最恐の精霊姫様は婚活を希望します

梛桜

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プロローグ

精霊とのふぁーすとこんたくと

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「ふぉおお!!かわいーの!」

 目の前にちょこんと座って首を傾げて私を見詰めているのは、精霊石と同じ白と黒の毛並みをした長毛の猫さんでした。柄は八割れですね。長くてふわふわな尻尾は黒いのに先だけが白い蛍尻尾です。ちょこんと折れた小さい耳が可愛いです。

『にゃー』

「なんなは、せーえーさん?」
『うにゃん』
「しょっか!」

 私の問いかけに『そう!』と返事するかのように鳴いて、また頭を頬へと擦り付けてくる。その可愛さに私も嬉しくなってぐりぐりと頭を撫でた。

(じゃあ、こっちのあかいのもうでわにはめこめば、せいれいがでると)

 掌に乗っている紅い精霊石を見た猫さんの尻尾が、若干驚いたように膨らんだ。二倍くらいかな?猫って驚いたり怒ったりすると尻尾が膨らむので、この精霊石は驚くほどのものらしい。

「なんな、こえちってう?」
『にゃあにゃにゃにゃ!にゃーん!』
「ん、わかりゃん!」

 必死で何かを訴えたいのはわかるんだけど、何せ猫語なので分からない。こっくりと頷いた私に期待した瞳をしていたけど、わからないよねーって耳を後ろへ向けてしょんぼりされてしまった。
 迂闊に嵌め込んではいけないのは分かったので、一先ず袋へ戻すことにしましょうか。

「せーえーしゃん、わたちはせらふぃなよ」
『くるる』
「せーえーしゃんの、おなまえなんれすか?」
『にゃん?』

 名前を聞こうと話しかけたけど、きょとんとして首を傾げられてしまった。もしかしたら名前は無いのかもしれない。

(でも、そうなるとよびにくいの)

「おなまえ、ちゅけてい?」
『にゃん!』

(おお!しっぽゆらゆらできらっきらのまなざし)

 ふむと口に手を当てて、じっと猫さんを見詰める。昔に飼っていた猫にも良く似ていて、どこか懐かしい。少し考えていると、ふと頭に浮かんでくる名前『久遠』。その字は昔と今を繋ぐにはいいかもしれない。

「ん!くおん!」

 名前を声に出した途端、クオンの身体が淡く光り輝き宙へと浮かび上がる。其の背中には薄っすらとトンボのような羽が生えていた。くるんとその身体が一回転し、再び顔を私に向けると前足を片方上へ上げた。

(おお!ふぁんたじー!)

『名前、おおきにな嬢ちゃん!わいはクオン、無属性の猫精霊や!』
「なんでかんしゃいべんやねん!」
『ええ突っ込みや!』

 なんと、この精霊猫さん。前世で言う関西弁を操る浪花のにゃんこさんでした。私も突っ込み属性だったもので、うっかり捻り加えた裏手でズビシッ!っと突っ込みいれちゃいましたが、楽しそうな予感はしているので問題無しですね!

「こえも、なんなでう?」
『んー?って、な、なんやて!?あかんで!それはここやとあかんからな!』

 掌に載せていた赤い色の精霊石をクオンに見せると、目をカッと見開いて止められました。良く見たら尻尾もぶわわっと二倍に膨れてビックリしているのが分かります。あまりに驚いているので、御守り袋に入れなおしてスカートのポケットへと仕舞いこみました。

(うん、ぽっけないないしとこう)

「じゃあ、こえはひおいとこえやうの?」
『そやなー、やないとえっらいことになるしなー』

 あーびっくりしたー。と見えないけど冷や汗を掻いたのか、クオンが額の汗を拭くのを見て思わず笑ってしまい、ジッと見られましたが知らん振りです。

「ねーねー、くーちゃん。おちょとどこ?」
『なんや、嬢ちゃん迷子か?』
「ちあうの!ここちゅいたの!」

 呆れ顔のクオンに令嬢としてというより、家の中で迷子になったのを誤魔化す為、頬を膨らませて怒ってます!と強調してみせると、ケラケラと笑いながらも、スカートを引っ張って案内してくれる。

 猫精霊さんは、面倒見がいいようです。



 セラフィナはクオンの精霊石を手に入れた。クオンが仲間になった!



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