現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

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第1章 本章

第26話 隣町の静かな夜に・前編

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 各自、席についている。今この部屋にいるメンバーは、町長、私、リン、スターク、シティリアの5人。

 リンが頭を抱えながらポツリと話し始めた。

「さて、始めますかね…」

 スタークも話に参加する。

「なんだ! 元気ねぇな! 気持ちは分かるけどもよ。俺たちがそんなんじゃ、どうしようもねぇだろ。それに、やる事は決まってんだろ?」

 リンは気持ちを切り替えて、順を追って説明し始めた。

「スタークの言うとおりね。それじゃ先ずは町長さんに、王都まで伝書バトを飛ばしてもらうわ。内容は、敵の数や、現在の状況。それに、“軍隊”と“第二陣の冒険者たち”の出動要請も合わせてね」

 町長はこれを了承する。

「分かりました。準備しておきましょう」

 リンは続けて話す。

「次に、実際にゴブリンがどのあたりに潜んでいるのかの確認。まぁつまり偵察ね」

 シティリアが挙手をして提案する。

「それについては、考えがあるわ。町長。“防衛の時に倒したゴブリンの亡骸”あるかしら?」

「ありますよ。全て燃やしてしまったと思いますが、それが何か?」

 シティリアは、会議場のテーブルの上に、ポケットから何かを取り出した。

「これは、私たちが山道さんどうで遭遇したゴブリンが持っていたものなんだけどね」

 スタークがそれに気づいた。

「ん? あの魔法を使った個体が持ってたヤツか。魔道具か何か…か?」

 シティリアは頷きながら説明を再開する。

「そう。もしも、私たちが遭遇したゴブリンが、町を襲ったゴブリンとだとしたら、ひそんでいる方向が分かるかもしれない」

 スタークが疑問に思ったようだ。

「ん? どういうことだ? それに、俺たちが遭遇したゴブリンは、どう考えても同じ集団だろ? 分かれて王都まで進んできたんじゃねぇのか?」

 シティリアは補足するように言葉を付け足す。

「そう…ね。私もそう思うわ。けど、違うかもしれない。だから、町を襲ったゴブリンたちの持ち物を調べて、同じ集団に属するゴブリンかどうかを調べるのよ」

 シティリアはテーブルの上に置いた魔道具を手に持ち、続けて説明する。

「もしも、燃やしてしまったゴブリンの亡骸に、私が今持っているコレと同じ物があれば…。そう。わ。結果、同じだと判明すれば、私が持ってきたこの遺品を元に、私の広域探知魔法で、ある程度の潜んでいる方角が分かるはず」

 リンもこれに納得したようだ。皆も、静かにシティリアの話を聞いている。

 シティリアは眉をひそめて、もうひとつ言葉を放った。

「細かい場所を特定するには、そこから更に短距離探知魔法に切り替えないといけないけど……。そこまでするには森の奥深くまで入らないといけないから、が危険だけどね」

 町長は、事前に対策が取れる事に対して、徐々に顔に明るさが戻ってきている。

「なるほど……。でしたら、後でゴブリンの遺体の場所を案内しましょう」

 リンは続けて話題を変える。

「そうね。次に私たちがとるべき行動は、【王都から援軍が到着するまで持ちこたえる事】ね」

 スタークが手を挙げて声を上げた。

「ははっ。任せとけ。俺は町の防衛に加わるぜ」

 シティリアも後に続く。

「私も魔法で町を守れるわ。防衛組ね」

 私は、静かに皆の話を聞いていた……。
 。そう、私もひとつ。考えがある。
 だが、迷っていた…。
 私の顔の表情に気づいたリンが、声を掛けてきた。

「どうしたの? ライチャスネス。何か意見があるなら、述べてもいいのよ」

 考えがまだ、纏まらないが……。

「ああ。ひとつ考えていることがあってな。そう、突拍子もない話だと笑われるかもしれない……。信じてもらえないかもしれない。そんな話なんだ」

 スタークがテーブルに肘をついて、気前の良い言葉を発する。

「なんだ? 細けぇことは気にするな。言ってみな?」

 スタークの言葉に後押しされ、私は提案してみることにした。

「ゴブリンの潜伏している場所。大体の場所は分かるという話は理解できた。さらに、その正確な敵の集団の位置について、私に偵察させてくれないか?」

 リンがしかめっ面で答える。

「危険すぎる」

「俺もそう思う」

「なら、なんで?」

「皆には話してはいない事があって、私は他の人とは違うがあってね。詳細は省くけど、私なら、目視した魔物の位置が分かる」

 スタークが疑問を投げかける。

「目視した魔物の位置が分かるだと…? 仮にそれが本当だとして、どう分かるんだ?」

「たぶん。一度でも視界におさめれば、能力を解除しない限り魔物の位置が分かるはず」

 スタークが曖昧な顔に変わる。

「なんだ? 。とか、って」

 私はスタークの疑問に答える。

「実はまだ、この能力を試したことは無いんだ。なのでぶっつけ本番という事に……」

 シティリアが苦言をていする。

「論外ね。突拍子もないし、死体が一つ増えるだけだわ」

 私は内心、まぁ。そうだろうなとは思っていた。どこかで一度でも試しておけば良かっただろうか。

 リンが私の方を見て、私の意思を確認するかのように質問をしてきた。

「ねぇ。ライチャスネス。貴方のいう事が本当だとして、魔物の位置が分かるとしましょう。例えば、ゴブリンの襲撃を事前に察知できる?」

 私はリンの目を見つめ。意を決し、発言する。

「ああ。出来る」

 リンは考え込んだ。私のせいで、余計な混乱を招いてしまっただろうか…。

「分かった。私とライチャスネスは、ゴブリンの潜伏場所を探索しに行く」

 スタークは驚き、椅子から立ち上がりテーブルに勢いよく手をついた。

「何を言っている!? 危険もはなはだしいぞ! リン!」

 リンはスタークのほうへ手の平を向け、静止をうながす。

「期間は短いけど、私はライチャスネスがどんな人間か見て来たわ。彼は

 スタークは椅子に座り、困惑したように腕を組む。

「まぁ……。ライチャスネスの事を信用してないわけじゃねぇ…けどよ……?」

 シティリアもため息を吐きながらリンの方を向く。

「信じるのね? ライチャスネスを」

「信じる」

 間を置かずリンが言葉を放った。その一言に、彼女の気持ちの全てが現れていた。

 私も、スタークも、シティリアも、町長さんも、リンの真剣な表情に釘付けになっていた。

「ふふっ。皆さん。私の町に対して、真剣に……。ありがとうございます。来てくれたのが皆さんで良かった。例えどんな結果になったとしても、私だけは皆さんの事を信頼しますよ」

 黙って聞いていた町長さんが発言した言葉で、場の雰囲気が転換する。

 スタークは大きく息を吸って吐いた。

「町長さんにまでそう言われちゃしょうがねぇな! ま、このパーティーのリーダーはリンだ。お前に任せるぜ?」

 シティリアも続けて笑顔になる。

「フフッ。そうね。私もその言葉に賭けさせてもらうわ。をね」

 リンの表情も崩れ、顔から笑みがあふれ出す。

「みんな、ありがとう。よし。これで何をするべきか、決まったわね! そうと決まればライチャスネス!!! 今更おくした所で、もう遅いわよ?」

 リンの鼓舞に私は応じる。

「ははっ。自分で言い出したことだ。必ずやり切って見せるさ」

 町長は、笑顔で席を立ち、肩を回し始めた。

「ん-っ! では、まずは、シティリアさん。ゴブリンの遺体の場所を案内しましょう。皆さんもついて来てください」

 私たちは、町長の後について行く。私の心には、静かな炎が灯り始めていた。
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