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潜む闇
作戦会議です。
「アリア、もう大丈夫かな?」
「はい、アイクお兄様」
ルチルレイの目が若干はれぼったいですが、これ以上遅くなると話が出来ないので仕方ありません。ルチルレイはちょっと恥ずかし気にしてますが、そんな所も可愛いので良し!もう可愛いルチルレイにデレデレですよ、こんな妹欲しいー!
「ラズ殿下から伝令が来てるよ」
「まぁ、ハシビロさんお久し振りですわ!」
「…ひっ」
アイクお兄様が連れてきたのは、ラズーラ殿下が好んで使っている、伝令鳥の『ハシビロ』さんでした。前世でのハシビロコウという種族名の鳥に近くて、小さい頃に私がそう呼んでからはその名前で決定してしまったのです。
獣騎するには、人の身体を支えて飛べないという事で、伝書専門になったハシビロさん。私も一度は餌にと捕食されかけましたが、お菓子を持っていたので、そちらに気を取られて捕まえられてしまったと考えています。
(鋭い眼光、大きな猛禽類の翼。恐竜のように太い足は鳥と言うより翼竜っぽいですが、何よりもこのハシビロさんは有能だったのです)
「あ、あの…アメーリア様、その鳥は…」
「ああ、大丈夫ですわよ。ハシビロさんはとても大人しくて、お利口さんなんですよ」
「ぎゃわ!」
お手紙を届けてくれたご褒美に、手作りのクッキーを差し出すと喜んで大きな嘴を開けたので、其の中に放り込んであげます。そういえば、雛の時からハシビロさんにはこうやってクッキーを上げてましたわね。もう一匹兄弟の雛が居ましたが、その子は陛下が気に入ったので、陛下専用となったのです。大出世ですが、本当は私が貰えるはずだったのに…。
「此方からもギベオン殿の話を伝えようと思ってね、少し見てもらってもいいかな?」
「はい、勿論ですわ」
「アリアお姉様、ルチルレイ様失礼します。ハシビロが来てるんですか?」
風の精霊であるリピドから聞いたのか、ラーヴァもウキウキとやってきました。この子動物全般大好きなのですが、ハシビロさんは別格のようで。たまに一緒に飛んで遊んでるとハウライトから聞いています。
(侯爵家の二男としてはどうかなー?と思う時もありますが、子供は元気なのが一番ですしね。素直な良い子のままで、真っ直ぐ育ってくれればいいかな)
公式設定とかだと屋敷では暗い顔をしてこっちをみているだけのラーヴァが、こんなにもニコニコと笑顔で懐いてくれているのです。『侯爵家の一員として』と上から窘めていたアメーリアと違うことをしているのは分かっていますが、公式のアメーリアはお母様の代わりにという侯爵令嬢としての矜持が高かったんでしょうね。
うーんと思いつつも、ラズーラ殿下からの手紙にも目を通します。やはり王宮では神殿に其処まで深入りは出来ないようです。ルミエール様を神殿から王宮の離宮に呼ぶことは出来ても、王太子でもないラズーラ殿下ではそれは難しいので、陛下を頼らなければならないようです。
(王太子が決定していないのは、リィ様の光属性の関係もあるかもしれないな。公式ではラズーラ殿下が火属性で、リィ様が風属性だったもんな)
『そういえば、王家ではその鳥を何度か見かけているが、神殿には使われていないようだな』
「ハシビロさんですか?この子と兄弟の一匹は有能ですが、他の兄弟は躾中のはず」
「違いますよ、嫌いなんですって。動物が」
「は?」
まさかのラーヴァからの一言に、私の目が丸くなってしまう。ラーヴァの情報通なのは、リピドが情報源なのは分かってます。何たって鳥の姿を模した精霊です、侮るなかれ鳥の情報網。
「もしかしたら、ラーヴァを王宮に連れて行ったほうが速いかもね」
「アイクお兄様」
「明日は学園も試験休みになるだろうから、王宮に召集だそうだよ。ハシビロにはグラッシュラー伯爵家かジャスパーの家にも寄り道してもらおうかな…」
「アイクお兄様、其処は是非ともロードナイト家でお願い致しますわ」
ハシビロ母に襲われた経験がありますので、アズラはハシビロさんが怖いのです。あのエメラルドグリーンの瞳に涙を浮かべて怖がる姿は、とても可愛いのでどうせなら生で見たいじゃないですか!
背後にハウライトとオブシディアンの呆れた視線を感じつつも、私だからと納得されるのは解せぬ。
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