現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

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第1章 本章

第28話 人々の笑顔が交差する。暗躍も交差する・中編

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 日もまたぎ、応援で駆け付けてくれた王都の兵士たちや、冒険者たちは、先に出発して帰って行った。
 中島義行なかじまよしゆき……もとい、アイランド・ライチャスネス一行いっこうも、町を去るため、馬と共に町の入り口で出発の準備を整えていた。

 見送りとして、町長さんと防衛隊長さん、防衛隊兵士数名、情報提供者の狩人さんなどが来ていた。

 町長から順番に別れの挨拶が始まる。

「冒険者、リン一行。此度は本当にありがとうございました。王都に戻ってからもその活躍を応援しております」

 リンが町長と握手する。お、こういう時はキチッとしている……。

 町長がこちらを向き、挨拶を求めてきた。

「ライチャスネスさん。あなたの身をもってして町を守ろうとした姿勢。私は忘れません。お気をつけて」

「ああ……。いえ、町も無事で良かったです」

 私は町長さんと握手をし――。

 その時である。

 電気が走ったかのような達成感が自分を襲う。
 新しいカルマを得る瞬間だ。
 行為の結果が、自分に帰ってくる。
 神様に与えられた能力が、自分の中で増幅される感覚。
 自分の力として蓄積されていく感覚。

 町長さんの“町を壊されずに済んだ”という思いが、カルマを通して繋がる。『壊されたくない』という私の思いが、力となって昇華していく――。

 新たな感覚を確かめるように身に沁みこませる。

 ……。ハッ。いかんいかん。平常心平常心。

 町長さんは、スタークやシティリアにも挨拶をしていた。

「スタークさん。あなたのビッグ・ゴブリンから一歩も引かない姿勢は町の者に勇気を与えました。シティリアさん。大魔法使いとしての功績はこの町に残る事でしょう」

 笑顔で答えるスターク、シティリア。
 防衛隊長さんや、狩人さんとも無事に別れの挨拶を済ませ、リンが出発の号令を出す。

「それでは、皆さん。また機会がありましたらお会いしましょう。さっ、みんな! 王都まで戻るわよ!」

 私たちは馬に乗り、町を後にした――。

 なお、私は帰りもリンの馬に同乗させてもらっている。
 帰ったら誰かに騎乗訓練のお願いでもしようかな……。

 その後、道中は何事も無く、王都までの道のりを進んで行った。平和なものである。それにしても、ゴブリンの大量発生は何だったんだろう。そういえば、軍神様が『今回の件で話すことがある』と言っていた。お城に戻れば……、何か分かるかもしれない。

 ~王都・郊外【夕暮れ】~

「ふう。何もなければ早いものね……ゆっくり帰っては来たけど」

 リンが小言を漏らす。

「ま、そうは言っても隣町だったしな。本来はこんなもんだろ」

 それに対しスタークが言葉を続けた。

 っと、シティリアが思い出したように話しかけくる。

「そういえば、ライチャスネス。。忘れてはいないわよね?」

「ああ。勿論だとも。シティリア……先生……って呼ばなきゃいけなんだな。これからは」

 何ともかんとも。私にはお師匠様がいたり、先生が増えたり、教えを乞う人物が多いものだ。言い換えれば、それだけ私にとってまだ学ぶことがあるとも言う。

「フフッ。とりあえずギルドに戻って、落ち着いてからとなるかしら。ま、それに、ライチャスネスは馬に乗る特訓もしておいた方が良いわね」

「ウッ……。わ、分かってるさ」

「ガハハッ! 一端いっぱしの冒険者になれたってのによ! 馬に乗れねえんじゃ、しょうがねぇしな!」

 スタークの笑いが胸に刺さる。ああ、そうだな……。覚える事はいっぱいだ。

 ん? なんだ? リンが何か言いたそうだ。

「なら、私が乗馬訓練を教えてあげるわ」

「リンが……?」

 リンは鼻高々に話し始める。

「あら? これでもお城の兵士でもありますからね。訓練として兵士に乗馬教育をした事もあるのよ」

 そうなのか。ん……。待てよ、ということは……。

「リン……先生?」

 リンがニヤニヤしている。

「察しが良いわね。私の指導は厳しいわよ~?」

「お、おう……。お手柔らかにお願いします」

 そんな事を話しながら、私たちは冒険者ギルドまで戻ってきた。中に入ると、隣町まで応援に駆けつけてくれた冒険者の顔もチラホラ。軽く挨拶を交わす。こっちの世界に来てから……いや、冒険者になってからまだ日は浅いが、一端の冒険者として認められた気分になる。

 私たちは受付で報告を済まし、2階の応接室まで来るように指示される。きっとギルドマスターから話があるのだろう。

 2階に上がり、部屋に入ると、既にギルドマスターのソレイドが待っていた。

「お、戻ってきたな。そろそろだと思っていたぞ」

 リンが代表して挨拶をする。

「リン冒険者一行いっこう。只今戻りました」

 ソレイドは笑顔で出迎えてくれた。

「まぁ座りなさい」

 私たちは応接室のソファーに座り、ソレイドの話に耳を傾ける。

「みんな。よくやってくれた。ゴブリンの数がそこまで多かったとは……。いや、しかし、それも終わった話。君たちに任せて正解だったよ。おっと、そろそろ茶が来るはずだ」

 コンコンと部屋のドアをノックする音が聞こえ、ギルドの職員がお茶を持って入ってきた。
 私たちの前にお茶を差し出した職員は部屋を後にし、ソレイドは話を続ける。

「さて、出発前にも話した通り、報酬はそれ相応の金額となる事が決定した。それについて、ひとつ話しておく事がある。今回の場合、町の危機ということもあり、国からも報奨金が出る。に、だ」

 スタークが感嘆の声を上げる。

「おお~。それは、太っ腹だな……。って、他のメンツはたいして驚いてねぇな?」

 リンが真顔で答える。

「まぁ。そうなんだろうとは予想してた」

 シティリアも真顔で答える。

「普通に考えればそうなんじゃないかしら?」

 俺は真顔で無言である。

 ……。

 でも、凄いことなんだろうな。スタークの驚きを見ると。

「とりあえず、今日の所は各自、休んでいてくれ。明日の昼頃には支払いの手続きを用意しておく。ギルドの受付に来れば分かるようにしておこう」

 スタークが疑問の声を上げる。

「そんなに早い手続きで大丈夫なのか?」

 ソレイドが自慢気に腕を組む。

「そこはギルドマスターとしての腕の見せ所よ。お前らは現場で頑張る代わりに、私たちが陰で支えてやらねばな」

 リンが思い出したようにソレイドに話しかける。

「あ、そうそう。ギルドマスター。借りた馬はギルドの馬小屋へ返しておいたわよ。ありがとうね」

「ああ、分かった。それと最後に、ライチャスネス。先行で帰ってきた冒険者からも聞いたよ。大活躍だったそうだな。お前を選んだ俺の目に狂いはなかったって事だ。これからも何かあったらよろしく頼む」

「いえ、自分の力を出し切ったまでです。これからもよろしくお願い致します」

「フッ……。随分謙虚だな。まぁ、いい。そういう所も見込んでお前を選んだわけだしな。さて、話は以上だ。本当にご苦労であった」

 ギルドマスターの話も終わり、私たちはギルドの1階に場所を移し、解散する流れとなった。
 
 まず最初にシティリアが言葉を交わす。

「それじゃ、私は最寄りの家に帰るわ~。あ、ライチャスネスは明日の昼頃にまたギルドへ来てね。それではお先に」

「またね。シッチー」

 リンの挨拶に対し、笑顔で手を振り、シティリアは去って行った。
 シティリアは家が二つあるんだったな。こういう時、便利だな……。
 ギルドの近くに仮宿を持つ冒険者もいるって言ってたっけ。

「んじゃ、俺は飲み屋で一杯やってくかー。ライチャスネスもどうだ?」

 スタークから飲みに誘われた。ありがたいが、今は城へ戻る事を優先したいな。

「いや、ありがたいお誘いだが、俺はリンと一緒に城へ戻る事にするよ」

「そうか、無理にとは言わねぇ。またな」

 スタークとも別れ、私とリンはお城まで戻って行った。

 ~お城・内部【夜】~

 リンと一緒に城まで戻ると、チャップさんが出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ。ライチャスネス様。それと、リンも」

「ハッ。只今戻りました」

 ん? ああ、そうか。お城の兵士でもあるから……。
 そういえば最初に会った時もこんな感じだったな確か……。

 そうだ。チャップさんに六尺棒や防具の事を話しておかないと。

「チャップさん。すみません。頂いた六尺棒を壊してしまいまして、防具もボロボロに……。今、使っているのは――という事でして」

 チャップさんは急に笑いだした。

「ホッホッホ。それはそれはでございましたな。いえ、良いのですよ。役に立ったようで何よりですな。まぁ、今日の所はお疲れでしょう。明日あす、午前にでも、フロウ様よりお話があると思いますので、またお呼び致します」

「分かりました。今日の所はこれで失礼いたします。リンも色々助けてくれてありがとうな」

「こちらこそ。ライチャスネスと一緒で良かったと思うわ。チャップ様。私も失礼いたします」

 私は浴場で体の汗を流した後、自室に戻り、そのままベッドに入る。

 明日は、またやる事が色々……。
 そういやマリは、何してるかな……。
 スタークも、シティリアも凄かった……。
 村瀬さん、軍神だったとはなぁ……。
 眠くなってきた……。
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