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上位試験開始
一気に決めたいところです。
視界の端を横切ったのは、神殿の最高位を持つルミエール様。目的は私の光魔法か、それともリィ様の光魔法なのか。分からないだけに、その存在が不気味です。一緒にいるのは学園長先生ですね。
「まてっ、アイドクレーズこら!!」
「待たないよ、今は試合なんだから『氷華の矢』展開、ほら、逃げないと刺さるよジャスパー」
「本当、お前俺に魔法打ち込むの好きだな!」
「うん、すっごく楽しいよ」
少し余所見をしているうちに普段は天使か女神かってくらい、綺麗で優しい微笑みを浮かべているアイクお兄様が、とても素晴らしい笑顔で氷魔法を展開しております。本当に超笑顔です。アイクお兄様、ジャスパー様に何されたんですか?何があったらそんなに容赦ない攻撃が出来るんですか?
そんなアイクお兄様とジャスパー様のやり取りに驚いていると、やれやれと呆れ顔のラズ様がゆっくりと魔法を練りだしました。『光の壁』に守られたままのリィ様とルチルレイも、アイクお兄様とジャスパー様の戦いを見守っています。
「やれやれ、あいつ等は全く…。『火の壁』展開、ジャスパーを包むぞ」
「今です、アイクお兄様!『氷の城壁』をラズ様とジャスパー様を囲んで展開!」
「なるほどね、『氷の城壁』」
私の指示をいち早く理解してくださったアイクお兄様が、ラズ様とジャスパー様を氷の壁で閉じ込めてしまう。この氷の壁は本当に寒いので、なるべく早く試合を終わらせましょう。ルチルレイのチームで面倒なのは、前衛を務めるジャスパー様の攻撃力とラズ様の炎魔法です。
(ジャスパー様に攻撃すれば、ラズ様が補助魔法使うと思ったのよね)
アズラはギベオンと剣を交えてますが、正直ギベオンが此処まで強いと思いませんでした。アズラの速さをあげているのに、全く動揺していないのは、流石狼の姿の聖獣だけあります。でも、ギベオンは人型でも剣を使っていたので、どちらでもこなすようです。
(有能狼め、ゲームじゃ味方だったけど、敵になると面倒な)
「ギベオン、人型になりませんね?」
「そうね、リィ様の光の壁が原因かもしれないわ。でも、気は抜けないわよ」
「長引くと閉じ込めてると、あの二人が動くよアリア。全力でラズ殿下が溶かしにきてる」
そう簡単にアイクお兄様の『氷の城壁』が突破されるとは思っていませんが、残っているルチルレイも火の魔法を使えます。リィ様は光魔法と風魔法を使えますが、ルチルレイと協力されてしまうと確かに厄介ですわね。
「り、リモナイト王子様っ、どうしましょう!?ギベオンがアズライト様に掛かりきりになってます、ラズーラ王子様もジャスパー様も閉じ込められて…っ」
「大丈夫だよルチル、僕達も魔法は沢山練習したでしょ?」
「ですけど…、アメーリア様が指揮官だ何て思っても居ませんでしたわ」
「ギベオンも苦戦してるし、先にラズ兄様を助けようか」
「は、はい!」
リィ様とルチルレイの魔力が動く気配がする。
風が渦巻いて二人を隠す様に取囲んでいくけれど、其れと共にルチルレイの火魔法の気配もしている。リィ様が動くとは思いましたが、そっちの協力魔法で来るか。
「不味いですわね威力は弱いですが、『嵐火(フレムテンペスト)』がきますわ。アイクお兄様の『氷の城壁』でも持つとは思いますが…、何処に攻撃を向けるかが問題」
『アズラはギベオンでいっぱいいっぱいです』
「仕方有りません、オブシディアン『夢幻術(レヴリースト)』展開。ルチルレイが気を散らしてしまうように、大型のモフモフ天国にしましょう」
「にゃあ!」
素早く魔力を練り、オブシディアンと協力して魔法を展開させる。黒い霧があっと言う間にルチルレイを取囲み、戸惑うルチルの姿が遠目にも見えますわね。ギベオンやアズラの獣化でも、未だに戸惑っているのは知ってます。アズラと仲良くする為に話しかけようと努力しているのは知ってますが、コレとそれは別物です。
「普段なら温かい目で見守りますが、今は勝負です。アズラに火魔法は近づけさせませんわ。折角のモフモフ毛並みが痛むではありませんか!」
「そこぉ!?」
「あははは!!」
「ぶれませんよね、アリアって…」
「うにゃにゃ」
うっかりアイクお兄様の笑いのツボを押してしまったようです、ジャスパー様に攻撃を仕掛けてテンションが上がっていたのもあったのですが、若干呆れているハウライトとオブシディアンも気を抜いてしまって、オブシディアンの『夢幻術』が解けてしまいましたわ。
『アリア、ごめん…』
「いいえ、大丈夫ですわよオブシディアン」
魔法を解除してしまった事に、黒い耳をペタンと寝かせて尻尾も地面に力なくしょげてます。ごめんなさいを全力で言ってるその姿、抱き締めさせろ!可愛いわ!!
しっかり抱き締めましたけどね。当然。
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