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腐男子坂本くんの○○な日
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しおりを挟む「紫瞠君、誰かと待ち合わせ……でしょうか?」
「……ああ、あれかな?」
七海君が指を差す方向へ視線をやると、一台の高級車が路肩で停まりました。そこから、真っ赤な髪の長身男性が現れたのです。
その男性の姿を目にするや否や、またもお花が咲いたように可愛らしく笑う紫瞠君。美人さんはどんな仕草も愛らしく映るんですね。でもそれよりも僕の目は赤い髪の男の人へといっていました。
だって、ビックリするくらいの美形さんだったんですから!!
何ですか、あの美形さんは! まるでBL界のスパダリ攻めをそのままくり抜きだしたかのような美麗さです! ウチの学校の生徒会メンバーは会長を始め美形も美形揃いでこんなに格好いい集団は芸能界でもいないだろうと、そう思っていましたが……紫瞠君の下へと近寄るあの赤髪の美形さんは郡を抜いちゃってます。一瞬で謎の赤髪美形×美人転校生を作れちゃいましたよ。ふわあ……!
「あれが例の、紫瞠君の旦那さん……とやらかな?」
腐男子の情報網パネえと思われがちな僕ですが、実際は七海君からの横流しです。ですが、紫瞠君のこの旦那さんの件に関してだけは、七海君に頼んでも教えてもらえなかったことなのです。
二人がどんな関係かは知りませんが、紫瞠君があんなに嬉しそうな顔をするんですから、きっと大切な方なんでしょうね……あまりにも美形さんなのでちゃっかり鬼畜攻めカテゴリに括ってしまったことは絶対に内緒です。
内緒です、が……
「格好いい方ですねぇ」
比較的に一般的な感想をポツリと漏らしてしまったこと。それの何がいけなかったのでしょうか?
「タカちゃん」
隣の七海君が、僕の名前を静かに呼びました。
「何ですか? ん、んんぅっ……!?」
顔が迫ってきた。そう思った後には、僕の頭と腰は抑えられ、唇は柔らかい何かで塞がれていました。
キスです。それもディープの。
七海君とキスは……したことがあります。でも、それはいつもチュッとするような軽いものでした。だから、こんなに深いものは初めてだったんです。
「はっ……ななみ、く……んん……」
往来で、ムードも何もなく。深く、絡みつくようなねっとりとしたもの。
それまでどれだけの人とこういった行為をしてきたのかしれないキス。僕には経験がありませんから、それが上手いのか下手なのかなんて正直、わかりません。でも、気持ちいいと思ってしまうということは……きっとそういうことなのでしょう。
僕の呼吸が少し苦しくなってきたところで、七海君は僕を解放してくれました。クチュ……と、透明の糸を引きながらです。
でもその目に映る七海君は、いつもの彼ではなく……初めて見る顔をしていました。目付きが鋭く、背景がブラックに見えてしまうような、そんな薄い笑みを浮かべながらこう言ったんです。
「全く、妬けるんだから……あんまり他所に目をやるようなら、その細い脚を鎖で繋いで囲っちゃうよ?」
僕がビクッと肩を竦めると、パッといつもの優しい笑みに戻って、お茶目にウインクをしてみせました。
「なんて、ね?」
「な、七海く……」
「さ、行こっか。あんまり遅くなると、別々に寮に戻れなくなっちゃうからね」
再び、恋人繋ぎをして歩きだす七海君。まるで何事もなかったかのように歩きますが、さっきの怖い笑みが頭から離れません。
離れない、どころか……
「う……ううっ……くぅっ…………!」
はあああああああ!???
なんですか!? なんなんですか、今の!?
腹黒じゃなくて、ヤンデレ!? ヤンデレ副会長ですか!?
ぐあっ、不意打ちタンマっ……キュン死にするうぅ!!
ヤバいヤバいヤバい! ヤバいよおおお!!
ヤンデレはあかん! あかんです!!
このギャップ、ほんとだめですうう!!
七海君、最高かよ!?
「もう……はうう……!」
まさかのヤンデレ属性だった七海君に、不覚にも落ちてしまいました。まさか? それで?
自分でもビックリですよ。でもヤンデレは受けよりも攻め派だったんだから仕方ないんです。
これからどう見ていけばいいんでしょうか? こんなに格好いい爽やか男子が実はヤンデレ属性だなんて、これで興奮しない腐男子はいないでしょう!
「……っ、好き……かも……」
「何? タカちゃん」
坂本貴雄の本当の恋は、どうやらここから始まるようです。
END.
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