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第一章

蜂蜜よりも甘いもの… 15

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 かつて村の男達が、今のシンのように優しく触れたことなどなく、胸を弄られようものなら、苦痛しか感じなかった。

(なのに、なんで……これ、こんなに……)

 もう片方の粒も指の腹で擽るように擦られ、もどかしい気持ちになりつつも言葉にはしがたい快楽を感じていた。

「ん、く……シン、さん……そ、れ……やあっ……」

「痛い?」

「……っ」

 逃げられない質問をされて、レイヴンは目に涙を浮かべながら首を横に振った。痛いと答えれば、シンはきっと止めたのだろう。だが、実際に痛みは感じておらず、「止めて欲しい」と言えないレイヴンはノーと答えるしかなかった。

 そしてシンも本気で止める気はないのだろう。痛がっていないことは、レイヴンの反応で一目瞭然だ。レイヴンの性格を知ってこその意地悪な質問だった。

 かといって、無理強いはしなかった。行う愛撫の一つ一つが、赤子にでも触れるような優しいもので、レイヴンの身体の傷に至っては軽くキスを落とす程度に止めていた。

 やがてシンの上体が次第にレイヴンの下肢へと下りていくのを、レイヴンは止めなかった。行為に及ぶ前、身体を洗えなかったことが気掛かりだったが、さすがに臍より下には触れないだろう、と高を括っていたのだ。

 その予感が、すぐに外れてしまうとは知らずに。

「……ぁ、えっ? や、やだっ……そんな、とこ……!」

「へぇ……こんなとこに、こんなおもしろいものがあったのか」

 下衣と下着を脱がされ、両脚を持ち上げられたレイヴンは、それを割り開くようにされ小さな悲鳴を上げた。この時、シンの目に飛び込んでしまったのだ。レイヴンが聖女であると決定付けられた、特殊な痣が。

 痣は彼の太腿の内側にあった。脚の付け根よりも少し下の、普段なら絶対に人目につかないであろうところにあったのだ。その形はとても珍しく、手指の関節一つ分の長さの黒い線が、縦に何本も並ぶという縞模様。しかも線の太さは一本一本が不揃いで、細いものから太いものまでが無作為に入り混じっている。

 線の端から端までの長さが、およそ子供の指一本分となるそれを、シンは興味津々と細見する。

「バーコード…………ははん。最近はこうなっているのか。趣味が悪いな」

 合点がいったとばかりにシンは目を細めつつ、レイヴンの両脚の間に身体を挿し込むと、痣に向かって舌を這わせた。ベロリと脚を舐められたことで、レイヴンの耳が瞬時に薔薇色へと染まる。

「あ……や、やだ……汚い、よぉ……」

「汗が滲んでいるみたいだけど、大丈夫か? 暑い? ……にしても、甘じょっぱい汗だな。レイヴンのは」

「やあっ……味、言わないで……匂いも、嗅がないでぇ……」

 今にも泣きそうな声で懇願するレイヴンだが、顔に意地の悪さを浮かべているシンがそれを止めるはずもなく。

 レイヴンの脚を両手でしっかりと固定したまま、これでもかというほどキスを落としていった。

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