「んじゃ、お望み通りにしてやるよ」〜俺様最強チートが不憫な転生美青年をとにかく溺愛するお話(モブありver)

天白

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第一章

んじゃ、お望み通りにしてやるよ 7

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「ま、ほう……?」

 聞き返すレイヴンに、シンは口調をいつもと同じように和らげた。

「レイヴンがオレに使った治癒能力があるだろう。あれも魔法の一種だよ。レイヴンの場合は少し特殊で、身体そのものに魔力……魔法の力を貯蔵させていて、それが体液を介して相手に使うから、意識して使ってるわけじゃないみたいだけどな。それでもレイヴンが住処にしているあの山小屋を中心とした付近には、しっかりと結界魔法が張られていたよ。まあ、最近はちょっとばかし気が緩んでいたようだから、侵入者を許しちまったみたいだけどな」

 シンの言う侵入者は、おそらくマキトのことだろう。にわかには信じ難い話だが、レイヴンは先ほど夢に見た過去の自分を思い返した。

(そういえば、初めて聖女として生を受けた時の僕は治癒能力以外にも色んな力が備わっていて、人や動物以外の魔物から村の人達を守っていた……その聖女の力が、魔法?)

「チュッ」

「ふあっ?」

 ふいに、額にキスを落とされ、レイヴンは身体を硬直させた。シンはすぐに顔を離したものの、唇が触れたそこは誰のものかわからない体液が多量に付着している。いや、そこだけではない。今の今まで、全身を余すことなく犯されていたのだ。こうして近くにいるだけで、鼻が曲がりそうなほどの悪臭を放っていることだろう。そんな自分に躊躇うことなく触れた彼に、レイヴンは困惑が隠せなかった。

「あのっ……あの、今……僕の身体……その……」

 だが、微塵も気にした様子のないシンが被せるようにしてレイヴンの言葉を遮った。

「悪いな。レイヴンと違ってオレは詠唱なしの回復魔法が苦手なんだ。触れたところで、痛みを緩和させるくらいにしか役に立たない」

「えい……しょう?」

 聞き慣れない単語に、レイヴンは首を傾げた。言われてみると、シンが自身を抱き上げてからそれまで感じていた身体の痛みが不思議と消えている。どころか、風前の灯火だったはずの身体には、気力と体力が戻りつつあった。

「プロテクト完全解除とは、まだいかないか……まあいい。それよりも、だ」

 レイヴンの反応に対して、意味深長なことを呟くシンだったが、自身の足元近くにいる一人の男に向かって「お前」と呼び、手足を使うことなく顔を上げさせた。

 それまで見えない何かによって額を地につけていた男だったが、またも見えない何かによって上体を起こされ、恐怖に裏返る声で「はい」と返事を口にする。

「この村の人間代表として、申し開きを聞いてやる。なぜ、お前達はレイヴンを嬲る?」

 身体を槍で貫かれたかのような衝撃が、その男の身に走った気がした。実際は何も起きていないのだが、シンが男に向けて質問を口にしただけで、男は内臓を抉られるような感覚に陥った。

 冷徹な視線を一身に受けるその男は、右往左往に目を泳がせた。どう答えればいいのか、あるいはどう答えたらいいのかがわからないのだろう。男の様子から、この村の首領でないことは明白だったが、それはシンにとって些末なことだった。

「そ、そ、そ、それは……その……ぐええっ!?」

 なかなか答えられずにいる男の喉から、アヒルのような鳴き声が上がった。見れば、男の口からこれでもかと、それまで潜んでいた舌が見えない何かによって引き伸ばされている。原因は言わずもがなだ。

 レイヴンを抱きながら、人差し指をクイクイと内側へ動かすシンが惚けたように言った。

「ああ、悪い。話しにくいのかと思って舌を伸ばしてやったつもりなんだが、つい引っ張り過ぎてしまったな。如何せん、"誰か"が魔法に制限をかけやがるもんだから、コントロールがまだ上手くできないんだよな」
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