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アリアナが二人を受け止めたところでロゼがようやく椅子から立ち上がり、ベッドに近づくと、ネオとデュオはアリアナから離れてベッドから降りるとロゼに頭を下げた。ロゼはそんな二人に「もう服を着ていいわ」と指示をしてからベッドに上がり、綺麗な顔をアリアナに近付けて両手でアリアナの頬を包み込んだ。
「アリアナ、よく頑張ったわね。これで、あなたは誰のものか、誰の仲間か理解できたかしら?」
「…はい」
「アリアナ、あなたは私の宝。そして、私達アルタイル海賊団の仲間よ。私達は海賊なのだから、間違っても海軍を頼ろうなんて思わないで。海軍なんて、自分たちの利益を守るためなら仲間すら見捨てるようなクズの集まりなんだから」
アリアナの頭を撫でながら、憎しみすらこもる声でそう言うロゼに、アリアナは安心が欲しいとおずおず腕を伸ばしてロゼに抱き着いた。
「…ロゼさんは、私を…見捨てない?」
「愚問ね。当り前じゃない。宝を捨てる海賊がどこにいるのよ」
抱き着くアリアナを優しく抱きしめ返し、子供をあやすように穏やかな声で囁きかける。
「死なない?」
「千の兵がいようと死ぬつもりはないわ。だから、安心して私に付いてきなさい」
ロゼの答えにアリアナは安心したのか、ようやく安心したようにその顔に笑みが戻って「良かった…」と安堵した声で呟いた。
すると、バタバタと廊下から騒がしい足音が聞こえてきてアリアナの部屋の前で止まると、ノックもせずにバンッとドアが開けられた。
「アリアナちゃーん! いつまで着替えに時間を取ってるのさ! 料理が冷めちゃうよ…って、ロゼちゃんにネオとデュオ⁉ みんなしてアリアナちゃんを襲ってたの⁉ ズルい! 俺もアリアナちゃんとエッチしたかった!」
「騒がしいですね。今日はもうお終いですよ。アリアナとエッチがしたければ明後日以降にしなさい。だいぶ無理をさせてしまいましたから」
すでに髪までしっかりと整え終わっているデュオが言いながら部屋を出ていくと、ロゼもアリアナに布団を掛けながら「そうね」と微笑む。
「ティオン、悪いけどアリアナはこの通り動けないから、料理を持ってきてくれる?」
「え~。あ、じゃあ俺が餌付けしていい? それなら持ってくる」
「それ以上の事はしないと約束しなさい」
「もちろん。勝手に抱いたらロゼちゃんから折檻されそうだし」
カラカラと笑いながらそう言った後、アリアナと一緒にベッドに横たわるロゼの前に来て跪くと「約束します」とロゼの指に触れるだけのキスを落とした。
「約束を違わないでね。さて、じゃあ私はアリアナをお風呂に連れて行くからその後に朝食をもらうわね」
「了~解。じゃあ、ロゼちゃんの分とアリアナちゃんの分はちゃんと取り分けておくね~」
立ち上がり、笑顔で手を振ってティオンが出ていくと、ネオも「さてと」と言ってロゼを見た。
「俺、先に朝飯食べてくるわ。風呂はその後にする。アリアナの事は任せた」
「分かったわ」
ネオはロゼの頬にチュッと軽いキスをしてから、疲れ果てているアリアナの頭をサラリと撫でて部屋を出て行った。
「あ、アリアナ。念のため言っておくけど、ネオに惚れたらダメだからね?」
「ふふ…分かってます。でも、ロゼさんがネオさんを一番愛している理由は何となく分かりました」
アリアナをぐちゃぐちゃになったシーツに包みながら改めて念を押すロゼに、アリアナはロゼを何となく可愛らしいと思い、自然と笑みがこぼれた。
「そう? ま、ネオは色男だし優しいし、何より愛情深いからアリアナがその魅力に気付くのは当たり前ね」
誇らしそうに、そして何よりも嬉しそうに無邪気に笑うロゼに、アリアナはこんな表情もするのかとロゼの魅力にどんどんと引き込まれていくのを感じた。そして同時に、この船に乗る全員がロゼの魅力に心酔し、慕っているのだと理解した。
「…ロゼさん、可愛いです」
無意識に口をついて出た言葉に、ロゼだけでなくアリアナ自身も驚き、ハッとして慌てて弁解しようとしたが、それよりも前にロゼがはにかみながら春風に吹かれたような喜びと柔らかさに満ちた笑顔でアリアナを抱きしめた。
「アリアナからそんな言葉をもらえるとは思ってなかったわ。ありがとう、嬉しいわ」
予想外の反応にアリアナはあわあわしつつも、ロゼから与えられるぬくもりに安堵してアリアナもロゼに抱き着いたのだった。
「アリアナ、よく頑張ったわね。これで、あなたは誰のものか、誰の仲間か理解できたかしら?」
「…はい」
「アリアナ、あなたは私の宝。そして、私達アルタイル海賊団の仲間よ。私達は海賊なのだから、間違っても海軍を頼ろうなんて思わないで。海軍なんて、自分たちの利益を守るためなら仲間すら見捨てるようなクズの集まりなんだから」
アリアナの頭を撫でながら、憎しみすらこもる声でそう言うロゼに、アリアナは安心が欲しいとおずおず腕を伸ばしてロゼに抱き着いた。
「…ロゼさんは、私を…見捨てない?」
「愚問ね。当り前じゃない。宝を捨てる海賊がどこにいるのよ」
抱き着くアリアナを優しく抱きしめ返し、子供をあやすように穏やかな声で囁きかける。
「死なない?」
「千の兵がいようと死ぬつもりはないわ。だから、安心して私に付いてきなさい」
ロゼの答えにアリアナは安心したのか、ようやく安心したようにその顔に笑みが戻って「良かった…」と安堵した声で呟いた。
すると、バタバタと廊下から騒がしい足音が聞こえてきてアリアナの部屋の前で止まると、ノックもせずにバンッとドアが開けられた。
「アリアナちゃーん! いつまで着替えに時間を取ってるのさ! 料理が冷めちゃうよ…って、ロゼちゃんにネオとデュオ⁉ みんなしてアリアナちゃんを襲ってたの⁉ ズルい! 俺もアリアナちゃんとエッチしたかった!」
「騒がしいですね。今日はもうお終いですよ。アリアナとエッチがしたければ明後日以降にしなさい。だいぶ無理をさせてしまいましたから」
すでに髪までしっかりと整え終わっているデュオが言いながら部屋を出ていくと、ロゼもアリアナに布団を掛けながら「そうね」と微笑む。
「ティオン、悪いけどアリアナはこの通り動けないから、料理を持ってきてくれる?」
「え~。あ、じゃあ俺が餌付けしていい? それなら持ってくる」
「それ以上の事はしないと約束しなさい」
「もちろん。勝手に抱いたらロゼちゃんから折檻されそうだし」
カラカラと笑いながらそう言った後、アリアナと一緒にベッドに横たわるロゼの前に来て跪くと「約束します」とロゼの指に触れるだけのキスを落とした。
「約束を違わないでね。さて、じゃあ私はアリアナをお風呂に連れて行くからその後に朝食をもらうわね」
「了~解。じゃあ、ロゼちゃんの分とアリアナちゃんの分はちゃんと取り分けておくね~」
立ち上がり、笑顔で手を振ってティオンが出ていくと、ネオも「さてと」と言ってロゼを見た。
「俺、先に朝飯食べてくるわ。風呂はその後にする。アリアナの事は任せた」
「分かったわ」
ネオはロゼの頬にチュッと軽いキスをしてから、疲れ果てているアリアナの頭をサラリと撫でて部屋を出て行った。
「あ、アリアナ。念のため言っておくけど、ネオに惚れたらダメだからね?」
「ふふ…分かってます。でも、ロゼさんがネオさんを一番愛している理由は何となく分かりました」
アリアナをぐちゃぐちゃになったシーツに包みながら改めて念を押すロゼに、アリアナはロゼを何となく可愛らしいと思い、自然と笑みがこぼれた。
「そう? ま、ネオは色男だし優しいし、何より愛情深いからアリアナがその魅力に気付くのは当たり前ね」
誇らしそうに、そして何よりも嬉しそうに無邪気に笑うロゼに、アリアナはこんな表情もするのかとロゼの魅力にどんどんと引き込まれていくのを感じた。そして同時に、この船に乗る全員がロゼの魅力に心酔し、慕っているのだと理解した。
「…ロゼさん、可愛いです」
無意識に口をついて出た言葉に、ロゼだけでなくアリアナ自身も驚き、ハッとして慌てて弁解しようとしたが、それよりも前にロゼがはにかみながら春風に吹かれたような喜びと柔らかさに満ちた笑顔でアリアナを抱きしめた。
「アリアナからそんな言葉をもらえるとは思ってなかったわ。ありがとう、嬉しいわ」
予想外の反応にアリアナはあわあわしつつも、ロゼから与えられるぬくもりに安堵してアリアナもロゼに抱き着いたのだった。
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