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上位試験開始
やや強引にいきましょう
「え?私が…アトランティ侯爵家に、ですか?」
「ああ、モルガ家とアトランティ家には学園と王家から連絡をしている。荷物も既に運び出されているだろう」
「え、あの……」
引き摺るように連れていったカフェで、頼んでいたお茶のセットを受け取り、ルチルレイと半分個して運び込んだ執務室。ラズーラ殿下とリモナイト殿下に先に淹れたお茶をルチルレイにお願いしたら、早速ラズーラ殿下が話を切り出してくれた。
「光魔法で寮全体を覆うには魔力が足りない、でも、ルチルレイ嬢の身を守るにはギベオンや今のままの寮では危険なんだ」
「でも、ギベオンは闇の守護聖獣で…」
「相手は闇魔法とも繋がる『魔』だからな、力が似すぎている」
「僕の力が強かったら、ちゃんと守れたかもなんだけど…。ごめんね?」
差し出すお茶の前には豪奢な椅子に座ったラズーラ殿下、そして側には可憐なリモナイト殿下。反対側にはマウシット様が付き従い、王家の二人を守るようにジャスパー様が警備している。
(これぞ正しく目の保養。ルチルルートのスチルだぁ!って感動もありますが、本当なら此処に大きな青年の姿になっているハウライトが居るんだよねー)
邪魔にならないようにそっとお菓子を差し出して、私はマーカサイト様とアイクお兄様のお茶を別のテーブルに用意した。アトランティ家の返事は、ラーヴァのお友達のリピドが既に伝達してくれていますので、今日ルチルレイを連れて帰っても大丈夫。荷物は既に馬車に運び済みです。
(ふふふ…。侯爵家の有能使用人達は仕事が速いのですよ。準備は万全だ)
「あら?」
「どうしたの?アリア」
「ええ、馬車が学園に入るのが見えましたの。白に紫の囲いですわ」
「…神殿ですね」
話が終わるまでは…と、静かにしていた私達ですが、学園へとやってきた白い馬車に胸騒ぎを覚えました。『神殿』とは光属性の使い手を囲い込んでいる集団です。言い方が悪いですが、光魔法がもっと一般に許可されていれば、ルチルレイが魔に憑かれた時、もっと早くに対応できたんです。
わかりやすい神殿の上位者が使う高級な馬車でやってきたんですから、只の学園見学ではないのが分かりきっています。
(リモナイト殿下と私が一緒になって光魔法を使ったのが、神殿に伝わったのかしら?でも、私は昔からハウライトを連れていたから、目は付けられてましたよね)
本来ならルチルレイが受けるべき光の属性。
光の属性と神殿が組み合わさると、とても厄介なキャラが登場してしまうのです。隠しキャラの光の神殿の唯一の王族『ルミエール=クラスター』様の登場ですよ。
ですが、これは速すぎます。今はまだ試験中なんですよ?本当ならこの試験の前にアズラに出会い、ルチルレイが攻略者と共に合同試験で優勝し、尚且つ、抜き出ている攻略者がいないというのが前提です。
(今までギベオンまっしぐらで攻略?ナニソレ?美味しいの?状態だったルチルレイ。しかも闇属性。攻略なんてしねーよ、モフモフと小さい子ラブ!な私は光属性。言いたくは有りませんが、出てもおかしくねーな!)
やっちまった感満載です。頭抱えて蹲っていいですか…。隠しキャラの存在すっかり忘れてました。だってルチルルートの隠しキャラだったんですよ!さらっとしかやってないし、苦手だったんです王弟様が。
「神殿の馬車か…、私のほうには何も来ていないが?」
「次期を考えますと、リモナイト殿下とアメーリア嬢が使った光魔法でしょう。ですが、其れで上位神官を学園に向かわせるのは…。マーカサイト、何か聞いていないか?」
「光属性を持つ王族といえど、王弟様は魔力保持量が少ないですからね。現在も回復に関してはホーランダイト家に一任されています」
「リィとアリアに目を付けたという所か…」
「でしたら、面倒な事になる前に今日は解散致しましょう」
にっこりと微笑みを浮かべて提案したアイクお兄様の言葉に、その場にいた全員が頷き帰り仕度を始める。アトランティ兄妹の風魔法で王宮とカルシリカ家とホーランダイト家に馬車を頼み、アズラとセレナにも連絡を飛ばします。
風魔法を携帯のように使ってますが、伝達魔法は風魔法なので、風属性を持ってないと使えない分、携帯の方が便利だと思います。
「さぁ、屋敷へ帰りましょう。案内いたしますわ」
「は、はい!よ、よろしくお願いします…」
不安げなルチルレイの腕をしっかりと掴み、やや強引にですが、アトランティ家の馬車に乗せることに成功しました。連れて帰ったら、まず最初はラーヴァ自慢ですかね?
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