所がじわじわと痛み始め、起き上がるときに布がすれて思わず顔をしかめた。
「気分は特に悪くないです。けど…」
「やっぱり痛むわよね。痛み止めを作ってもらったから、我慢できないようなら飲む?」
薬包紙に包まれた薬と水をすでに用意されているのを見て、アリアナはその優しさを身に染みて感じ、礼を言って薬をもらうとそれを飲んだ。
「ウッ…苦い…」
「上手に飲めたわね。デュオの作った薬はよく効くから、少ししたら痛みも引いてくると思うわ。さ、そろそろ料理が出来るから宴の準備をしましょう」
ロゼはそう言うと、タンスを開けて次々と扇情的な服を取り出し始めた。アリアナはベッドから降りながらその露出の多い服を見てロゼが着たら素敵だろうなと思いながら手に取って見ていた。
「あら、アリアナはそういう服が好きなの? 大人しいイメージだったから意外ね」
「えっ! いえ、違います! これ、ロゼさんが着たら素敵だろうなって思って見ていただけです。そもそも私にはこんな大人っぽい服は似合いませんし」
「そんな事ないわよ。アリアナはそうね…こういうタイプの服が似合うんじゃないかしら?」
ロゼはそう言うと肩が大きく出る、深いスリットの入ったマーメイドラインのドレスを取り出してアリアナの体の前に当てた。
「うん、いいんじゃないかしら。ちょっと着てみてくれる?」
アリアナは言われるままにドレスを受け取ると、どこで着替えようかキョロキョロと辺りを見回した。
「んもう、早く着替えてみて? それとも私に脱がせてほしいの?」
「ち、違います!」
「心配しなくても、ここには女しかいないんだから恥ずかしがることはないわよ」
ロゼはにやにやと笑いながら椅子に座ってアリアナの反応を楽しむように眺めており、アリアナは困りつつもドレスを一度ベッドに置いてから服を脱ぎ始めた。羞恥心からじれったいくらいゆっくりと脱ぐアリアナに、ロゼはこれはこれでそそられると感想を抱きながらショーツ一枚になるまで眺めていた。
「うぅ…そんなにマジマジと見ないでください……。ロゼさんと違ってスタイル良くないんですから」
「フフ、私のスタイルがいいのは当り前よ。この体で男を誘惑するんだから。でも、アリアナだってそんなに悪くないわよ。胸は大きく、肌は白くてすべすべ、私と違ってとても柔らかそうね」
「褒めてないですよね~!」
涙目になりながら抗議するアリアナに、ロゼは声を出して笑いながら「褒めてるわよ」と言葉を返して椅子から立ち上がると、ベッドに置かれたマーメイドラインのドレスを持ってアリアナに差し出した。
「さ、風邪をひいちゃうわ。ドレスを着ましょう」
アリアナは涙目のままドレスを受け取ると、ロゼに手伝ってもらいながらドレスに着替えた。そして姿見に映るドレス姿の自分を見て、気恥ずかしさを覚えつつもその表情は嬉しそうに笑っていた。
「うんうん、やっぱり似合っているわね。でも、やっぱり私のサイズじゃちょっと窮屈そうね。次の港でドレスを見繕ってあげるわ。さ、次はヘアメイクよ」
ロゼはそう言うとドレッサーの前に座らせて戸惑うアリアナにテキパキとメイクを施していき、あっという間に大人っぽく変身したアリアナが完成した。
「わぁあ…! 私じゃないみたい!」
「フフ、私の手にかかればこんなものよ」
喜ぶアリアナに満足げな表情でそう言うと、自分もドレスに着替えて慣れた手つきで自分もメイクアップした。
「さ、甲板へ行くわよ。もうそろそろ料理もすべて出揃う頃だわ」
「はい、ロゼさん」
差し出された手に自分の手をのせて笑顔でロゼとともに宴の会場へと向かったのだった。
「フフ、可愛い。でも残念、私は母じゃないわ」
その言葉にアリアナはハッと目を開けて手の主を見ると、そこには微笑むロゼがベッドに腰かけてアリアナの髪を撫でていた。
「おはよう、アリアナ。よく眠っていたわね。気分はどう?」
覚醒したことで入れ墨が入っている所がじわじわと痛み始め、起き上がるときに布がすれて思わず顔をしかめた。
「気分は特に悪くないです。けど…」
「やっぱり痛むわよね。痛み止めを作ってもらったから、我慢できないようなら飲む?」
薬包紙に包まれた薬と水をすでに用意されているのを見て、アリアナはその優しさを身に染みて感じ、礼を言って薬をもらうとそれを飲んだ。
「ウッ…苦い…」
「上手に飲めたわね。デュオの作った薬はよく効くから、少ししたら痛みも引いてくると思うわ。さ、そろそろ料理が出来るから宴の準備をしましょう」
ロゼはそう言うと、タンスを開けて次々と扇情的な服を取り出し始めた。アリアナはベッドから降りながらその露出の多い服を見てロゼが着たら素敵だろうなと思いながら手に取って見ていた。
「あら、アリアナはそういう服が好きなの? 大人しいイメージだったから意外ね」
「えっ! いえ、違います! これ、ロゼさんが着たら素敵だろうなって思って見ていただけです。そもそも私にはこんな大人っぽい服は似合いませんし」
「そんな事ないわよ。アリアナはそうね…こういうタイプの服が似合うんじゃないかしら?」
ロゼはそう言うと肩が大きく出る、深いスリットの入ったマーメイドラインのドレスを取り出してアリアナの体の前に当てた。
「うん、いいんじゃないかしら。ちょっと着てみてくれる?」
アリアナは言われるままにドレスを受け取ると、どこで着替えようかキョロキョロと辺りを見回した。
「んもう、早く着替えてみて? それとも私に脱がせてほしいの?」
「ち、違います!」
「心配しなくても、ここには女しかいないんだから恥ずかしがることはないわよ」
ロゼはにやにやと笑いながら椅子に座ってアリアナの反応を楽しむように眺めており、アリアナは困りつつもドレスを一度ベッドに置いてから服を脱ぎ始めた。羞恥心からじれったいくらいゆっくりと脱ぐアリアナに、ロゼはこれはこれでそそられると感想を抱きながらショーツ一枚になるまで眺めていた。
「うぅ…そんなにマジマジと見ないでください……。ロゼさんと違ってスタイル良くないんですから」
「フフ、私のスタイルがいいのは当り前よ。この体で男を誘惑するんだから。でも、アリアナだってそんなに悪くないわよ。胸は大きく、肌は白くてすべすべ、私と違ってとても柔らかそうね」
「褒めてないですよね~!」
涙目になりながら抗議するアリアナに、ロゼは声を出して笑いながら「褒めてるわよ」と言葉を返して椅子から立ち上がると、ベッドに置かれたマーメイドラインのドレスを持ってアリアナに差し出した。
「さ、風邪をひいちゃうわ。ドレスを着ましょう」
アリアナは涙目のままドレスを受け取ると、ロゼに手伝ってもらいながらドレスに着替えた。そして姿見に映るドレス姿の自分を見て、気恥ずかしさを覚えつつもその表情は嬉しそうに笑っていた。
「うんうん、やっぱり似合っているわね。でも、やっぱり私のサイズじゃちょっと窮屈そうね。次の港でドレスを見繕ってあげるわ。さ、次はヘアメイクよ」
ロゼはそう言うとドレッサーの前に座らせて戸惑うアリアナにテキパキとメイクを施していき、あっという間に大人っぽく変身したアリアナが完成した。
「わぁあ…! 私じゃないみたい!」
「フフ、私の手にかかればこんなものよ」
喜ぶアリアナに満足げな表情でそう言うと、自分もドレスに着替えて慣れた手つきで自分もメイクアップした。
「さ、甲板へ行くわよ。もうそろそろ料理もすべて出揃う頃だわ」
「はい、ロゼさん」
差し出された手に自分の手をのせて笑顔でロゼとともに宴の会場へと向かったのだった。
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