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OPは賑やかに。
かけ離れていく設定
ギベオンから手を離すと、警戒をしつつもハウライトとオブシディアンがベッドから飛び降り、私の足元へと寄ってきて身体をスリスリと擦り付けてきました。自分以外の匂いは許さないっていう、猫の独占欲可愛い!二匹を纏めて抱き上げてぎゅうっと抱き締めた。
「ハウライト、オブシディアンー。心配しなくても大丈夫ですわよ」
『アリア、撫で撫で』
『私達もモフモフ出来ます、狼よりも艶やかです』
「心配しなくても、貴方達も大好きよ」
頬に摺り寄せてくる二匹の頭を撫で撫でして、艶やかで滑らかな毛並みを堪能する。ボリュームは足りないけど、柔らかいふわっとした毛並みや、甘えて纏わり付いてくる尻尾がもう最高!同じ猫科だからなのか、アズラには二匹が何を言っているか少しだけ分かるらしいけど、アイクお兄様達には、にゃあとしか聞こえて無いでしょう。撫でて貰えないからか、アズラの尻尾が拗ねているのを見て、ジャスパー様が心配してます。
「いいな、アリアの撫で撫で…」
「はぁ!?こら、待てアズラ!」
「獣化してましたら、モフってましてよ?」
「アメーリア嬢!そういう問題じゃねーから!」
「なる!獣化する!」
「だーかーらー!アズラ!」
大きくなっても獣化する度に、モフモフ撫で撫でされていたアズラは嬉しそうに笑顔を見せ、ジャスパー様が止めるのも聞かず獣化しました。結構前から思ってましたけど、アズラって可愛いお馬鹿さんなんですよね。お母さんに今でも撫で撫でして欲しいのか、獣化すると其れが表に出るのか。幼い時にアズラの胃を掴んで母ポジションに位置付けられた所為なのか。
(そんな事は後で、ですわ!ホワイトタイガーカモン!!)
幼い頃はまだまだデカイ猫くらいの大きさだったアズラも、今では獣化すると十歳くらいの男の子の身長くらいはあります。故に、大きいし重い。圧し掛かってくるモフモフと一緒に床に転がって、頬にスリスリしてくるのをそのままに、頭をぐりぐりと撫でて、丸い耳をフニフニと弄ります。顎の下を擽るとグルグルと喉を鳴らしてもっとと、毛皮を押し付けてくる。
「グルグルグル」
「此処ですか?気持ちいいですの?」
「うにゃーん」
「お腹も撫で撫でします?」
(可愛い、モフモフが一杯ですわ!)
『むぅ、アリア僕も』
『アズラばっかり、いっぱい撫で撫ではズルイです!』
滑らかな背中を撫で、嬉しさに尻尾がゆらゆらどころか身体が伸びきってます。だらけ過ぎじゃありませんこと?アズラさん。グルグルうにゃうにゃと甘えてくるアズラがとても可愛いので、思う存分弄り倒してやらぁ!と思っていたら、ハウライトとオブシディアンも頭をゴツンと身体にぶつけてきて、構え・構っての合図。
「ああ、もう!うちの猫達可愛いっ!」
「アズラは、うちのじゃないから。違うからね?アリア」
「獣人がそれでいいのかよ、アズラ……」
アズラも一緒に纏めて抱き締めている私を窘めるアイクお兄様と、前髪をくしゃっと掻き揚げて溜息を零すジャスパー様。王子殿下お二人は微笑ましく見守ってくださっていましたが、今まで見詰め合って話しでもしているのかと思っていたギベオンが、いきなり背中へと頭突きしてきました。
「あら?ギベオン?」
『我も撫でろ』
「駄目よ!何を言ってるのギベオン!」
ぐいぐいと頭を私に押し付けて撫でろと言ってくるギベオンは、闇の世界に連れて行かれたあの人型ではなく、魅惑のモフモフ様。そしてふわふわな尻尾は嬉しそうに揺れています。むしろ此処は是非に!と腕を広げたいのですが、怒っているルチルレイがギベオンの尻尾を掴んでしまい、ギベオンが眉間に皺が寄ったような表情をした。
(ルチルレイ…、それはギベオンが痛いですよ。ワンコが唸りだす手前の顔してます)
「る、ルチルレイ様、それではギベオンが痛いのでは…」
「アメーリア様には関係有りませんわ、ギベオンは私の守護聖獣です!」
「あ、はい…」
「アリア、そろそろ屋敷にも帰らないといけないから。止めようか」
「…はい、アイクお兄様」
ルチルレイの剣幕にしょぼんとしてしまった私を見たアイクお兄様が、フォローに入ってくださったのですが、楽しかったモフモフタイムが微妙な雰囲気で終了してしまいました。
何故かルチルレイの大きな瞳が私を睨んできたのですが、モフモフして睨まれると思わなかったので、かなりしょぼーんとしてしまいます。オブシディアンとハウライトが心配そうに見つめてくるのを『大丈夫』と撫で、人型に戻ったアズラと『またね』と挨拶を交わしました。
(可愛い子に睨まれるのは、ちょっと哀しいですわねー…)
屋敷に戻ったら、強制的に寝かされてしまう前に、可愛い可愛いラーヴァを撫で撫で致しましょう!
アイクお兄様に手を引かれ、荷物は王宮へと戻る王子殿下達と一緒にと、ジャスパー様が持って下さいました。馬車の座席はいつもよりクッションが多めに用意されていて、使用人さんの気遣いがとても嬉しい。
静かに揺れる馬車で、アイクお兄様の膝を借りて身体を休めることにしました。
(きっと、アイクお兄様が、風の術で連絡してくださったんですね)
「ただいま戻りましたわ」
「お帰りなさい、アイクお兄様、アリアお姉様」
エントランスに足を踏み入れると、執事と一緒に可愛い弟のラーヴァが走り寄ってきました。ただ、ラーヴァの肩に見慣れない鳥さんが乗ってます。全体的に雪のように真っ白な体に、羽の先がほんの少しだけ緑色に染まっています。
「今日お庭で風魔法の練習をしていたら寄ってきて、アリアお姉様のお菓子を上げたら懐いたんです」
「懐いた?」
「珍しい色だね、ハウライトとオブシディアンは大丈夫なのかな?」
アイクお兄様が気にかけるのも其のはず、猫科は鳥類を見ると狩猟本能が掻きたてられるものです。ですが、ハウライトとオブシディアンは聖獣ですので、言葉が通じます。さっきから静かな二匹を改めてみてみると、ラーヴァの肩の鳥さんを見て大きな瞳をまん丸にして居ました。
『アリア、それ……』
『風の精霊ですよ、アリア』
「ええ!?この鳥さん精霊さんなんですの?」
「うん、そうだって言ってました、風の精霊さんらしいです。アリアお姉様のお菓子を気に入ってもっと欲しいって言われたんですけど、その時はもう無かったので、家に来ればあげるよって」
「……アリアのお菓子は、動物を集めるのにも効果があるみたいだね。動物だけじゃなく、精霊にも効果あるみたいだけど」
「そのようですわね……」
驚きの事実に顔を見合わせていたアイクお兄様と私でしたが、そんな私達に可愛い弟のラーヴァはニコニコと笑顔で手を振って、見て見てと手を広げる。すると、小さな竜巻が優しくがラーヴァを包み、天井へと消えていく。
「これは、風の属性魔法ですわね」
「ラーヴァは風の属性よりだったけど、此処まではまだ使えなかったはずなんだけど…?」
「この子がお友達になった瞬間から、一気に力が強くなったんです。水魔法も一応適正があったようなんですけど、調べなおして貰ったら、僕は風魔法の特化型だって言われました!」
(な・ん・だ・と・!?)
ニコニコと嬉しそうなラーヴァの頭を、アイクお兄様と二人で流石ラーヴァ!可愛い可愛いと思う存分、褒めて撫でて愛でつつも、私の心臓はバクバクです。
(ゲームの公式のラーヴァは、確かに水と風の適正はあったけど、小鳥さんも居ませんでしたし、まさかの風の特化型なんて聞いてませんわ。もしかしなくても、私、またやらかしましたのね……)
アイクお兄様の氷属性の特性といい、ラーヴァの風属性の特化型といい、ゲームの公式とはかなり違うように進んでいるのは違いありません。多少の罪悪感はあれど、気になるといえば『ルチルレイは攻略対象者と問題なく恋愛できるのか』という事でしょうか?
(そもそも、ギベオンが向こうですものね……)
恋愛の事なら魅了の出来そうな闇の属性の方がいいのか、治癒や癒しに特化している光の属性の方がいいのか。其処までは私もわかりませんが、出来る事なら、ハウライトとオブシディアンそして、ギベオンの三匹も交えて話をしたほうがいいかもしれないと、改めて思った一日でした。
ああ、忙しい。(主に私の心が)
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