24 / 71
二人のヒロイン
試験の前のあれこれ
ラズーラ殿下を護衛無く一人にするわけにはいかないので、私達が離れたのはラズーラ殿下の姿を視界で捉えられる場所です。丁度席が空いていたので三人で座る事にして、新しいお茶とお菓子をセットしました。相変わらず瞳をキラキラさせて、お菓子を食べていいか視線で聞いてくるアズラが可愛いです。たんとお食べ。
ハウライトとオブシディアンは私の足元で眠っています、まん丸猫団子可愛い。色合いが白と黒なので勾玉みたいな形で寝ています。スクショ!スクショしたい!!
「何をそわそわしているの?アリア」
「…あ、いえ、お菓子を食べて貰えたのかと」
(ルチルレイも気になるけど、二匹に悶えてましたとは言い難い)
「闇の守護聖獣様は遠慮無く食べているだろうけど、ルチルレイ嬢が気になる?」
「ええ、まぁ」
「リィ殿下も一緒だし、ラズ殿下は身分柄女性の扱いは慣れているから大丈夫だよ」
「そうですけど…」
本当なら、ルチルレイの守護は光の守護聖獣として青年に成長しているハウライトなのだからとは言えません。ハウライトが守護していれば、ルチルレイが何もしなくても、光の守護で好感度が上昇していたんだと思うんです。
何度かルチルレイルートを思い出そうとしているけど、アメーリアルートばかりやっていたから、流れ作業のようにしかやってい無かったルチルレイルートは本当にうろ覚えです。ごめんなさい。
(だって、最初から融通されてる攻略って楽しくないし、アメーリアのほうが好みだったし、なによりもアメーリアの方がアズライト様が沢山出てくるし)
「そういえば、こっちもあと一人考えないといけないね。ラズ殿下のことだからきっとマウシットを引き込みそうだし、知り合いの貴族科の生徒に頼むか、魔法特進科の生徒にでも…」
「今のままでも私は十分なのですけど」
「去年までならそれでも大丈夫だったんだけどね、流石に組数が多すぎて試験が大変になってしまったんだよ」
「確かに…、人数自由ですと一人で参加も可能ですものね!アイクお兄様、私指揮官をやってみたいですわ」
「そうだね、ラズ殿下の裏をかけていいかもね。私は去年で知られているし」
(ヒロインが指揮官なんて吃驚でしょうが、私はアイクお兄様とアズラが一緒でのチーム戦は、ゲームでも何度もやってるので必勝法は完璧です。ハウライトとオブシディアンの光魔法と闇魔法をしっかりと頭に入れて、戦略を組めば…ってそうじゃない!今はルチルレイだって!)
言い訳を頭の中でグダグダ考えているけど、隣で美味しそうにカップケーキを食べているアズラを見ていると、和みますわ。流石私の癒し様。嬉しそうに揺れる尻尾も、ついつい『うにゃうにゃ』言いながら食べてしまうのも、可愛いとしかいえません。
「アリア、美味しいね!」
「私も分も差し上げますわ、沢山食べて下さいね」
「ほんと!?」
「アメーリア姉様のお菓子なら、僕も頂きたいです」
「ずるいですアズラ、私もアリアお姉様のお菓子は昔から大好きですよ」
私の分のお菓子をアズラに上げようとしたら、聞き覚えのある声が耳に届いた。顔を上げると穏やかな微笑みを口元に浮かべたマーカサイト様と、私のもう一人の癒しでもあるセレナローズが目の前に!セレナローズはアズラの従兄妹でもあり、雪豹の獣人なんです。ふわふわ真っ白の毛並みに大きな尻尾が特徴の可愛いもふもふさんですが、人型でも美少女なんです。
腰まである長い髪は今はポニーテールにしてますが、先端に行くほどに白くなり、薄い空色の綺麗な瞳が涼やかでとても綺麗です。白い肌に映える赤い唇もセレナローズの名前にぴったりです。
(小さい頃から美少女でしたけど、今ではかなり綺麗に育って嬉しい限りです)
だけど、セレナローズもマーカサイト様もにっこりと微笑みを浮かべているのに、何故かアズラが反論できない空気は何なんでしょう?お菓子の追加を貰えると思っていたアズラの耳がしゅんとしてますし、尻尾が何処か警戒しています。二人は私を挟んで左右に座るようなので、お菓子と温かいお茶を用意しました。
「ああ、丁度いい。マーカサイト、騎士科との合同試験に名前貸してくれないかな?」
「ええ、アイドクレーズ兄様からのお申し出でしたら、喜んでお引き受けいたします」
「ありがとう、ラズ殿下より先にだしておかないと、騒ぎになってしまうからね。実はもう出してしまったんだ」
「え?アイクお兄様いつのまに!?」
「ふふ、内緒」
(風魔法でも使って届けを出したのかしら…?兎に角組み分け発表が七日後ですし、其れまでは貴族科の令嬢も静か…よね?)
「アメーリア姉様のお菓子はいつも美味しいですね、ラーヴァが羨ましいです」
「いつでも遊びに来ても宜しいのよ?マーカサイト様なら、ラーヴァも喜びますもの」
「はい、だけど、僕は寮に入っていますから」
「ホーランダイト家も学園に通うには少し遠いからね、何か不自由はないかい?」
「今のところは大丈夫です、ありがとうございます。アイドクレーズ兄様」
いつもの穏やかでほんわりとした笑顔に戻ったマーカサイト様と、嬉しそうに尻尾を揺らめかせ、私のお菓子を美味しいと嬉しそうに食べてくれるセレナローズに挟まれて、私は束の間の癒しの時間を味わいました。(ただし、アズラはそうも行かなかったようですが)
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない
As-me.com
恋愛
完結しました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。
そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。
ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。
そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。
周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。
※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。
こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。
ゆっくり亀更新です。
【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました
三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。
助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい…
神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた!
しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった!
攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。
ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい…
知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず…
注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。
幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい
ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26)
鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。
狭い個室にはメイド服がかかっている。
とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。
「この顔……どこか見覚えが……」
幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。
名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー)
没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。
原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。
「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」
幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。
病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。
エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18)
全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。
タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない
miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。
家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。
いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。
「僕の心は君だけの物だ」
あれ? どうしてこうなった!?
※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。
※ご都合主義の展開があるかもです。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
そう名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️