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ゲームオーバー 4
しおりを挟む「ま、マサル……壁を、見ろ……」
珍しく声を震わせるワイアットが、俺に顔を上げるよう促した。
恐る恐る、俺が顔を上げるとそこには……
『罰ゲーム
・プレイヤー3人 生贄1人
・プレイヤーはカードに記載された能力を使い、自身が「空」になるまで生贄を犯しなさい。また、プレイヤー1人の行為につき、生贄は1回以上のエクスタシーを感じること。エクスタシーにおいて射精の有無は問わない。
・ただし、生贄の身体を損壊する行為や死へと直結する行為は禁止とする。ルールを破ったり、ゲームを放棄した場合は、「外」にいる勝者も含めて全員が死ぬこと』
「な……なんだって……」
俺は自分の目を疑った。プレイヤーが、生贄を犯す……? それが、罰ゲームだって?
目眩でも起こしているかのように、頭がフラフラと左右に揺らめいた。
いやいや……いやいやいや。そんなこと、できるわけがないだろう。ここにいるのは、人間二人とドワーフ二人。その全員が男だぞ。しかも犯す対象は俺。可憐なノアのように、華奢な体躯でも、女のような顔立ちでもない真逆の男だ。そんな俺を抱くなど、無理に決まっているだろう……!
「マサル……」
「……っ」
いつの間にか、背後にいたワイアットが心配そうに俺の肩を支えた。ただ触れただけの男の手に、俺は大きく身体を震わせた。
ワイアットが、今から俺を……? それこそ無理に決まっている。ワイアットは同性同士の恋愛をよく思っていない。そのワイアットが、俺を抱くなんてそんなこと……そんなこと、できるわけないじゃないか……!
「犯すって……勇者をか? 女のようにヤれって?」
「おい、勇者様よ。アンタ、野郎に掘られたことはあんのか?」
「なっ……!」
何てことを聞くんだ、このドワーフは! 驚きのあまり、言葉を失った俺が口を金魚のように開閉させると、彼らは不気味にニィ、と笑って黄ばんだ歯列を覗かせた。
何だ、こいつら。さっきまで怯えていた癖に、まるで獲物を見つけたかのような目つきで俺を見て……。
「な、なあ……」
若干、上擦る声で俺はドワーフ達に言った。
「この罰ゲームに制限時間はないんだ。なら、こんなふざけた『ゲーム』に従うよりも、ここから脱出することを考えないか?」
努めて冷静に、俺は彼らに提案した。俺自身、同性のノアを抱くのだから男同士のそれがどんなものか、やり方はとうに知っている。しかし、それはノアが相手だからだ。彼以外の男と関係を持つなど、ましてや抱かれる方のことなど考えたくもない。ドワーフ達だって、抱くなら女か、ノアのような男の方がいいだろう。
だから俺が出したのは極めて平和的な提案だった。そのはずだったんだ。
だが、俺の想いとは裏腹に、ドワーフ達の表情はカッと険しくなった。
「馬鹿いってんじゃねえよ! 俺達に死ねってのか!?」
「俺達だって野郎なんざ犯したくねえよ。けど……なあ? 仕方ねえだろう!」
「やるしかねえんだ。恨むなら、こんなふざけた『ゲーム』を考えたやつを恨みな」
そう言って、ドズンは俺の腕を掴むとワイアットから引き剥がした。
「ひっ……は、離せっ! ワイアット!」
「マサルっ……!」
俺は助けを求めるようにワイアットへと手を伸ばした。彼ならこんなドワーフ達など、一瞬で蹴散らしてくれる。俺はすぐに解放されるはずだった。
「ワイアット……?」
なのになぜ、ワイアットは俺の手を取らない? ドワーフ達によって拘束される俺を、何かと葛藤しているような表情で見下ろしているだけだ。
ただ佇むワイアットへ、ガッポが苛立ち混じりに声をかけた。
「おい、アンタも。放棄すっとせっかく外に出た仲間達も死ぬって書いてあんだぞ。いいのかよ、それで」
「それは……」
「ワイアット! やめてくれ……!」
俺は必死になって叫んだ。こんな「ゲーム」、馬鹿げている。そうだろう? 俺は……俺は、「女」じゃない……! 仲間の俺を犯すなんて、人としてやってはいけないことなんだから!
「なあ……ワイアット……!」
「マサル……皆の命が懸かっているんだ。すまない……!」
ワイアットは俺から目を逸らした。なんだって……? こいつ……俺を助けてくれないのか?
裏切られたとわかるや否や、俺の身体はわなわなと震え、ワイアットに向かって怒号した。
「……っ、このっ、裏切り者! ワイアット、てめえ……外に出たらただじゃ済まさねえ……!」
「マサル……」
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