現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

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第1章 本章

第25話 ギルドからの依頼・後編

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 王都を出発してから、陽も落ち始めた頃、私たちは山頂を超え、山を下りて行く。道中の山道さんどうでは、魔物と遭遇することもなく、町までの道のりは順調だった。

 雑木林を超え、近づくにつれ、次第に周りは暗くなるが、町の面影が見えてきた。

 スタークが一言、息をつく。

「ふう。何とか無事に到着してきたな」

 リンも緊張の糸が切れたようだ。

「そうね…。町は無事のようだけど…。中に入ってみましょう」

 町の入り口へ到着すると門番らしき人影が2人、たたずんでいた。こちらに気づき、声をかけてくる。

「そこで止まれ! 何者だ!」

 私たちは馬から降り、リンが門番にギルドカードを掲示し、身分を証明する。

「私はリン。あなたの町からの救援要請に応じ、第一陣としてこの町へ派遣されてきた冒険者です。彼らは、私の仲間の冒険者よ」

 門番が近づいて来てギルドカードを拝見する。

「……。本物だ。失礼しました。魔物の襲撃が一度あってね。ピリピリしていたんだ」

「襲撃があったんですか?」

「ああ。撃退する事は出来たが、また来るかもしれないから、こうして警戒しているのさ。詳しい話は、町長に聞いてくれ」

「分かったわ。じゃあ、中に入らせてもらうわね」

 私たちは町の入り口を通り抜け、町の中まで馬を連れて入っていく。
 町の中は、まだ安全を保てているようだ。しかし、町の人の顔に若干不安を感じる。

 私たちの存在に気づいた者は“助けが来たのかもしれない”と、期待を寄せた表情でこちらの様子を伺っている。

 町の中心。役場に到着し、すぐそばに馬をつないでおき、私たちは建物の中へ移動する。入口近くの受付に事情を説明し、町長がいる所まで案内された。

「初めまして。私が町長です」

 なんか不穏ふおんな言葉だったのは気のせいだよな? 気のせいだな。

 町長の話を聞くと、始まりは、近くの森へ猟に出かけていた町の狩人からだと言う。

 森で猟をしていた狩人は、ゴブリンの群れの存在に気づいたらしく、すぐさま町まで戻って来て報告。そして町には警備態勢が敷かれ、警戒していた所に丁度襲撃が重なったそうな。町の入り口を強固に構えていたこともあり、ゴブリンの襲撃は撃退する事ができたと言っていた。

 しかし、あくまで撃退。倒しきることは出来ず、ゴブリンたちは去って行った。
 そののちに狩人の話を聞くと、『最初に見た数より、町まで襲撃してきた数は少なかった』と言っていたので、町長は警戒態勢を継続し、王都の冒険者ギルドに連絡用の伝書バトを飛ばした。

 …という流れだそうな。

 町長は不安をこぼす。

「正直、私たちもまだ不安なのです。今の所、確実な証言は狩人のいう事だけなので、これで終わりだと良いんですが……」

 それについてスタークが答える。

「他にもゴブリンがいるのは間違ってなさそうだぜ。町長さんよ。俺たちも、この町へ来る道中、山の中で襲撃されたからな」

 町長は驚きの声を上げる。

「なんと……。他にもゴブリンが」

 リンが続けて補足する。

「私たちが遭遇したのは、10匹~15匹ほどでしたけどね」

 シティリアが町長に質問を投げかけた。

「町長さん。町の入り口では、ゴブリンを何匹ほど撃退できたの?」

「私も町の人の避難を手伝っていたので、その現場にはいなくてな…。あとから聞いた話で申し訳ないが、30匹ほどだとは言っていた」

 リンとシティリアは考え込んだ。リンが口を開く。

「そうね…。狩人に話を聞いてみる必要がありそうだわ。町長さん。その狩人はどこに?」

「ああ。町の者に案内させよう。今も町の中におるはずだ」

 私たちは、役場の人に案内され、狩人の自宅までおもむいた。
 玄関のドアをノックし、呼び出してみる。中から返事が聞こえてきた。

「はい。どちらさまでしょうか?」

 40代くらいの男性だろうか? こちらを見てキョトンとした顔をしている。

「私の名前はリン。王都の冒険者ギルドから派遣されてこの町の現状を把握しに来たの」

「おお。それはワザワザ……。立ち話もなんだ。中へどうぞ」

 私たちは男のいうことを聞き、彼の家の中に招待された。

「人数分、椅子が無くて申し訳ないね。普段、人を招くようなこともないからさ」

 リンが首を横に振り、返答をする。

「そんなこと気にしないわ。さて、こちらが聞きたい事は……」

「ああ。ゴブリンの数だろう?」

「そう。視たままを教えて欲しいの。実際にはどれくらいの数がいたのかしら?」

「そう…だな。100……は、いたと思う」

 スタークが驚きの声を上げる。

「はぁ!? 100匹だとぉ!? 見間違いじゃねえのか? 町の入り口で防衛したのは30匹程度って話だが?」

 シティリアはスタークをなだめるように発言する。

「まぁまぁ。落ち着いてスターク。ねぇ、狩人さん。貴方は狩人という仕事柄、目は良い方かしら?」

 狩人は答える。

「ああ。目には自信ある。それは絶対の自信を持って言える」

 リンは追加で質問した。

「どんな状況でゴブリンを目視したのかしら?」

 狩人は考え込む表情をしながら言葉をつづった。

「ああ、思い出しながらゆっくり話すよ。丁度、森へ猟に出かけていてな……。普段の狩場…そう。見通しの良い、広い場所を…、木の陰から眺めていたんだ。獲物が通ったら、弓で射ろうと思ってな……」

 リンが静聴して狩人の言葉に耳を傾ける。

「続けて」

「いつもなら…。獣道として動物が通るはずなんだが…、その日は違うと感じた。

 狩人は、更に語る。

「変だなと思って、草木の隙間から覗き込んだら、無数の人影が見えたんだ」

 スタークが言葉をはさむ。

「それが、ゴブリンだったってわけだ。で、そん時に数えた……と?」

 狩人は息を飲んだ。

「ああ。思わず口を押さえたね。悲鳴を上げないように。目ん玉が飛び出るかと思ったよ。胸がバクバクいってさ、いつも獲物を数える要領で、1匹……2匹……10匹……40…60…100匹……ってな……」

 リンが大きく息を吐いた。

「それで、100匹いたとって言うわけね」

「そうさ。町の連中は半信半疑だがな……。だが、あんたたちが、ここに来てくれたって事は、少なからず信用もしてくれたってことなんだろうな」

 シティリアが壁に寄りかかりながら答える。

「【第一陣として】だけどね。あら、不安にさせるつもりはないわよ。状況次第では王都から軍隊を要請することもできるんだから」

 狩人は少しホッとしたようだ。

「ホントか? すぐにでも呼べるのか?」

 リンは論理的に状況を判断する。

「今の夜の時間から、町長にお願いして伝書バトを飛ばしてもらったとして、朝までには伝書バトがついているとは思うけど……、朝一番で連絡が行き届いたとするならば、王都を“冒険者の第二陣”と“軍隊”が出発するのは昼頃……。早馬ではないにしても、普通の進軍速度なら【明日の夜】かしら」

 シティリアが言葉を追加する。

「ま、“冒険者の第二陣”だけが先行して出発するなら、夕方にはついているんじゃないかしら。だけど」

 リンが頭を悩ませる。

「でしょうけどね……。ありがとう。狩人さん。これで失礼するわ」

「ああ。あんたらも気をつけてな…。俺がみたのは、ここからすぐ傍に見える。森林地帯の奥だ」

 シティリアが笑顔で答える。

「貴重な情報に感謝するわ」

 私たちは町長の所に一旦戻る事にした。町役場につき、会議室を貸してもらう。

 これからどうするかを決めるためだ。町長も参加する。

 リンが議題のおさとなり、会議が始まる……。
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