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最終決戦
真実の姿
ゆっくりと治まっていく光に、私もリモナイト殿下も瞳を開けた。
目の前には倒れているルミエール様の姿があって、あんなにも色濃く出ていた『魔』の気配もなくなっている。じっとその姿を見つめているハウライトも、小さく息を吐いて安心したのか緊張を解いていた。
「上手く祓えたのかしら?」
「もう、大丈夫です!やりましたね、アリア!」
「魔力切れとかは大丈夫そう…?」
「ええ、リィ様。魔力増幅の鍛錬をやっていたからでしょうか?まだ大丈夫そうですわ」
『魔』に取り憑かれていたからといって、ルミエール様をそのままには出来ないので、ジャスパー様が警戒しつつも近付き、身体を起こしてみたけれど、ルミエール様が目を覚ます気配は今のところ無かった。
(一応、安心しても良さそうだけど…。)
「このまま、救護室へお連れしましょうか」
「そうだね、ラズ兄様が手配してくれている手筈になっているから、神殿にも連絡が入っているよ」
神官であるルミエール様をジャスパー様が軽々とお姫様だっこして、その横にリィ様が並ぶ。ハウライトとオブシディアンは子猫の姿になって私の肩に乗り、アズラは人型へと戻って私の隣へと並ぶ。そのままリィ様の後を追い私も歩き出そうとした、その時だった。
「アリア!」
私の名前を呼んで目の前に飛び込んできたオブシディアンに突き飛ばされて、アズラに受け止められた。何事かとオブシディアンに目をやると、オブシディアンを包み込む真っ黒な塊。
どうして、私は気を抜いていたのだろう。
どうして、完全に祓えただなんて、思っていたのだろう。
何年も、下手をすればそれこそ十年以上も潜み続けていた色濃い『魔』の塊だったのに。あんなにもあっさりとルミエール様から離れた事に、疑問すら感じなかった。祓えたのではなく、『魔』が自らルミエールという器から離れたのだったら…。
「オブシディアン!」
「アリア、危険です!今はオブシディアンから離れてください」
「だって、オブシディアンは私を庇って…っ」
「それでも、今のアリアは万全とは言えない。ルミエール様に光魔法を使ったんだから」
「…アズラ」
ルチルレイの時も、ルミエール様の時も、体から引き離すだけで魔力をほぼ全部持っていかれた。オブシディアンは闇の聖獣で、今オブシディアンの身体を乗っ取ろうとしている『魔』とも、属性柄相性が良すぎる。
「でも、でもっ」
『これで、いい…。僕は大丈夫だよアリア』
「オブシディアン…?」
聞こえてきたオブシディアンの声は、とても『魔』に憑かれている声じゃなかった。子猫の姿でも少年の姿でもない、結界の中での青年の姿のオブシディアンが其処に居て、静かな微笑みを浮かべて私を見つめていた。
頭の中で飛び交うゲームのスチル、ハウライトには到底見えない無表情で従順なハウライト。表情豊かな『魔』に獲り憑かれたハウライトと、強さだけを何よりも追い求め過ぎて自ら破滅したアメーリアのバッドエンド。
(そ、んな…。アレはもしかしてオブシディアン…?)
カチカチとパズルが当てはまっていくかのように、一つの答えが導き出される。私が幼い時にハウライトと一緒に助けたのは、死にそうになっているオブシディアン。もし、ハウライトがたった一人の力だけでオブシディアンを助けようとしたのなら、私がハウライトだと思ってたのはオブシディアンで…。
『そう、あの日僕を助けようとしたハウライトは、僕に光の力をそのまま渡して、代わりに消えてしまった。闇の守護聖獣は闇の狼がいたのにね?まぁ、僕もこの姿になって思い出したよ。僕の本当の役割に』
「オブシディアン」
『僕は闇の守護聖獣ではなく、魔を統べる者。ルチルレイに憑いていたのも、闇の力を狙っていたからなんだけど、おかしいね?光の神殿のほうが力を蓄えられたよ』
平気そうに口にしているのに、笑っているのに、全然楽しそうじゃない。今にも泣き出しそうなその瞳が映しているのは、私とハウライト。そして、私を守っているアズライトの腕を悔しそうに見つめていた。
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