攻略なんてしませんから!

梛桜

文字の大きさ
44 / 71
上位試験開始

一気に決めたいところです。



 視界の端を横切ったのは、神殿の最高位を持つルミエール様。目的は私の光魔法か、それともリィ様の光魔法なのか。分からないだけに、その存在が不気味です。一緒にいるのは学園長先生ですね。

「まてっ、アイドクレーズこら!!」
「待たないよ、今は試合なんだから『氷華の矢シーヴルプファイル』展開、ほら、逃げないと刺さるよジャスパー」
「本当、お前俺に魔法打ち込むの好きだな!」
「うん、すっごく楽しいよ」

 少し余所見をしているうちに普段は天使か女神かってくらい、綺麗で優しい微笑みを浮かべているアイクお兄様が、とても素晴らしい笑顔で氷魔法を展開しております。本当に超笑顔です。アイクお兄様、ジャスパー様に何されたんですか?何があったらそんなに容赦ない攻撃が出来るんですか?
 そんなアイクお兄様とジャスパー様のやり取りに驚いていると、やれやれと呆れ顔のラズ様がゆっくりと魔法を練りだしました。『光の壁』に守られたままのリィ様とルチルレイも、アイクお兄様とジャスパー様の戦いを見守っています。

「やれやれ、あいつ等は全く…。『火の壁フーヴァント』展開、ジャスパーを包むぞ」
「今です、アイクお兄様!『氷の城壁ロックキャッスルウォール』をラズ様とジャスパー様を囲んで展開!」
「なるほどね、『氷の城壁ロックキャッスルウォール』」

 私の指示をいち早く理解してくださったアイクお兄様が、ラズ様とジャスパー様を氷の壁で閉じ込めてしまう。この氷の壁は本当に寒いので、なるべく早く試合を終わらせましょう。ルチルレイのチームで面倒なのは、前衛を務めるジャスパー様の攻撃力とラズ様の炎魔法です。

(ジャスパー様に攻撃すれば、ラズ様が補助魔法使うと思ったのよね)

 アズラはギベオンと剣を交えてますが、正直ギベオンが此処まで強いと思いませんでした。アズラの速さをあげているのに、全く動揺していないのは、流石狼の姿の聖獣だけあります。でも、ギベオンは人型でも剣を使っていたので、どちらでもこなすようです。

(有能狼め、ゲームじゃ味方だったけど、敵になると面倒な)

「ギベオン、人型になりませんね?」
「そうね、リィ様の光の壁が原因かもしれないわ。でも、気は抜けないわよ」
「長引くと閉じ込めてると、あの二人が動くよアリア。全力でラズ殿下が溶かしにきてる」

 そう簡単にアイクお兄様の『氷の城壁ロックキャッスルウォール』が突破されるとは思っていませんが、残っているルチルレイも火の魔法を使えます。リィ様は光魔法と風魔法を使えますが、ルチルレイと協力されてしまうと確かに厄介ですわね。

「り、リモナイト王子様っ、どうしましょう!?ギベオンがアズライト様に掛かりきりになってます、ラズーラ王子様もジャスパー様も閉じ込められて…っ」
「大丈夫だよルチル、僕達も魔法は沢山練習したでしょ?」
「ですけど…、アメーリア様が指揮官だ何て思っても居ませんでしたわ」
「ギベオンも苦戦してるし、先にラズ兄様を助けようか」
「は、はい!」

 リィ様とルチルレイの魔力が動く気配がする。
 風が渦巻いて二人を隠す様に取囲んでいくけれど、其れと共にルチルレイの火魔法の気配もしている。リィ様が動くとは思いましたが、そっちの協力魔法で来るか。

「不味いですわね威力は弱いですが、『嵐火(フレムテンペスト)』がきますわ。アイクお兄様の『氷の城壁』でも持つとは思いますが…、何処に攻撃を向けるかが問題」
『アズラはギベオンでいっぱいいっぱいです』
「仕方有りません、オブシディアン『夢幻術(レヴリースト)』展開。ルチルレイが気を散らしてしまうように、大型のモフモフ天国にしましょう」
「にゃあ!」

 素早く魔力を練り、オブシディアンと協力して魔法を展開させる。黒い霧があっと言う間にルチルレイを取囲み、戸惑うルチルの姿が遠目にも見えますわね。ギベオンやアズラの獣化でも、未だに戸惑っているのは知ってます。アズラと仲良くする為に話しかけようと努力しているのは知ってますが、コレとそれは別物です。

「普段なら温かい目で見守りますが、今は勝負です。アズラに火魔法は近づけさせませんわ。折角のモフモフ毛並みが痛むではありませんか!」
「そこぉ!?」
「あははは!!」
「ぶれませんよね、アリアって…」
「うにゃにゃ」

 うっかりアイクお兄様の笑いのツボを押してしまったようです、ジャスパー様に攻撃を仕掛けてテンションが上がっていたのもあったのですが、若干呆れているハウライトとオブシディアンも気を抜いてしまって、オブシディアンの『夢幻術レヴリースト』が解けてしまいましたわ。

『アリア、ごめん…』
「いいえ、大丈夫ですわよオブシディアン」

 魔法を解除してしまった事に、黒い耳をペタンと寝かせて尻尾も地面に力なくしょげてます。ごめんなさいを全力で言ってるその姿、抱き締めさせろ!可愛いわ!!

 しっかり抱き締めましたけどね。当然。


あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない

As-me.com
恋愛
完結しました。 自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。 そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。 ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。 そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。 周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。 ※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。 こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。 ゆっくり亀更新です。

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない

miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。 断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。 家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。 いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。 「僕の心は君だけの物だ」 あれ? どうしてこうなった!? ※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。 ※ご都合主義の展開があるかもです。 ※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 そう名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  ✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 ✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️