最恐の精霊姫様は婚活を希望します

梛桜

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自称勇者様

突然の訪問者

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 着替えを済ませ、ルビィとクオンと共にお父様が待つ執務室へと向かうと、先に三人の兄様達が待って居ました。
 長男のカーネリアン兄様は十八歳で既に成人済みで、現在は侯爵家の跡を継ぐための勉強をしています。お祖母様譲りの銀髪に優しい緑色の瞳をしていますが、外見はお父様に似て精悍で素敵なお兄様です。
 二男のフォルス兄様は十六歳で成人したばかりです。この国では十六歳になれば成人として認められるのです。フォルス兄様はフローライト領の軍部を担っておられます。フォルス兄様は白金の髪もお祖父様譲りの金色の瞳も、お父様にそっくりな外見にも伴ってまるでお父様の若い頃のようだと、お母様によく言われています。

「ルシアン兄様!お逢いしたかったですわ」
「ただいま、僕の可愛いセラ。元気にしていた?」
「はい、勿論ですわ」

 フォルス兄様の後ろからひょこっと顔をだして、にっこりと笑顔を向けてくださるのは、十四歳になる三男のルシアン兄様です。ルシアン兄様は王都の学園に入学していますので、長期休暇の時か何か用時がある時のみ帰ってこられます。
 ルシアン兄様はお母様に良く似ていて、女の子のように可愛いと言われていますが、気に入らないときは持ち前の魔法でデストロイするちょっと危険な一面もありますの。元冒険者だったお母様の血を、其処まで受け継がなくても…。と思う時もあります。

「ルシアン兄様がいらっしゃるとなると、王都で何かありましたの?」
「それをね、今から父上と話し合う事になったんだよ。セラも精霊様と一緒においで」
「はい、リアン兄様」
『んなー』
『なうー』

 ルビィとクオンを連れて部屋へと入ろうとしましたが、スカートにぶら下がる猫精霊さん達の可愛い行動に悶えます。自分達も連れて行けって事ですね。
 
 理解しました!勿論一緒に参りましょう!猫精霊さんは重さを感じないので、三匹纏めて抱っこですー!

 『んなー』と鳴いていたのが、金目と青目のオッドアイを持つ白猫オウガ。オウガは探知系の支援魔法が得意で、鑑定もできるのです。
 『なうー』と鳴いていたのが茶色系の虎猫で、名前はリンディン。リンディンは状態異常系の支援魔法に強い猫精霊さんです。曲者を捕獲するのはお手の物です。
 精霊の腕輪に白い石と茶色の石をセットし、兄様達の後に続きました。



***



「事後報告とは、王宮も困った事をする」
「僕が後を追うようにと命令された時は、既に侯爵家に連絡はしていると聞きましたが…?いったいどちらの侯爵家へ連絡されたのでしょう?」
「王都の屋敷にだろうね、ルシアンは直接こっちに帰ってきたようだし」
「そうですね、いつもの方法でびゅーんと帰ってきちゃいましたね」

 お父様と兄様達が困り顔をしているのは、王城に暮らしている第一王子様が領地の視察にいらっしゃる。と、いうか。既にフローライト領の街の一つ、ウバロへとやってきているそうです。我が家の屋敷は小高い山の上にありますので、道を間違えてしまうと魔獣が棲んでいる森へと迷い込んでしまうのです。

「我が家へ来るときは、連絡は必須だと王家もご存知のはずですが」
「第一王子派と第二王子派が、諍いでも起こしているんだろう。正妃と側妃が一ヶ月違いの王子を産んだと十年前に聞いたからな」
「十歳の王子を誰に護衛させてやってきたのやら、強い者なら軍部への誘いを検討しましょうか?父上」
「いや、いい。これ以上強くすると王宮が煩い」

(十年前といいますと、私と同じ年ですね。一ヶ月違いといっても、正妃と側妃なら正妃のほうが強いはずなのですが、正妃様が隣国出身の王女様なのが問題なのでしょうか?)

 お父様と兄様達の会話を頭の中で整理していると、執務室の扉が叩かれ執事のアズナブルの入室を請う声が聞こえました。直ぐにお父様が返事をすると、困った顔をしたアズナブルが入って来ました。

「ウバロの街の冒険者ギルドのギルド長から、旦那様にご連絡が参りました。何でも第一王子様が屋敷への迎えにお嬢様を呼べと…」
「あら、私をご指名なのですか?」

 アズナブルの言葉に、部屋にいた全員の視線が私に集中しました。
 辺境侯爵家末っ子にして唯一の娘ですが、この国の王子様にご指名を受けるほど、名前が売れているとは思っていません。どうやら、フローライト領の視察ではなく、私に用事のようですね。

(私をご指名という事は、私の精霊魔法の事が世間へ漏れたのでしょうか?フローライト家の門外不出事案だったのですが)

「ルシアン、ちょっとウバロのギルドへ行って爆発させてきなさい」
「あ、俺も一緒に連れて行け。残りをぶっ壊す(物理)」
「いいよ~!久し振りにデストローイ(魔法)ってやっちゃう!」
「畏れながら、私が変化を解きますのでご一緒にお連れ下さいませ。私の炎の威力があれば、効果も増しましょう」
「はいはい、兄様達にルビィ。止めて下さいね?お迎えくらいでしたら、私が参りますわ」

 兄様達(策士・筋肉・爆発魔)の物騒な発言に苦笑いのお父様と微笑みをかわし一礼をし、護衛だけは譲らないと頑張るルビィがドラゴンの姿に戻り、其の背に乗ってウバロの街の入り口まで向かうことになりました。

 ですけど、本当に屋敷に迎えるだけでいいのですよね?



 なにやら一抹の不安を抱えつつ、私は後から馬で追い駆けると言う兄様達に手を振って飛び立ちました。

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