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翌朝、ナティアがどのような結論を出すのか気になりすぎてよく寝付けなかったアリアナは、朝一番に再び拷問部屋を訪れた。
おずおずと鍵を開けて中に入ると、相変わらず強い血の臭いがアリアナを迎えて吐き気に悩まされる。しかし昨日同様、吐くことは堪えて吊るされているナティアの所まで行くと小さな声で「おはようございます」と声をかけた。
「……ん、あぁ、朝か…」
「はい。昨日の答えが気になって、来ました」
「……あぁ、お前の下僕になるかどうかの話か」
まどろみの中にいるのか、はたまた意識を保つことで精いっぱいなのか、目の焦点が合わないまま呟くと、しばらく沈黙してから大きく呼吸をして再び言葉を紡ぎ始めた。
「……ウトウトとしている中で、夢を見た。昔の夢だ。……その夢は、幸せな子供の頃の夢だった。可愛く愛しい弟妹は俺の大切な宝……。弟妹を守るために、約束をした……。だから…弟妹のために生きよう。俺はここで死ぬわけにいかない。海賊王ロゼをこの手で捕えるため、今はどんな屈辱にも耐えてやろう。だから、今だけはお前の…いや、アリアナ嬢のしもべになりましょう」
口調こそ丁寧だが、衰弱している中でも虎視眈々とロゼの首を狙う事を隠さないナティアに対し、アリアナは意外とあっさり承諾したナティアに拍子抜けしてポカンと口を開けたままナティアを見つめた。しかしじわじわとナティアの命を救うことが出来た事を実感し、嬉しさに思わず表情が緩むと喜びのまま「やったー!」と両手を上げて飛び跳ね、走ってロゼの部屋へ直行した。
「ロゼさん!」
ノックも忘れてロゼの部屋のドアを開けると、デュオと抱き合って眠っていたロゼが駄々洩れの色気と情事後の甘い空気をそのままに、のっそりと上半身だけを起こして「何?」と不機嫌そうな声で返した。その色気に当てられたアリアナは一気に勢いを失い、うろたえて口ごもった。
「あっ、えっと…ごめんなさい。その…あとでにします」
「いいわよ。そんな嬉しそうな顔をして、何を私に伝えたかったの?」
「私も気になりますね。良い知らせなのでしょう? 私にも聞かせてください」
ベッドサイドに置いてある眼鏡を掛け、暴力的な色気を振りまきながらアリアナを見るデュオの姿はアリアナの心臓に悪く、何もされていないにもかかわらず赤面してしまう。それを見てデュオが面白そうに「可愛い人ですね」と笑った。
「うぅ…その……ナティアさんが私の下僕になってくれると言ってくれたんです。だから、嬉しくて…思わずロゼさんの所に来ちゃいました」
「まあ、あのナティアが? 案外あっさりと屈服したわね。……ふふふっ、あははははっ! あぁ、気分がいいわ。海軍将校が海賊に屈服する。あいつの名誉も地位も、何もかも奪えた。あぁ、本当によくやってくれたわ、アリアナ。ありがとう」
衣服を身にまとわないまま心から嬉しそうに笑ってアリアナのもとへ行き、優しく抱き締めるロゼに、アリアナは目の前にあるロゼの柔らかい胸にあわあわしながらも、アリアナもおずおずとロゼを抱き締め返した。
「ふふ、こんなに嬉しそうなロゼは久し振りに見ました。ぜひ私も仲間に入れてください」
デュオも嬉しそうなロゼを見て自分の事のように喜びながら、一応腰にタオルを巻いた姿でロゼとアリアナを一緒に抱き締めた。
「何よデュオ。嫉妬?」
「いいえ、ロゼの嬉しそうな顔を見られて私も嬉しいだけですよ。でも、今は私との時間ですからね。ほったらかしにされたら私も悲しいです」
「そうね、デュオとの時間はまだ終わってないものね。アリアナ、ごめんね。ナティアは私が行くまであのままにしておいて。欺く言葉だった場合、アリアナが危険だから私があいつの拘束を解くわ。さ、良い子は二度寝の時間よ。部屋に戻ってもうひと眠りしなさい」
「おやすみのキスは必要ですか?」
「い、いえ! いらないです!」
デュオの言葉にアリアナはロゼから離れたあとブンブンと首を振りながら遠慮すると、デュオは面白そうに笑いながら「残念」と言ってロゼの腰を抱いてベッドの方へ促した。それを見たアリアナはすぐに「お邪魔しました!」と言ってロゼの部屋を出て行き、言いつけ通りに自分の部屋へ戻ってゆっくりと忍び寄る睡魔にまどろみながら身をゆだねたのだった。
二度寝から起きた時、太陽はすでに高く昇っていた。その事に気付いたアリアナは、慌てて身なりを整えて走って食堂へ行くと食堂のドアを開けた。しかし食堂には誰もおらず、アリアナがいつも座る席に【アリアナちゃんの分だよ】とメモ書きがあり、パンと簡単なおかずが用意されていた。その気遣いと優しさを嬉しく思いながら食事をし、とりあえず誰かが居るはずの甲板へ向かった。
甲板にはジャンとティタがおり、その珍しい組み合わせに少し驚きながらアリアナが二人に近づくと、二人はすぐにアリアナに気付いて笑顔を向けた。
「おう、おはよう。お寝坊さん」
「おはよう。朝ごはん、分かった?」
「おはようございます。寝坊してすみませんでした。朝ごはんありがとうございます。今日のご飯も美味しかったです」
「良かった。ティオンも喜ぶよ」
アリアナの感想を聞いたティタは嬉しそうに笑いながらそう言うと、それを隣で聞いていたジャンが続いてアリアナに言葉を掛けた。
「アリアナが飯を食べている時の顔は本当に幸せそうだもんな。見ている俺も幸せになる。っと、そうそう。ロゼからアリアナを見かけたら言うよう言われてたんだった。今日のアリアナの仕事は、繋がれている海兵野郎の世話だと。ロゼがあの部屋で待ってるってよ」
「ロゼさんが待っててくれているんですか? じゃあ早く行かなきゃ! ジャンさん、ありがとうございます!」
ジャンの言葉を聞いてアリアナはすぐに拷問部屋の方へ体を向け、走りながら振り返ってジャンに礼を言うアリアナに、ジャンは笑いながら「転ぶなよ」と声をかけてアリアナを見送った。
おずおずと鍵を開けて中に入ると、相変わらず強い血の臭いがアリアナを迎えて吐き気に悩まされる。しかし昨日同様、吐くことは堪えて吊るされているナティアの所まで行くと小さな声で「おはようございます」と声をかけた。
「……ん、あぁ、朝か…」
「はい。昨日の答えが気になって、来ました」
「……あぁ、お前の下僕になるかどうかの話か」
まどろみの中にいるのか、はたまた意識を保つことで精いっぱいなのか、目の焦点が合わないまま呟くと、しばらく沈黙してから大きく呼吸をして再び言葉を紡ぎ始めた。
「……ウトウトとしている中で、夢を見た。昔の夢だ。……その夢は、幸せな子供の頃の夢だった。可愛く愛しい弟妹は俺の大切な宝……。弟妹を守るために、約束をした……。だから…弟妹のために生きよう。俺はここで死ぬわけにいかない。海賊王ロゼをこの手で捕えるため、今はどんな屈辱にも耐えてやろう。だから、今だけはお前の…いや、アリアナ嬢のしもべになりましょう」
口調こそ丁寧だが、衰弱している中でも虎視眈々とロゼの首を狙う事を隠さないナティアに対し、アリアナは意外とあっさり承諾したナティアに拍子抜けしてポカンと口を開けたままナティアを見つめた。しかしじわじわとナティアの命を救うことが出来た事を実感し、嬉しさに思わず表情が緩むと喜びのまま「やったー!」と両手を上げて飛び跳ね、走ってロゼの部屋へ直行した。
「ロゼさん!」
ノックも忘れてロゼの部屋のドアを開けると、デュオと抱き合って眠っていたロゼが駄々洩れの色気と情事後の甘い空気をそのままに、のっそりと上半身だけを起こして「何?」と不機嫌そうな声で返した。その色気に当てられたアリアナは一気に勢いを失い、うろたえて口ごもった。
「あっ、えっと…ごめんなさい。その…あとでにします」
「いいわよ。そんな嬉しそうな顔をして、何を私に伝えたかったの?」
「私も気になりますね。良い知らせなのでしょう? 私にも聞かせてください」
ベッドサイドに置いてある眼鏡を掛け、暴力的な色気を振りまきながらアリアナを見るデュオの姿はアリアナの心臓に悪く、何もされていないにもかかわらず赤面してしまう。それを見てデュオが面白そうに「可愛い人ですね」と笑った。
「うぅ…その……ナティアさんが私の下僕になってくれると言ってくれたんです。だから、嬉しくて…思わずロゼさんの所に来ちゃいました」
「まあ、あのナティアが? 案外あっさりと屈服したわね。……ふふふっ、あははははっ! あぁ、気分がいいわ。海軍将校が海賊に屈服する。あいつの名誉も地位も、何もかも奪えた。あぁ、本当によくやってくれたわ、アリアナ。ありがとう」
衣服を身にまとわないまま心から嬉しそうに笑ってアリアナのもとへ行き、優しく抱き締めるロゼに、アリアナは目の前にあるロゼの柔らかい胸にあわあわしながらも、アリアナもおずおずとロゼを抱き締め返した。
「ふふ、こんなに嬉しそうなロゼは久し振りに見ました。ぜひ私も仲間に入れてください」
デュオも嬉しそうなロゼを見て自分の事のように喜びながら、一応腰にタオルを巻いた姿でロゼとアリアナを一緒に抱き締めた。
「何よデュオ。嫉妬?」
「いいえ、ロゼの嬉しそうな顔を見られて私も嬉しいだけですよ。でも、今は私との時間ですからね。ほったらかしにされたら私も悲しいです」
「そうね、デュオとの時間はまだ終わってないものね。アリアナ、ごめんね。ナティアは私が行くまであのままにしておいて。欺く言葉だった場合、アリアナが危険だから私があいつの拘束を解くわ。さ、良い子は二度寝の時間よ。部屋に戻ってもうひと眠りしなさい」
「おやすみのキスは必要ですか?」
「い、いえ! いらないです!」
デュオの言葉にアリアナはロゼから離れたあとブンブンと首を振りながら遠慮すると、デュオは面白そうに笑いながら「残念」と言ってロゼの腰を抱いてベッドの方へ促した。それを見たアリアナはすぐに「お邪魔しました!」と言ってロゼの部屋を出て行き、言いつけ通りに自分の部屋へ戻ってゆっくりと忍び寄る睡魔にまどろみながら身をゆだねたのだった。
二度寝から起きた時、太陽はすでに高く昇っていた。その事に気付いたアリアナは、慌てて身なりを整えて走って食堂へ行くと食堂のドアを開けた。しかし食堂には誰もおらず、アリアナがいつも座る席に【アリアナちゃんの分だよ】とメモ書きがあり、パンと簡単なおかずが用意されていた。その気遣いと優しさを嬉しく思いながら食事をし、とりあえず誰かが居るはずの甲板へ向かった。
甲板にはジャンとティタがおり、その珍しい組み合わせに少し驚きながらアリアナが二人に近づくと、二人はすぐにアリアナに気付いて笑顔を向けた。
「おう、おはよう。お寝坊さん」
「おはよう。朝ごはん、分かった?」
「おはようございます。寝坊してすみませんでした。朝ごはんありがとうございます。今日のご飯も美味しかったです」
「良かった。ティオンも喜ぶよ」
アリアナの感想を聞いたティタは嬉しそうに笑いながらそう言うと、それを隣で聞いていたジャンが続いてアリアナに言葉を掛けた。
「アリアナが飯を食べている時の顔は本当に幸せそうだもんな。見ている俺も幸せになる。っと、そうそう。ロゼからアリアナを見かけたら言うよう言われてたんだった。今日のアリアナの仕事は、繋がれている海兵野郎の世話だと。ロゼがあの部屋で待ってるってよ」
「ロゼさんが待っててくれているんですか? じゃあ早く行かなきゃ! ジャンさん、ありがとうございます!」
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